FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
FXオプション+FXのハイブリット運用法「FXオプションからのスワップ投資」についてまとめてきました。
核となるFXオプションについてのメリット・デメリットを整理しておきます。
ここでのメリット・デメリットは教科書的な解釈ではなく、私自身が使ってきて感じている部分を中心にまとめています。
まずは、デメリット部分より始めます。
FXオプション 4つのデメリット
FXオプションでいろんな使い方をしてきて、感じるデメリット部分は4つあります。
- 短期売買には向かないと思われる。
- 値が付かなくなるというリスク(絶対に勘弁してほしいリスク)
- ポジションが複雑になりやすい。
- FX単独よりも利益を減らす事もある。
それぞれ補足させていただきますね。
その1:短期売買には向かないと思われる
使い方にもよるかもしれませんが、FXオプションは短期売買には向かないと私は感じています。
それは、「利益が出るまでにはFX以上の値動きが必要」だからです。
FXの米ドル円売買であれば、想定通りの方向に数銭でも動き出せば利益が乗り出します。
FXオプションでは、数銭程度の値動きでは利益圏にははいりません。
これには2つの要因があります。
- FXオプション自体にもスプレッドがある。
- 為替値への反応が鈍目である。
この画像をご覧ください。
権利行使価格111.75円の米ドル円コールオプションのプレミアム部分です。
「ビッド0.621−アスク0.736」となっています。
- 買いポジションであれば0.736
- 売りポジションであれば0.621
- 売りと買いの差 0.736−0.621=0.115
この売りと買いの差がFXオプションのスプレッドです。0.01が1銭くらいの目安ですので、11.5銭くらいのスプレッドがあるような感じになっています。
今度は、アスク0.736とその上の薄青色部分をご覧ください。
ここで「FXとFXオプションの値動きの違い」の目安を確認できます。
- 権利行使価格111.25円 1.069
- 権利行使価格111.50円 0.892
- 権利行使価格111.75円 0.736
米ドル円の権利行使価格が25銭動いても、プレミアムは0.16〜17(約16〜17銭)の動きです。
なので、このケースでは米ドル円が50銭くらい動いても、FXオプションの反応度は7〜8割程度に留まります。
こういう感じなので、スキャルピングのような売買はほぼ不可能です。
ただ、例外もあります。
例外:為替相場の急変動時
それは相場急変などで「ボラティリティが急激に高まった時」です。
為替相場が短期間・短時間で大きく変動するようなときです。こういう時はFXオプションも短時間で大きく動くことがあります。
これは、FXオプションのプレミアムを構成する要因に「ボラティリティ」があるためです。
ボラティリティが高まるような時期が到来すると、FXオプションのプレミアムは急上昇する傾向があります。
こういう時はFXよりも激しく変動することがあるかもしれません。
でも、そこまでの急変動は滅多にはないんですけどね。
その2:値が付かなくなるというリスク
私はまだ経験したことがないのですが、FXオプションには「値が付かなくなるリスク」があるそうです。
これ、困りますよね。
タイトルでも書きましたが、絶対に勘弁してほしいリスクですよね。
値が付かないということは、途中決済ができないということです。
絶好の途中決済チャンスに売買できないなんてことは、想像したくないものです。
このリスクについて、数年前にサクソバンク証券の説明会で質問したことがあります。
過去に「値が付かなくなったケース」は、以下のような場合だそうです。
- 権利行使価格から現在値が大幅に離れている時
- 流動性が急激になくなったような時
数年前にトルコリラ暴落が激しくなった時期に、USDTRYで新規の権利行使価格がでてこなくなって売買ができなくなったことがありました。
もしかしたら、「値が付かなくなったケース」というのはああいう状況をいうのかもしれません。
米ドル円などのメジャー通貨では、あまり起きなさそうですが留意はしておく必要があるリスクです。
その3:ポジションが複雑になりやすい。
FX+FXオプションの運用は、自然と「ポジションが複雑になりやすい」ところがあります。
実際の保有ポジション状況でご覧ください。
この記事で保有中のFXオプションはこうでした。
FXオプションポジション5本+FX10万通貨です。
保有しているFXオプションも、プットオプション売りやらコールオプション売りやらプットオプション買いなどバラバラでしす。
慣れていないと「なにやっているのかわからない」てな感じになるかもしれませんよね。
私は、これらのポジションを把握するために玉帳(ギョクチョウ)という帳簿を記入しています。ポジション状況とこれまでの収支明細がわかる帳簿です。
手書きでフアイルしてあるので、全体のポジションをみたり、これまでの売買を振り返るときに、パソコンをONにしなくてもすぐにみることができます。
この運用法に取り組まれる方は、こういう帳簿などで「ポジション状況が一覧できる」ようにしておくことをおすすめします。
その4:FX単独よりも利益を減らす事もある。
FXオプションを使って、FXよりも利益を増やしていくのが「FXオプションからのスワップ投資」の趣旨です。
でも、当然ながらFXオプションを使ったことが裏目にでることだってあります。
米ドル円コールオプション売りを仕掛けた後、米ドル円が大きく上昇してしまえばそのポジションには大きな含み損が発生します。
FXで買いポジションと相殺する予定ということで、精神的ストレスは少ないかもしれません。
でも、単純に買いポジションを持っていれば「利益が増えるだけ」だったので「余計な事をして利益を減らした」ということにもなります。
私の運用でも、1回1回の売買では利益を減らすようなこともすることもあるはずです。
実際にこんな売買もしています。
この日は、移動平均線のデットクロスによって米ドル円が大きく下落するかもしれないと感じたところでした。
FXの買いポジション20万通貨を利益確定するとともに、プットオプション買い30万通貨を入れています。
そのあと、米ドル円相場が想定とは反対に動いています。
2月末時点で振り返ってみれば、FXの買いポジションを早目に決済したのはしょうがないとしても、プットオプション買いで支払った約22万円の代金はもったいなかったという気持ちになりますよね。
こういう経験もしながら、運用は続いていきます。
それでも、これらのデメリットを上回るメリットがFXオプションにはあると思っています。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
FXオプションで使っているのはサクソバンク証券です。