超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
大暴落などの時期には、ボラティリティが高水準になります。
そうなったときに有効な一手になるかもしれないのが今回紹介する「ストラングルの売り戦略」です。
実際の仕掛け方と留意点をまとめました。
超高ボラティリティとなったときの攻め方
2020年3月現在、為替相場はボラティリティが非常に高くなっています。
この影響はFXオプションで顕著にでていています。
これだけボラティリティが高くなることは滅多にありません。
滅多にないのですが、「こういう時期に使えそうな戦略」がありますのでご紹介させていただきます。
それは「ストラングルの売り戦略」です。
ストラングルの売り戦略は、現在値から離れた権利行使価格の2つのオプションを「売る」ことで成立します。
- コールオプション売り
- プットオプション売り
*いずれも現在値から離れた権利行使価格で仕掛けます。
こうすることで、「利益は大きくないものの利益が出しやすい」という形のポジションとなります。
ストラングルの売り戦略は、本来それほど大きな利益を出せるものではありません。
でも、現在のような高ボラティリティの時期には様相が変わってきます。
ストラングル売り戦略 仕掛け方
この画像は3月16日朝のFXオプション画面です。クリックすると拡大します。
- 月日:3月16日
- 米ドル円レート 106.45円
- 権利行使日3月25日のプレミアム表
権利行使日まであと10日、土日を除けば8日営業日しかないのにプレミアムが高いままです。
ここで薄青色部分でストラングル売りを仕掛けるとこうなります。
- 権利行使価格 108.00円
- プレミアム 1.047
- 10万通貨で104,700円受取
- 権利行使価格 104.00円
- プレミアム 1.031
- 10万通貨で103,100円
104,700円+103,100円=207,800円
下限104.000円ー上限108.000円の範囲内
- プレミアム合計 1.047+1.031=2.078
- 上限:108.00+2.078=110.078円
- 下限:104.00−2.078=101.922円
損益分岐点:下限101.922円−上限110.078円の範囲内
平常時はあと8営業日しかないと現在値から2円も離れた権利行使価格のプレミアムは0.1程度しかないものです。
それが、1以上あります。
0.1が1ですので通常時の10倍です。
これは、超高ボラティリティのお蔭です。
これをストラングルの売り戦略として2つのポジションで攻めれば、2以上のプレミアムを受け取れます。
10万通貨の仕掛けで最初に受け取れる利益が207,800円です。
これが満額利益にできる米ドル円水準が104−108円、満額とはいかないものの利益を出せる損益分岐点となる値幅は101.922−110.078円とかなり広くなります。
これで、権利行使日までの日数は8営業日です。
途中段階でこの値幅を超えても問題はありません。
権利行使日の権利行使時間にに米ドル円がこの値幅の中に入ってくれれば利益が確保できるからです。
どうでしょうね。
私は、かなり分の良い勝負という気がします。
留意点:リスクについて
ただ、意識しておかねばならないのは「リスクはそれなりにある」ということです。
そもそもこれだけのプレミアムが提示されているというのは、FXオプション提供側のサクソバンク証券からすれば、そこの値まで動く可能性があるからです
「これは絶対いける」・・・なんて思ったら大けがします。
損失となった場合の対応策は考えておくべきです。
- 損きりで終了
- FXポジションとして保有していく。
単純に損きりで終了させるのが、もっともシンプルですっきりします。
ただ、場合によっては権利行使日にFXポジションに変換させて保有していくというのも有効な一手です。
コールオプション売り⇒FX売りポジション
プットオプション売り⇒FX買いポジション
この辺の仕組みを押さえて、対応策を予め決めておきます。
先日、私も高ボラティリティを活用した仕掛けを投下しています。
このポジションはプットオプション売りですが、この前段階でコールオプションも何本か仕掛けてあります。
ポジション全体でみると「ストラングルの売り戦略」という状況になっています。
これがどのような結果になるかは、来週の権利行使日以降に記事にまとめる予定です。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
FXオプションで使っているのはサクソバンク証券です。