コールオプション買い「損失限定・利益上限なし」その特長と使い方
FXオプションを活用していくには、4つの注文方法のそれぞれの特長を抑えることから始めるとよいです。
全体像とコールオプション買いの特長とこの運用法での使い方をまとめました。
4つのオプションの使い方
FXオプションは、権利行使日と権利行使価格ごとに売買ができます。
それぞれに「コールオプション」と「プットオプション」があります。
そして、更に「買い」と「売り」の両方ができます。
つまり、権利行使価格米ドル円110円・権利行使日1月8日のオプションには合計4つの注文方法があることになります。
- 米ドル円110円:コールオプション買い
- 米ドル円110円:コールオプション売り
- 米ドル円110円:プットオプション買い
- 米ドル円110円:プットオプション売り
この4種類の注文は、それぞれ利益や損失の出方に違いがあります。
FXのように「1万通貨買ったから1円上昇して1万円の利益」あるいは「1円下落して1万円の損失」というものではないんです。
だからこそ、使い方次第で、損失を限定させてリスクを減らしたり、勝ちやすいポジションを作るようなことが可能となります。
ここでは、「FXオプションから始めるスワップ投資」で、4つの注文方法をどのように使っていくかを説明させていただきます。
FXオプション全体画面
今回使用する全体画像です。
クリックすると拡大します。薄赤色部分での注文をもとに特長や効果についてご説明していきます。
まずは、全体画像の見方です。
- 左上:米ドル円値 108.476−478
- 左側:コールオプション権利行使価格108.50円
- 右側:プットオプション権利行使価格108.00円
- 権利行使日(満期日) 2020年1月8日
権利行使日までは、1カ月半くらいあります。
この状況で仕掛けるとどんな特長があるかと、それをどう使っていくかという流れでいきます。
コールオプション買い
最初に「コールオプション買い」のケースです。
コールオプションの大まかな説明は、以下のページにてもまとめています。
参考記事:コールオプション買いについての概略
先程の画像の中で、コールオプション部分を拡大したのがこちらです。
これを10万通貨買ったとしましょう。内容はこうなります。
- 権利行使日:2020年1月8日
- 権利行使価格:108.50円
- プレミアム :0.684
- プレミアム代金:0.684×10万通貨=68,400円
- 損益分岐点:108.50+0.684=109.184円
ポジションを作成したときに、68,400円のプレミアム代金を支払います。
コールオプション買いの特長
- ポジション作成に必要な資金は68,400円のみ。
- 満期日に108.50円よりも上昇すると利益になる。
- どんなに下落しても損失上限は68,400円
- 損益分岐点の109.184円よりも上昇すれば最終利益確保
コールオプション買いポジションは、「損失限定・利益上限なし」という特長があります。
必要資金は68,400円だけです。
FXで米ドル円10万通貨の買いポジションを作成すれば、レバレッジ25倍でも最低証拠金は40万円以上必要です。
でも、コールオプション買いではその7分の1程度の資金で10万通貨のポジションが作れます。しかも、最大損失が限定されているので、68,400円以上の損失を出すこともありません。
無論、良いことばかりではありません。
利益は、権利行使価格を上回れば満期日に利益金を受け取ることはできます(行使方法スポットの場合は含み益つき買いポジション)。
ただ、最初にスプレッド0.684相当のプレミアム代金を払っています。
このため、「ポジション作成時(仕掛け)」と「決済(満期)」の合計で利益にするためには、損益分岐点の109.184円まで上昇する必要があります。
まとめると、このポジションは以下の特長があります。
- 上げ相場を「損失を限定」して利益を狙う時に向いています。
- ある程度上昇しない限り、最終損失となりやすいです。
つまり、「損失限定」だけど「利益は出しにくい」傾向があるということです。
権利行使価格から上昇すれば全て利益となる訳ではないところには注意すべきところです。ある程度上昇が見込めるようなときに仕掛けていかないと、損失ばかりになることも有りえます。
利益が大きく出るパターン
コールオプション買いは、相場が上昇すればするほど利益が大きくなるポジションです。
仮にですが、先程のポジションが権利行使日に米ドル円が115円まで上昇したとしましょう。
損益はこうなります。
- ポジション作成時オプション代金:68,400円
- 権利行使日プレミアム価値⇒115−権利行使価格108.50=6.5
- 10万通貨保有時の利益額⇒6.5×10万通貨=65万円
- 合計損益:65万円ー68,400円=581,600円
こんな感じで上昇すればするほど利益額も増えていきます。
もしも、下げたとしても最大損失は 68,400円より増えません。
この性質を、私の運用法でも活かして使っていくつもりです。
「FXオプションから始めるスワップ投資」での使い方
私が、この「コールオプション買い」を使うのは、こういうときです。
「強力な上げ相場が到来しそうな時」
ある程度上がって、ここからの上昇余力がそれほどなさそうなときなどには使いません。
どちらかというと、セリングクライマックスに近いような時期に仕掛けるつもりでいます。
暴落に近い大きな下げて、「相場全体が悲観的になっているような時」、そんなときに「勝負ポジション」として使いたいと思っています。
通常、暴落期は「大底かもしれないけれどもっと下げそうなので買えない」時です。
FXポジションであれば、大きな損失が出るかもしれないが、勝負をかけて成功すれば大きな利益がだせそうだ。
こういう時にコールオプション買いは、向きます。
損失は限定されているので、大損するという心配もいりません。
この運用法を始めてからは、まだそのような局面はありません。実際にそういう局面になれば足がすくんでしまうかもしれません。
果たして目論見どおりに仕掛けられるかどうかわかりませんが、ルール上はそうしてあります。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
FXオプションで使っているのはサクソバンク証券です。