FXオプション失敗からの教訓【2020年3月 蟻の一穴からの失敗事例】
どのような運用法でも、「失敗を糧に成功の基礎作り」をするという時期があります。
この「FXオプションからのスワップ投資」でも、2020年3月がそういう月になっています。
失敗からの教訓
2020年3月は、この運用法にとって貴重な経験をする月になっています。
為替相場自体が大きく動いたため、FXオプションも相当な高ボラティリティ相場となったためです。
これが数年に一度なのか10年に一度なのかはわかりません。
この高ボラティリティをチャンスととらえた仕掛けは、この連載中でも紹介させていただきました。
ただ、私のポジション操作自体はチグハグになってしまいました。
これは自分の売買記録を記入する玉帳(ギョクチョウ)で気づき、反省をしているところです。
表向き利益は出ているのですが、売買の中身がいけません。
- やらなくてもよいポジションの乗り換えをしている。
- オーバーポジションをしている時期がある。
- あまりの大きな変動にビビって余計な売買をしている。
失敗を隠すような売買で、失敗の上塗りをしているようなことをしています。
これらの失敗を教訓として、決めた事項についても紹介させていただきます。
まずは、ここのところどういう売買をして、何が失敗だったのかの解説から始めさせていただきます。
3月10日 プットオプション買い決済までは絶好調だった。
米ドル円が大きく崩れた3月前半、下げに備えて仕掛けてあったプットプション買いが大きな利益を出してくれました。
米ドル円111.265円の時に0.31で仕掛けたプットオプション買いが、5,591まで上昇したのです。
買値から約18倍の上昇、これだけ上昇したのは始めてのことでかなり興奮していました。
ここまでは凄く良かったんです。
3万円が3週間くらいで55.9万円に上昇したんです。
これぞ、FXオプションの醍醐味・・・なんて気分でした。
しかしながら、好事魔多しですね。
この日浮かれた気分になって「ついでに」やった売買がいけませんでした。
乗換売買からリズムが狂い始めた
この後に、「このポジションも切り返しておこう」なんて思い付きでやってしまったのがこの売買です。
参考記事:円高と高ボラティリティ相場を活用した売買
記事にもまとめたポジション決済⇒新規ポジション作成による乗換売買です。
この売買、権利行使価格106円のポジションを権利行使価格105円に乗り換えたことで「より確実に利益になる」ようにしたものです。
これによって権利行使期日は3月25日から5月27日に延びています。
FXオプションのプレミアム変動をみながら思いついた売買で、その時は「素晴らしい技だ!」と思っていました。
でも、今振り返ってみると「勿体なかった」ですね。
高ボラティリティ相場をもっとも効果的に活かせるのは短期保有ポジションです。
高ボラティリティの時期は、スプレッドも大きく広がっているため、乗換売買をするとスプレッド負担が大きくなるというデメリットもあります。
それなのに私は、「権利行使日を3月25日の短期から5月27日の長期」に乗り換え、「0.5前後に拡大したスプレッド負担の大きい状況で売買」という不利になることをしていたのです。
この失敗は、一見わかりにくいのです。
結局は、10万通貨でスプレッド0.5開いたところで「売り」「買い」の両方をすれば5万円相当のスプレッド負担を余計にしている感じになります。
この時は「3月25日の権利行使日まで待ってから次の売買をすべきだった」これが最良の選択肢だったと感じています。
そして、これが売買がチグハグになった始まりでもありました。
米ドル円急上昇⇒コールオプション売りでオーバーヘッジ
この後、米ドル円相場は急上昇します。
私は、当初「大きな往来相場、上げても下がるだろう」という見通しでした。
その見通しに従い、下げれば利益となる「コールオプション売り」を仕掛けていったのです。
これによって、コールオプション売りは合計30万通貨になっていました。
この時保有していたFXポジションは米ドル円買い20万通貨です。
これオーバーヘッジ、つまり「ポジション作りすぎ」なんです。
私のコールオプション売りは、「カバードコール戦略」を基本としていて、「FXの買いポジションと同数量を限度」を上限にしているからです。
これがオーバーヘッジであることは当時気づいていました。
でも、「権利行使日の3月25日まで米ドル円が110円以上に急上昇することはないだろう」とタカをくくっていたのです。
この他にも変な売買をしています。
- 権利行使価格109.00円のプットオプション損きり
- 利行使価格103.00円のプットオプション新規売り
玉帳をみると、この時期は「なぜこんなことをしているのか?」と自分を疑いたくなるような売買が並んでいます。
最後には利益になったものもあるのですが、両方とも「不要な売買」です。
想定外:米ドル円 更なる急上昇
米ドル円はこのあとに更に大きく上昇しています。
このころは、3月25ににまでに110円超えはないと思っていたのです。
でも、107円・108円・109円と1日で数円上昇する勢いでガンガン上昇していきました。
そして、遂に110円を超えて111円まで上昇しています。
「コールオプション売り30万通貨でFX買いポジション20万通貨」
これだと上昇すればするほど10万通貨分の損失が膨らむ形になります。
焦った私は、FX口座で米ドル円買いポジション10万通貨を追加しています。
これでFX買いポジションも30万通貨になったのですが、111円台の高値の買いとなっています。
この状況で、権利行使日3月25日を迎えました。
結局、権利行使日の3月25日の権利行使時間時点では、3本のコールオプションが全て含み損となる111.60円まで上昇したのです。
コールオプション3本の損きり額は829,850円に達しました。
権利行使を迎えたポジションの仕掛け時のプレミアム受取額259,700円を大きく超えています。
- 最終損益:−829,850+259,700=−570,150円
この損失を埋めるためにFXポジションも20万通貨決済しています。
その利益額が733,590円で、FXオプションの損失と相殺する形で163,440円利益を確保したという形です。
反省:蟻の一穴からの失敗
今回の売買は、蟻の一穴のことわざ、そのもののような売買でした。
蟻の一穴(アリノイッケツ)は、「大きな失敗は、ほんのささいなことから始まる」といった意味です。
この一カ月やらなくて良い売買をいくつもしてしまいました。
「不要な乗換売買」、これが3月失敗に繋がる「蟻の一穴」でした。
この売買が、そのあとのチグハグな売買を誘発していき利益を削ってしまったからです。
ここからの反省をもとに、3つの方針を決めています。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
FXオプションで使っているのはサクソバンク証券です。