コールオプション売りを使って利益上乗せする方法
今回はコールオプション売りについてです。
「利益上限あり・損失上限なし」、つまり利益はそんなに出ないけれど、損失は大きく出ることがあるというのが一般的なコールオプション売りの説明です。
これだけだと「リスクだけ高くて利益も少なくて全然良くない!」と思いがちです。
でも、現実にはとても使いやすいオプション注文なのです。
この記事で、コールオプション売りの現実の姿を全体像から使い方までをまとめてました。
コールオプション売り 注文画面の見方
コールオプション売りについての簡単な概略はここでもまとめています。このページの画像をイメージとして頭に入れておくと、この後の理解が進みやすいかもしれません。
参考記事:コールオプション売りについて
まずは、FXオプション注文画面の全体画像をご覧ください。
クリックすると拡大します。薄赤色部分での注文をもとに特長や効果についてご説明していきます。
前回のコールオプション買いの時に使った画像と同じです。
初めての方もいると思うので、繰り返しになりますが全体画像の見方です。
- 左上:米ドル円値 108.476−478
- 左側:コールオプション権利行使価格108.50円
- 右側:プットオプション権利行使価格108.00円
- 権利行使日(満期日) 2020年1月8日
左側のコールオプションで売り注文部分を薄赤色で囲んだ画像がこちらです。
注文はFX同様にビッド値でだします。
薄赤色部分で注文を出す時の内容はこうなります。
- ポジション作成時点の米ドル円値は、108.476円
- 権利行使日:2020年1月8日
- 権利行使価格:108.50円
- プレミアム :0.620
- プレミアム代金:0.620×10万通貨=62,000円
- 損益分岐点:108.50+0.620=109.120円
「売り」ですので、ポジションを作成したときにはプレミアム代金が受け取れます。
この場合、ポジション作成時に62,000円受取です。
このポジションを元に、コールオプション売りの全体像をみていきましょう
コールオプション売りの全体像
このポジションの主要な特長を列挙するとこうなります。
- 必要となる証拠金は米ドル円10万通貨売りと同じ
- 米ドル円上昇なら損失・下落なら利益となるポジション
- 仕掛け時にプレミアム受取が利益上限になる。決済時の損失と合計して最終損益確定
- 満期日に108.50円以上であれば決済(清算)時に損失
- 損益分岐点の109.120円よりも上昇すれば最終損失確定
- どんなに下落しても利益上限は62,000円
ポジション作成時点の米ドル円売り値は、108.476円です。
コールオプション売りは「損失上限なし・利益限定」という特長があります。これは、コールオプション買いの「損失限定・利益上限なし」と正反対になります。
必要資金も違います。コールオプション買いでの必要資金はプレミアム代金だけでした。
コールオプション売りでは、FXと同じ10万通貨分の証拠金が必要となります。
コールオプション売りは、米ドル円が上昇していくと損失になり、下落すると利益になるポジションです。
このケースでは、満期日に権利行使価格108.50円よりも高いと決済(清算)時は損失になり、下落すれば利益確保できます。、
ポジション作成時に62,000円のプレミアム代金を受け取っているので、少々上昇しても最終利益は確保できます。
損益分岐点となる109.120円より高くなると、プレミアム代金受取分を考慮しても損失となる領域にはいります。
これを客観的にみれば、米ドル円現在値が108.476円なのに、64.4銭上昇した109.120円まで最終利益となるポジションという感じにもなります。
一方、下落した場合は利益になります。
とはいっても、利益額は最初に受け取った62,000円だけで終わりです。どれだけ下落してもこれ以上増えることがないのです。
この特長をまとめておきましょう。
- 少しくらい上げても利益確保ができる。
- ただし、利益上限はプレミアム代金に限定される
- 権利行使価格からプレミアム代金以上の上昇となると損失
「利益限定されるのに、損失はどこまでも出る」というのは、言葉だけだと「そんなの嫌だ」という気持ちにもなります。
でも、現実の損益の出方をみると考えが変わってくるかもしれません。
損失がFXよりも少なくなるメリット
コールオプション売りは、相場が上昇すればするほど損失が大きくなるポジションです。活用していく上では、この部分も理解しておく必要があります。
例えば、先程のポジションが権利行使日に米ドル円が115円まで上昇したとしましょう。
損益はこうなります。
- ポジション作成時オプション代金:62,000円
- 権利行使日プレミアム価値⇒権利行使価格108.50−115=損失6.5円
- 10万通貨保有時の損失額⇒ー6.5×10万通貨=損失65万円
- 合計損益:ー65万円+62,000円=損失588,000円
この場合、588.000円の損失が出ます。
もしもですが、単純に108.476でFXの売りポジションで攻めたと仮定してみてください。
このケースでの損益計算はこうなります。
- 108.476−115=−6.524
- 10万通貨保有している場合の損失⇒ー6.524×10万通貨=損失652,400円
- これに、マイナススワップポイント負担もあり
スワップポイント負担部分を考慮しない段階でも、FXでの米ドル円売りよりもコールオプション売りの方が損失を少なくできています。
「FXオプションを、FXよりも損失を減らすために使う」
こういうのもありなんです。
損失を少なくできるという面の他に「利益を出しやすくする」という使い方もあります。
コールオプション売りで利益を出しやすくする方法
先程、利益については「損失分岐点109.120円以下であれば最終利益利益確保できる」と説明しました。
現在値よりも少々上昇しても利益を確保できるので、コールオプション売りは「利益を出しやすい運用」がやりやすいのです。
この「利益の出しやすさ」のバランスも選べます。仕掛ける権利行使価格をもっと上にするだけです。
先程の画像をみて頂くと、中央の権利行使価格で108.50円の下に109.00円・109.50円となっているのが確認できると思います。
109.00円のコールオプション売りであれば、プレミアム0.411です。
10万通貨でコールオプション売りを作成した場合、プレミアム受取額は41,100円になります。
108.50円に比べるとプレミアム受取額は減りますが、損失を出す可能性も減りますよね。
- 損益分岐点:109.00+0,411=109.411円
権利行使価格108.50円で仕掛けたときの損失分岐点は109.120円でした、
権利行使価格を109円にすれば109.411円です。これで、約30銭弱ほど上値まで利益が出せる領域が拡がっています。
こうすることで、利益は減るものの、リスクを減らして利益を出しやすくなります。
私の運用法でも、これらの特長ををふまえた私の使い方をしていきます。
FXオプションからのスワップ投資での使い方
この運用法での、コールオプション売り活用方針です。
- 単独のコールオプション売りは使わない
- FXの米ドル円買いポジションと組み合わせる。
- 往来相場気味・あるいは下げ気味に推移しそうなときに仕掛ける
コールオプション売りは、「利益を出しやすい」傾向があります。この特長を活かして、既存ポジションの利益上乗せ手段として使っています。
最近もこういうポジションを作っています。
この記事の仕掛けポジションは、以下のような状況でした。
- 米ドル円値 :108.61円
- 権利行使価格:109.00円
- プレミアム値:0.326円
- 10万通貨でのプレミアム受取額:32.600円
- 損益分岐点 :109.326円
- 権利行使日:2019年12月18日
これは、「米ドル円108.61円のときに、権利行使日に109.326以下であれば最終利益になるというポジションです。
現在値108.61円→損益分岐点109.326円ですので、現在値から71.6銭の余裕があります。
確率的に、1か月後にどちらに動くかは上げも下げも50%です。
もしも大きく上昇したとしても、大きな問題はありません。
もともとFX買いポジションを保有した状態でやっているので、コールオプション売りで含み損となっても、FX買いポジションの含み益増加で相殺してくれる仕組みだからです。
こういう余裕のあるポジションを入れながら、利益上乗せをしていく目論見でいます。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
FXオプションで使っているのはサクソバンク証券です。