乗換技その1:買いポジションの含み損を減らす方法
今回より、「乗換」についてご紹介します。
この辺のテクニックを知っておくと、含み損対策や買値を有利に持っていくことが可能となります。
この方法は、連載中に既に書いてはいるものもあるのですが、ここで詳細に書かせていただきます。
乗換の技・・知っておくと便利なテクニック
FXオプジョンは、現在値を中心とした権利行使価格を売買します。
なので、米ドル円現在値が131円でも権利行使価格129円の売買ができます。
この特徴を使うと、「FXの含み損を減らす」などFXでは不可能な事が可能となります。
それが「乗換の技」です。
この乗換は知っておくと重宝します。
FXポジションで含み損が増加傾向の時など、苦しい時に局面打開の一手として使えるからです。

たまに、「含み損50万円減らした」とか言いながら、やっているやつだよな。
あれ、ここで書いていいのか?
あんまり知られるとマズイ気もするぞ。
確かに、使い始めた頃は、裏技のような不思議な感じがしたからね。
でも、多分問題ないと思います。
何かに違反している訳でもないし、サクソバンク証券の収益を圧迫するような仕掛けでもないですしね。
いずれにしても、この乗換の技が使えるのはサクソバンク証券だけです。
参考:サクソバンク証券
では、含み損を減らす技についてご紹介しましょう。
含み損を減らす乗換技 最初に
FXで含み損を抱えているポジションを、FXオプションを使って減らすなんてことが本当に出来るのかと思っている方も多いでしょう。
じつは、出来るんです。
やり方をこれから紹介させて頂きます。
最初に断っておきますが、この方法は良い事ばかりではありません。
メリット・デメリット両方ありますので、それも一緒に理解された上でご利用くださいますようお願いいたします。
では、はじめしょう。
使い時:買いポジションで含み損を抱えた局面
例えば、米ドル円買いポジションを131円で10万通貨保有しているとします。
その後、129円まで下げてきた。
この時点で含み損は2円×10万通貨=20万円です。
こいう時は・・・・
- 正直なところ、まだ下げそうだ。
- まだ、下げそうだけど損きりはしたくない。
- 下げ相場が深くない可能性もあるから、当面我慢しよう。
・・・そんな気持ちの時ってありますよね。
「含み損を減らす乗換技」は、こういう時に使います。
ヴォラティリティなど相場環境にもよるのですが、この技を使うと、10万通貨で20万円くらいの含み損はチャラにできることが多いです。
含み損を減らす乗換技 手順
この「含み損を減らす乗換技」は、FXポジション⇒FXオプションにポジションを変更(=乗換)することで含み損をチャラにします。
実際には、以下の手順で売買をします。
FXオプションでポジション作って、FXの含み損を消せるかどうか確認します。
- 買値131円⇒129円で損きり10万通貨
- ここでの収支ー20万円
- 例:権利行使価格129円
- 権利行使期日4か月後
- プレミアム2.00:10万通貨
- ここでの収支2×10万通貨=+20万円
これで、乗換完了です。
FXでの損きり20万円を、FXオプションでのプット売りポジションを作ることで受取った20万円で相殺しています。
FXの含み損はチャラです。

よ〜し、次のポジション作るぞ!
ちょっと待ってください。
状況をしっかり確認しよう。
ここ大事です。
「FXオプションに乗換してメリットがある状態」とは?
まず、1番目の「FXオプションに乗換してメリットがある状態」が大切なポイントです。
仕組みをきっちり理解していないと、「損失を固めるだけ」になってしまうからです。
「FXオプションに乗換してメリットがある状態」とは、具体的には以下のような状況をいいます。
「FXの含み損をプット売りで受取るプレミアムでまかなえる状況」
つまり、こうです。
- FX10万通貨買いポジション 含み損20万円
- FXオプション プット売り プレミアム2.2
プレミアムが2.2ということは、10万通貨のプット売りポジションで、2.2×10万通貨=22万円受取となります。
FXの含み損をプット売りで受取れる金額が上回っていますよね。
この状況にあることが、今回の乗換技を成功させる条件です。
FX⇒FXオプションに含み損が移動
この売買で以下のように変化が出ています。
- ポジション:FX買い⇒プット売りポジション
- 買値内容:FX買値131円⇒権利行使価格129円
プット売りポジションは、「上げ相場で利益・下げ相場で損失」で「利益限定・損失限定なし」という性質を持ちます。
ポジションを作った時に、プレミアム2.00を受取れます。
プット売りポジションを作ったばかりの時は、20万円受け取れはするものの21万円くらいの含み損を抱えた状態となります。
つまり、乗換したばかりの段階では、FXからFXオプションへと含み損が移動しただけという状況です。しかも、ちょっと増えていたりします。
でも、心配は要りません。
日数経過とともに含み損は徐々に減っていく
その含み損は米ドル円が129円以上であれば減っていきます。
今回のケースでは権利行使期日が4ヶ月後ですので、権利行使日に米ドル円が129円以上であれば、プレミアムはゼロ円になりるからです。
こんな感じで、4ヶ月という日数をかけますが、現在20万円の含み損をゼロ円にしていく感じになります。

でも、もっと下げたらどうなるんだ?
その説明も大事ですね。
更に下げたらどうなるか?
プット売りは、「上げ相場で利益・下げ相場で損失」で「利益限定・損失限定なし」という性質を持ちます。
なので、下げた場合は含み損が増える展開となります。
この点、FXで買いポジションを持ち続けたのと同じです。
ただ、FXの買い値は131円ですが、FXオプションの権利行使価格は129円と2円低くなっています。
なので、下げ相場で含み損を抱えるといっても、FXオプションの方が少なくなります。
このケースでは、乗換することで、更なる下げ相場でもFXよりも1通貨あたり2円程度・10万通貨で最大20万円程度有利になります。

ってことは、20+20で40万有利ってことか?
そうはなりません。得する金額はあくまで20万円です。
ここ混乱し易いところです。
ここは、単純に考えるとわかりやすいと思います。
- 129円でFX買いポジションを作った。
- 権利行使価格129円でプット売りを作り20万円のプレミアムを受取った。
- この場合、ポジション作成時にオプションで得をしているのは20万円のみです。
この後、下落した場合でもFXオプションが有利となる金額は20万円を超えたりはしません。
下げた時:FX買いポジションに変更可能
下げた時のもう一つのメリットは、「FXオプション⇒FXにポジション変更」が出来ることです。
4カ月後の権利行使日に米ドル円が権利行使価格129円以下であれば、権利行使方法を「スポット」としておくことで買値129円のFXポジションに変更ができます。
この場合の流れはこんな感じです。
- FX:131円の買いポジション
- FXオプション:権利行使価格129円のプット売り
- FX:129円の買いポジション
この流れでうまくいけば、FXの買値を2円下げられることになりますね。
私も、何度かこの流れでFXポジションにしたことがあります。
ただ、そのままサクソバンク証券口座で保有することはあまりありません。
スワップポイント条件が悪いので、決済して他の口座で建て直しています。
この流れ、サクソバンク証券さんに申し訳ないので・・・・ここだけの話にしておいて下さいね。
上げたらどうなる?
この乗換で悔しい想いをするかもしれないのが、上げた時です。
プット売りは、先程書いたように「上げ相場で利益」なのですが「利益限定」という性質を持っています。
利益限定の最大利益額は、ポジション作ったときに受取った20万円です。
なので、ここからどれだけ大きく上げても利益は増えません。
「FXポジションのままにしておけばよかった・・・・」
上げ相場が大きければ大きいほど、そんな気持ちになるかもしれません。
含み損を減らす乗換技 メリット
- 日数をかけて含み損を減らせる。
- 下げたらFXポジションに変更できる。
プット売りで受取ったプレミアム代金で、FXの含み損をチャラにできます。プレミアム代金は、為替値が動かねばだんだんと減少していきます。
仮に下げたとしても、FXポジションを持ち続けるよりも有利な条件で保有し直すことができます。
含み損を減らす乗換技 デメリット
- 日数がかかる。
- 上げた時に利益を増やすことはできない。
このやり方は、満期となる権利行使日まで4カ月くらいかかります。
この日数待ち続けるのは、慣れないと苦痛かもしれません。
上げ相場で利益を増やすことが出来ないというのも、辛い時があります。
これらの特徴をご理解の上、使ってみて下さい。
FXオプション講座2022 目次
- 第1回:コール買い プット買い 小資金で大儲けの理屈と落とし穴
- 第2回:コール売り・プット売りが勝ち易いのはなぜか?
- 第3回:「売り」で負けることもある 現実の事例
- 第4回:オプションの権利行使価格の見方使い方
- 第5回:最大損失を減らす方法 リスク調整その1
- 第6回:損しにくくする方法 リスク調整その2
- 第7回:インフレ対策にコール売りを使う
- 第8回:荒れ相場でFXオプションで起こる3つの現象
- 第9回:FXとFXオプション比較 6つの売買の復習
- 第10回:まちぶせ戦略・・利益を取りながら目標値まで待つ
- 第11回:一攫千金戦略・・大変動期で大きく狙う
- 第12回:ビッグヘッド戦略・・・長期目線での上げ相場狙い
- 第13回:ツインドラゴン戦略・・・攻撃力2倍で攻める
- 第14回:キングギドラ戦略・・・3倍の凄さとデメリット
- 第15回:ストラングルの売り・・高ボラティリティに仕掛けるメリット
- 第16回:損きりすべきときにしなかった実例
- 第17回:カバードコール戦略の特徴と仕掛け方
- 第18回:リアル運用:カバードコール戦略体験談
- 第19回:乗換技その1:買いポジションの含み損を減らす方法
- 第20回:乗換技その2:下げ相場で有利なポジションを作る方法
- 第21回:現実のポジション解説:下げ相場で有利なポジションを作る方法
- 第22回:乗換の技 その3 売りポジションの含み損を減らす方法
- 第23回:乗換の技 その4 コール売り⇒コール売り
- 第24回:乗換の技 その5 プット売り⇒プット売り
- 第25回:コール売り⇒プット売り 方向転換したいときの乗換
- 第26回:利益出しやすいFXオプション 成績公開しない理由
ここで使っているFXオプション口座はサクソバンク証券です。