「コール買い」「プット買い」で最大損失を減らす
投資家は誰しも損をしたくないものです。
でも、相場運用に損失はつきもので、「損失は必要経費」と考えているプロも多いです。
しかし、FXや株式では歴戦のプロトレーダーでさえ、時には大きな損失を出すことがあります。
FXオプションは、この損失を予め調整しながらポジションを作ります。
これは、FXや株式・CFDにはない仕組みで、オプションだけのものです。
損失リスクを減らす方法は、大きく2つです。
- その1:最大損失額を減らす⇒コール買い・プット買いで使用
- その2:損しにくくする⇒コール売り・プット売りで使用
それぞれについて、どのようにして損失リスクを減らしていくのかと、そのデメリットは何かなどについて、ここから説明させて頂きます。
低リスクのポジションを作りたいときに役立つ部分です。
やり方も簡単ですので、是非参考にされて下さいませ。
まずは「最大損失額を減らす」考え方・仕掛け方についてです。
その1:最大損失額を減らす 概略
この画像は、2022年2月7日朝の米ドル円の価格表で権利行使日6月8日のものです。
このやり方は、コール買い・プット買いのポジションを使います。
「上げ相場で利益・下げ相場で損失」で「損失限定・利益限定なし」⇒FX買いポジション似た性質で大きく上げる時に有効。
「下げ相場で利益・上げ相場で損失」で「損失限定・利益限定なし」⇒FX売りポジション似た性質で大きく下げる時に有効。
両方とも損失限定ではあるものの、仕掛け方によってそれなりに損失が出たりもします。
そして最大損失は、ポジション作成時に支払うプレミアム代金となります。
つまり、プレミアムが小さいFXポジションを作れば、最大損失は少なくて済む訳です。
例えば、権利行使価格を現在値よりも離れたところにすればプレミアムを小さくすることができます。
権利行使価格を調整して最大損失を減らす方法
この画像上の「アスク」の部分がコール買い・プット買いで仕掛けるときに支払うプレミアム値です。
この時点の米ドル円と権利行使日は以下のようになっています。
- 米ドル円現在値115.285円(左上薄赤色部分)
- 権利行使日 2022年6月20日
この画像で、最大損失の一番少ないポジションを作りたい場合、上げ相場狙い。下げ相場狙いのそれぞれで作るとこうなります。
上げ相場狙い
- コール買い
- 権利行使価格121円
- 0.218(画像左下薄赤色部分)
- 1万通貨で2,180円支払
コール買いは、「上げ相場で利益・下げ相場で損失」で「損失限定・利益限定なし」という性質を持ちます。
この場合、損失上限は2,180円です。
- プット買い
- 権利行使価格110円
- 0.473(画像右上薄青色部分)
- 1万通貨で4,730円支払
プット買いは、「下げ相場で利益・上げ相場で損失」で「損失限定・利益限定なし」という性質を持ちます。
この場合、損失上限は4,730円です。
米ドル円現在値115円台で権利行使価格121円と110円の設定なので極端な感じがするかもしれません。
今回のケースは、あくまで「最大損失額を減らす」という趣旨で設定したものですのでご理解ください。
こんなんじゃ、利益でないだろ!5円以上動かないとダメじゃないか!
そうでもないんだ。それほど為替値が動かなくても、1.5倍や2倍くらいに上昇することもあるよ。
え?なんで?
権利行使日まで待たなくても、為替変動次第では、途中決済ができます。
為替相場が権利行使価格まで動かなくても数倍に上昇することがあります。
その仕組みもご説明させていただきます。
権利行使価格が離れていても利益は出るの?
現在値から5円も離れた権利行使価格のオプションを買ったら、損失は少なく済んでも利益を出すのは至難の業だろうと思った方も多いでしゅう。
でも、そうでもないんです。
FXオプションは、途中決済もできるからです。
為替値とともにFXオプションのプレミアム値も変動しますので、ある程度動いたら利益確定するという選択肢があります。
「権利行使日6月8日画像」をもう一度ご覧ください。
仮に、先程のコール買い権利行使価格121円(左下薄赤色部分)のポジションを持ったとしましょう。
この時点の米ドル円値は約115円です。
数日後、米ドル円が4円上昇して119円になったとしましょう。
権利行使価格121円までは行っていません、
それでも、コール買いのプレミアムは上昇します。
プレミアム値目安としては権利行使価格121円ー4円=権利行使価格117円くらいのビッドと同じくらいになります。
つまり・・・0.817・・・です。
コール買いを仕掛けたときのプレミアムは0.218です。
0.218⇒0.817と、約3.7倍上昇
・・・という具合になります。
万が一、米ドル円が更に上昇する事態となれば、このプレミアムは10倍・20倍と上昇することもあります。
こういうケースもあるものの、確率的には損失となり易いということは、間違いありません。
離れた権利行使価格で「買い」を仕掛けるメリット
この仕掛けのメリットは、4つあります。
- 損失を最小限にできる。
- 不利に動いても、損失が増えることはない。
- 途中決済もできる。
- 大きく動けば10倍以上に上昇ということもある。
使い方は様々ですが、少ない費用と少ない損失リスクでポジションを作れます。
大きく動きそうなときに、こういうポジションを大量に仕掛けるというのもありですね。
離れた権利行使価格で「買い」を仕掛けるデメリット
この仕掛けのデメリットは、2つです。
- 権利行使価格が離れているので長期間保有しての最終利益は難しい。
- 相場が動かないときは、損失を出すだけで効果がほとんどない。
オプションのプレミアムは、日数が経過すればするほど値を下げていく傾向にあります。
プレミアム値は、時間的価値とボラティリティなどで決まっているためです。
このため、今回のポジションも1カ月・2カ月と経過するに従い、為替値が動かなければ、プレミアムは少しづつ下がっていく運命にあります。
まとめ・・・権利行使価格を調整する方法
このやり方は、権利行使価格を現在値よりも離れた値にすればするほど、プレミアム値が下がるため、損失を減らす効果があります。
「最大損失を減らす」ことが出来る反面、現在値よりも5円前後離れているため、必然的に「利益は出にくい」ポジションともなります。
短期で数円動く可能性があるときなどは、この方法だと不満を持ってしまうようなこともあるかもしれません。
損失リスクを減らして短期勝負したい!
そんなケースもありますよね。
次は、その方法をご紹介します。
権利行使日を調整して最大損失を減らす方法
最大損失を減らすやり方としては、権利行使価格を調整する以外に「権利行使日を調整」する方法もあります。
FXオプションのプレミアムは、短期で仕掛ければプレミアムが小さくなり、長期で仕掛ければプレミアムは大きくなる傾向があります。
損失リスクを減らして短期勝負したい!
こういう仕掛けをしたい場合は、FXオプションがピッタリです。
実際に、どうやるのかご説明しまうs
画像2をご覧ください。
2022年2月7日時点での権利行使日2月16日のプレミアム値です。
このページ前半の6月8日のプレミアム値(先程のページの先頭にある画像)と比べてみましょう。
- 権利行使価格 115.50円 コール買い
- 権利行使日6月8日 1.515
- 権利行使日2月16日 0.381
同じ権利行使価格でも、権利行使日が違うとプレミアム値が全然違っていますね。
1万通貨のコール買いポジションを保有した場合、支払うプレミアム代金は以下のようになります。
- 権利行使日6月8日:1.515×1万通貨=15,150円
- 権利行使日2月16日:0.381×1万通貨=3,810円
この画像は、2月7日時点なので、権利行使日の2月16日まで9日間と短くなっています。
でも、短期勝負であれば、権利行使日の近いところでポジションを取った方が、逆に動いたときの損失を減らせます。
FXオプションのポジションを作る時は、こういう形で「権利行使価格」「権利行使日」を選びながら仕掛けていきます。
権利行使日までの日数を短くするメリット・デメリットをまとめておきましょう。
権利行使日までの日数を短くするメリット
- プレミアム代金が少なくて済む。
- 最大損失金額も少なくて済む。
世界の政治経済が短期的に緊張が高まっているような時期や、雇用統計などの重要指標の発表が相場変動のピークとなりそうな時には、とても有効に使えます。
権利行使日までの日数を短くするデメリット
- 権利行使日が短い
今回のケースでも、権利行使日までの日数が9日ですので、要注意です。
ちなみに、権利行使日は週単位で設定があります。
なので「9日では短い、1カ月くらい欲しい」なんて場合は、1カ月先の権利行使価格のポジションを検討すればよいだけです。
FXオプションは、権利行使日と権利行使価格を調整することで、様々な攻め方ができます。
有効に使っていきましょう。
FXオプション講座2022 目次
- 第1回:コール買い プット買い 小資金で大儲けの理屈と落とし穴
- 第2回:コール売り・プット売りが勝ち易いのはなぜか?
- 第3回:「売り」で負けることもある 現実の事例
- 第4回:オプションの権利行使価格の見方使い方
- 第5回:最大損失を減らす方法 リスク調整その1
- 第6回:損しにくくする方法 リスク調整その2
- 第7回:インフレ対策にコール売りを使う
- 第8回:荒れ相場でFXオプションで起こる3つの現象
- 第9回:FXとFXオプション比較 6つの売買の復習
- 第10回:まちぶせ戦略・・利益を取りながら目標値まで待つ
- 第11回:一攫千金戦略・・大変動期で大きく狙う
- 第12回:ビッグヘッド戦略・・・長期目線での上げ相場狙い
- 第13回:ツインドラゴン戦略・・・攻撃力2倍で攻める
- 第14回:キングギドラ戦略・・・3倍の凄さとデメリット
- 第15回:ストラングルの売り・・高ボラティリティに仕掛けるメリット
- 第16回:損きりすべきときにしなかった実例
- 第17回:カバードコール戦略の特徴と仕掛け方
- 第18回:リアル運用:カバードコール戦略体験談
- 第19回:乗換技その1:買いポジションの含み損を減らす方法
- 第20回:乗換技その2:下げ相場で有利なポジションを作る方法
- 第21回:現実のポジション解説:下げ相場で有利なポジションを作る方法
- 第22回:乗換の技 その3 売りポジションの含み損を減らす方法
- 第23回:乗換の技 その4 コール売り⇒コール売り
- 第24回:乗換の技 その5 プット売り⇒プット売り
- 第25回:コール売り⇒プット売り 方向転換したいときの乗換
- 第26回:利益出しやすいFXオプション 成績公開しない理由
ここで使っているFXオプション口座はサクソバンク証券です。