FXオプションからの乗換技 コール売り⇒コール売り編
FXオプション⇒FXオプションへの乗換技を紹介します。まずは、コール売りからの乗換技です。
コール売りを仕掛けて上げ相場で苦しんだ時などに使えます。
FXオプション⇒FXオプションへの乗換
乗換技の最後は「FXオプション⇒FXオプションへの乗換」です。
これまで紹介した乗換技は、いずれも「FX⇒FXオプジョン」のパターンでした。
FXポジションで含み損となってきた時に、その含み損を減少させるような目的でFX決済⇒FXオプション新規」という形でポジションを乗換する形です。
これと似たような事を、FXオプションポジション同士で行うことができます。
では、はじめましょう。
乗換対象:コール売りとプット売り
「FXオプション⇒FXオプションへの乗換」の対象となるのは、2種類のポジションです。
- コール売り
- プット売り
「買い」で乗換の検討はする必要がないと思っています。
「コール買い」「プット買い」ともに、最大損失が決まっていてそれ以上に損失が増えることはないからです。
しかも、最大損失は、ポジション作成時に支払うプレミアム代金です。
なので、仕掛けが失敗しても既に支払済みの代金が損失となる覚悟だけ決めればよいわけです。
でも「売り」は、そうはいきません。
「コール売り」にせよ「プット売り」にせよ、流れが不利になれば含み損が拡大していくことになります。
その損失増加を減らしたい・・・そんな時に、今回紹介する乗換技が使えます。
この乗換技を使う局面
まず、「コール売り」「プット売り」のおさらいからいきます。
連載読み続けてきた方であれば、既に耳にタコかもしれませんね(笑)。
スラスラと答えられるはずです。
コール売り
「上げ相場で損失・下げ相場で利益」で「損失限定なし・利益限定」という性質を持つ。⇒つまり、上げ相場で含み損増加のリスクがある。
プット売り
「上げ相場で利益・下げ相場で損失」で「損失限定なし・利益限定」という性質を持つ。⇒つまり、下げ相場で含み損増加のリスクがあり。
・・・ ということでした。
今回紹介する乗換技は、それぞれの「含み損増加局面」で効果を発揮します。
上げ相場・下げ相場でそれぞれこんな状況で使います。
- 上げ相場パターン:コール売りを仕掛けてから上げ相場となり、含み損が増加してきた。更に大きく上げそうにないので持ちこたえたい。
- 下げ相場パターン:プット売りを仕掛けてから下げ相場となり、含み損が増加してきた。更に大きく下げそうにないので持ちこたえたい。
まず「上げ相場パターン」からいきましょう。
上げ相場パターンを仕掛ける状況
- 米ドル円が130円前半から上昇してきた。現在のレートは、136.969円だ、
- 上げの勢いは弱まってきている気がする。
- ここいらでコール売りを入れておこう。
- 権利行使価格は、ちょっと上の137.25円くらいでいいかな。
こんな感じで、コール売りを入れたとしましょう。
左下薄赤色部分が権利行使価格137.25円のコールのプレミアムです。
ここでコール売りを入れると、以下の内容になります。
- 権利行使日8月24日
- 権利行使価格137.25円
- プレミアム 1.248
- 数量10万通貨
- プレミアム受取額:1.248×10万通貨=124,800円
米ドル円が、想定通りにこの辺を天井として権利行使日に137.25円以下であれば、このコール売りは満額利益となり成功ということになります。
でも、いつも成功するはずはありませんよね。
更に米ドル円が上昇しそうになることだって、当然ありますよね。
その場合、「単純にコール売りを損きりして終了」というのも潔くてよいのですが、もう一つ選択肢があります。
「コール売り損きり⇒コール売り新規に乗換」
もうちょっと上値で米ドル円コール売りを作り直します。
しかも、手出しなしで行います。
やり方は、簡単です。
コール売り⇒コール売りの乗換
先程作ったコール売りを決済して、この薄赤色辺りで再度コール売りを仕掛け直します。
仕掛け直すコール売りは以下の内容です。
- 権利行使日2023年1月11日
- 権利行使価格141.50円
- プレミアム 1.549
- 数量10万通貨
- プレミアム受取額:1.549×10万通貨=154,900円
これによって、権利行使価格137.25円より上昇すると含み損が膨らむ予定だったのが、権利行使価格141.50円まで引き上げられたことになります。
つまり、権利行使日に137.25円以上にならなければ損しない状態が、141.50円まで損しないようになった。売りポジションの損発生ラインを4.25円引き上げた感じです。
しかも、収支は・・・・
- 最初のコール売り決済支払:ー134、100円(図1)
- 新規コール売り受取 :+154,900円
- 差引 154,900円ー134、100円=20,800円
乗換による手出しはなく差引20,800円の受取となります。
おお、ミラクルだな。
これ使えば損しないで済むんじゃないの?
なんて、思った方もいるかもしれません。
でも、そんなおいしい部分だけではないんです。
何がどう変わったのか比較してみましょう。
乗換前と乗換後の比較
それぞれの項目を比較していきましょう。
- 乗換前:2022年8月22日
- 乗換後:2023年1月11日
権利行使日が4カ月半くらい延びています。
- 乗換前:137.25円
- 乗換後:141.50円
権利行使価格が上がったので、米ドル円が140円台に乗せても利益をだせる可能性を作っています。
- 乗換前:1.248
- 乗換後:1.549
プレミアム受取収支はプラスにできています。
コールのプレミアムは、上げ相場で増加し下げ相場で減少します。
それと、権利行使期日が近づいていくに従い時間的価値の減少とともにプレミアムも減少し易くなります。
こんな感じです。
良い事ばかりではないという意味に気づいた方もいるかもしれません。
特徴その1:損しにくくはなっている。
権利行使価格が141.50円に出来たので、「損しにくい状態」に出来ているのは間違いありません。
特徴その2:権利行使日までの日数が延びた
乗換前のコール売りは、あと1カ月以内で期日がくるところでした。
ところが、乗換後の権利行使日は来年2023年1月11日です。
約4.5ヶ月延びました。

そんな、待てないぞ!
そういう方も当然いますよね。
実際、乗換前は「期日が伸びるくらい我慢しよう」という気持でも、乗換後数週間もすると「なんか、待てない!」という感じになることもあります。
この辺、意識しておかねばなりません。
特徴その3:プレミアム変動にビビルこともある
この後、更に米ドル円が上昇するとプレミアムも上昇します。
米ドル円が140円くらいまでいくと、プレミアムも2を超える状況になっていきます。
こうなると、意外にストレスを感じることがあります。
「権利行使価格までもうちょっと余裕あるけど、ここで決済すると損失が大きめになる。」などど感じるからです。
更に米ドル円が143円くらいになるとプレミアムは、4くらいに上昇します。
「ああ〜、素直に損きりしておけば良かった」
なんて気持ちになることもあるかもしれません。
再乗換の可能性もある
米ドル円が緩やかに上昇するような局面では、数ヶ月後に141.50円から更に再乗換ということが出来ることも有ります。
権利行使価格143円くらいのコール売りに乗換られれば、米ドル円が更に上昇しても損しにくくなりあす。
根気はいるものの、「上げ相場で損しにくい状態」を作ることはできますので、私はたまに使っています。
放っておく予定のポジションで、出来るだけ損失を出したくない。
そんな時におすすめです。
次回へ続きます。
FXオプション講座2022 目次
- 第1回:コール買い プット買い 小資金で大儲けの理屈と落とし穴
- 第2回:コール売り・プット売りが勝ち易いのはなぜか?
- 第3回:「売り」で負けることもある 現実の事例
- 第4回:オプションの権利行使価格の見方使い方
- 第5回:最大損失を減らす方法 リスク調整その1
- 第6回:損しにくくする方法 リスク調整その2
- 第7回:インフレ対策にコール売りを使う
- 第8回:荒れ相場でFXオプションで起こる3つの現象
- 第9回:FXとFXオプション比較 6つの売買の復習
- 第10回:まちぶせ戦略・・利益を取りながら目標値まで待つ
- 第11回:一攫千金戦略・・大変動期で大きく狙う
- 第12回:ビッグヘッド戦略・・・長期目線での上げ相場狙い
- 第13回:ツインドラゴン戦略・・・攻撃力2倍で攻める
- 第14回:キングギドラ戦略・・・3倍の凄さとデメリット
- 第15回:ストラングルの売り・・高ボラティリティに仕掛けるメリット
- 第16回:損きりすべきときにしなかった実例
- 第17回:カバードコール戦略の特徴と仕掛け方
- 第18回:リアル運用:カバードコール戦略体験談
- 第19回:乗換技その1:買いポジションの含み損を減らす方法
- 第20回:乗換技その2:下げ相場で有利なポジションを作る方法
- 第21回:現実のポジション解説:下げ相場で有利なポジションを作る方法
- 第22回:乗換の技 その3 売りポジションの含み損を減らす方法
- 第23回:乗換の技 その4 コール売り⇒コール売り
- 第24回:乗換の技 その5 プット売り⇒プット売り
- 第25回:コール売り⇒プット売り 方向転換したいときの乗換
- 第26回:利益出しやすいFXオプション 成績公開しない理由
ここで使っているFXオプション口座はサクソバンク証券です。