「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」をFXオプションで確実に減らす方法
FXオプションを使うことで確実に制御できる損失リスクとそのやり方についてまとめました。
今回の記事は、連載を自分で読み直していて「伝えきれていない部分」と感じたので補足させていただきます。
FXオプションでの損失リスク「損失限定」とか「損しにくい」などと似たような表現を使ってきました。
ここは混乱しがちな部分なのでここで整理させていただきます。
FXオプション 2つの損失リスクについて
FXオプションでは、損失リスクは2つに分けて考えると良いと思います。
- 損するかもしれないリスク
- 大損するリスク
FXでは、この2つは運用スタイルによって違ってきます。
- 高勝率運用(数銭単位でこまめに利益をだしていく)⇒損しにくいが、損失を出したときは大き目になりやすい。
- 損きりを多用する運用法⇒損し易いが、1回辺りの損失額は少な目
FXでは売買のやり方で変わってくる部分なので、無理に分けて考える必要はないんですよね。
FXオプションでは、作る「ポジション」によって「損失リスク」が大きく違ってきます。
なので、FXオプションを使えばFXでは不可能な損失リスの制御ができてしまうのです。
やり方は簡単で、FXオプションを「買い」で仕掛けるか「売り」で仕掛けるかの違いです。
それだけで、「損失リスクの取り方」が違ってきます。
「損するかもしれないリスク」を減らす「売り」ポジション
そのトレードが「損失になりやすいかどうか」についての部分が、「損するかもしれないリスク」です。
この「損するかもしれないリスク」を減らすには、FXオプションでは「売り」を使うことで可能となります。
- コールオプション売り
- プットオプション売り
いずれも「利益限定・損失限定なし」という性質を持ちます。
同時に、この2つの「売り」は確率的に「利益となりやすい」傾向があります。
裏を返せば、「損するかもしれないリスクを減らしたポジション」が自然にできるということです。
具体的にそれがどのようなものか、この画像をご覧ください。
この画像は、米ドル円レート109.83円でのプットオプションの売買画面です。
薄赤色部分が、損しにくいポジションを作りたいときに仕掛ける部分です。
この画像で作るポジションは「プットオプション売り」です。「上げ相場で利益・下げ相場で損失」という性質を持ちます。
権利行使価格別に、プレミアム価格を抜き出してみましょう。
- 権利行使価格107.00円:プレミアム0.176
- 権利行使価格107.50円:プレミアム0.239
- 権利行使価格108.00円:プレミアム0.322
- 権利行使価格108.50円;プレミアム0.427
- 権利行使価格109.00円:プレミアム0.566
- 権利行使価格109.50円:プレミアム0.750
記事を書いている日が2月17日で、この画像の権利行使日が4月8日です。
それぞれ、権利行使日にこれらの権利行使価格まで下がらなければプレミアムは満額受け取れます。
仮に権利行使価格よりも下がったとしてもプレミアム以上下がらねば最終利益は確保できます。
最終利益が確保できるラインを、私は「損益分岐点」と呼んでいます。
例えば、権利行使価格107円のプットオプション売りを仕掛けた場合の損益分岐点はこうなります。
- 損益分岐点=権利行使価格107円ー0.176=106.824円
米ドル円レート109.83円で仕掛けて、106.824円よりも下がらねば損失にはなりませn。
この条件であれば、最終的に損失になる可能性は大分薄いですよね。
これが、「損するかもしれないリスクを減らす」という意味です。
この「売り」は、「出来るだけ損をしたくない」あるいは「高勝率で勝ちやすいトレードをしたい」というときに使えます。
でも、このポジションは損しにくいけれど損失は限定されていません。
為替相場の展開次第では大きな損失をこうむる可能性もあります。
「損しにくい」よりも「損失限定」を防ぐことの方を重要視するのであれば、次の「大損するリスクを減らす」ポジションが有効になります。
「大損するリスク」を減らす「買い」ポジション
これは、「損失額自体が大きくなるかどうかのリスク」です。FXオプションは、あらかじめ「大損しないようにする」ということができます。
それが、「大損するリスクを減らす」という意味です。
これに該当するポジションが以下の2つです。
- コールオプション買い
- プットオプション買い
2つとも、「損失限定・利益限定なし」という性質を持ちます。
ポジション作成時の必要資金も少なく済む傾向があり、損失自体も限定されます。
実際のポジションは以下の画像で説明させていただきます。
先程の画像1と同時館の米ドル円プットオプション買いできるプレミアム表です。
薄赤色部分となっているところが、プットオプション買いができる権利行使価格です。
これも画像該当部分を抜き出してみましょう。
- 権利行使価格107.00円:プレミアム0.243
- 権利行使価格107.50円:プレミアム0.306
- 権利行使価格108.00円:プレミアム0.388
- 権利行使価格108.50円:プレミアム0.493
- 権利行使価格109.00円:プレミアム0.633
- 権利行使価格109.50円:プレミアム0.818
- 権利行使価格110.00円:プレミアム1.058
- 権利行使価格110.50円:プレミアム1.363
- 権利行使価格111.00円:プレミアム1,729
- 権利行使価格111.50円:プレミアム2,142
プットオプション買いでは、このプレミアム部分が「損失上限」となります。
損失上限ですので、これからどのような相場変動があってもこれ以上は損しないということです。
- 0.243×10万通貨=24,300円
このポジションは米ドル円が107円を割るところまで下げないと大きく上昇することはありません。
この時点の米ドル円レートが米ドル円レート109.83円ですので、最終利益を出すには厳しいポジションです。
でも、最大損失は24,300円に限定されます。米ドル円がどれだけ上昇しようとも損失額が増えることはありません。
FXオプションで、コールオプション買いやプットオプション買いを使う限り、「大損するリスクを減らす」ことが確実にできます。
でも、損しにくいわけではありません。むしろ、確率的に損失になりやすいという特長があります。
FXオプションを使うことで、2つの損失リスクのどちらかを確実に制御することができます。
それは同時に「どちらの損失リスクを制御するか」を選ぶという意味でもあります。
- 「損しにくい事」を重視するか。
- 「大損リスクを減らす事」を重視するか。
- どちらかを選んで制御する。
両方を実現することはできません。
どちらかを重視するかで目的に合ったポジションを選ぶ感じになります。
FXと組み合わせてパワーアップ
「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」を分けて考えるのは慣れるまではややこしい部分です。
でも、この仕組みのお蔭でFXオプションは「損失のコントロールがしやすい」のです。
FXと組み合わせることで、この有益性はさらに拡がります。
例えば、こういう売買です。
- FX買いポジション+コールオプション売り⇒相場上昇時には、コールオプション売りで発生する損失をFXポジションが補ってくれる。
- FX買いポジションではなくプットオプション売りから仕掛ける⇒利益を出しやすいポジションで攻めて、大きく下落したときは有利な値でFXポジションとして引き取る
- FXでは攻めきれない暴落・暴騰相場の攻略⇒大損する可能性のない「FXオプション買い」で攻める。
FXとFXオプションをそれぞれ有利な局面を選んで使い分けていきます。
損失額もある程度コントロールしていけるので、長期的に安定した運用にもつなげられるはずです。
この組み合わせは現在も試行錯誤中ですので、実際に仕掛けたポジションで順次紹介させていただく予定です。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
FXオプションで使っているのはサクソバンク証券です。