【仕掛け 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」について
FXオプションからのスワップ投資の仕掛け方は、3種類あります。
一の型・二の型・三の型に分かれて、「一の型」を基本形としています。
それがどのようなものかについて、ここで説明させていただきます。
FXオプション仕掛けのルール
FXオプションからのスワップ投資の仕掛けは、米ドル円の大きな方向性を見ながら決めます。
「米ドル円の大きな方向性」は、現在値と75日移動平均線との関係をみて判断します。
- 現在値が75日移動平均線より上・・・「上げ相場」
- 現在値が75日移動平均線より下・・・「下げ相場」
「上げ相場とみるか」か「下げ相場とみるか」で作るポジションが違ってきます。
仕掛け 3つの型
米ドル円現在値と移動平均線の方向性を元に仕掛けるポジションは3種類あります。
- 一の型:下げ相場の時⇒米ドル円 プットオプション売り
- 二の型:上げ相場の時⇒米ドル円買い+コールオプション売り
- 三の型:単純なFX買いポジション
一の型が基本形です。
理想として、下げ相場からの仕掛け基本としています。
この理由は、後からみれば「米ドル円ポジションの買い平均値を安く有利にできる」からです。
上げ相場での仕掛けは「上げてきたけれど、まだまだ安値圏」と判断できるときだけにしています。
現在のところ、この基本形である「一の型」を中心に仕掛けています。
ただ、将来的に「二の型」「三の型」もよく使うようになるかもしれません。
いずれにしても、この3つを軸にポジションを作っていきます。
一の型(下げ相場での仕掛け」のポイント
米ドル円がある程度下げてFXポジションを作ろうかと思っている時が基本形の新規ポジションの仕掛け時です。
経験ある方も多いと思いますが、「大底をいつでもピタリと当てる」ことは、どんな天才相場師でもできません。
「買っても少しくらい下がる」なんてのは当たり前です。
このパターンを「安値で米ドル円買いポジションを作るチャンス」に変えていくというのが「基本形の狙っているところ」です。
作るポジションは、「米ドル円プットオプション売り」です。
プットオプション売りは、「将来有利な米ドル円買いポジション」を作る方法として使えます。
米ドル円が下げてきて、現在値は109円だっとします。ここでFXで成行買い注文を出せば、当然のことながら出来上がるのは「109円買いポジション」です。
ここでFXオプションで権利行使価格108.50円のプットオプション売りポジションを作ったとしましょう。
例えばこんな感じです。
- 権利行使価格108.50円
- 権利行使日4月29日
- プレミアム1.453
- 売買数量10万通貨
この値は2019年12月31日のサクソバンク証券プットオプション売りの実際のレートです。
このポジションを作った段階で1,453×10万通貨=145,300円のプレミアムが受け取れます。
この後、権利行使日に「米ドル円が108.50円未満」になっていたらFX口座で108.50円の買いポジションが発生します。
- FX口座で普通にやっていれば109円の買いポジション
- FXオプションから始めれば・・・
- 108.50円の買いポジション+プレミアム受取145,300円
相場が下落し、FXポジションが発生する状況となった場合、FXよりもFXオプションの方が相当有利になります。
これが「メリット」です。
逆に、権利行使日に108.50円よりも上昇してしまえば、プレミアム受取のみで終了となります。米ドル円が110円を超えて大きく上昇しても値上がり益は取れません。
これが「デメリット」です。
基本形でのポジション作成は、この両面を意識して行います。
一の型:プットオプション売りの選定基準
プットオプション売りといっても、「権利行使日・権利行使価格」によって多くの種類があります。
おそらく、最初のうちは「どれを仕掛けたらよいか」かなり悩むはずです。
参考までに、私の基準を紹介させていただきます。
- 権利行使価格:米ドル円現在値近辺
- プレミアム:1.5以上の利益になるタイプ
- 権利行使期日:3〜6ヶ月くらいの期間
仕掛ける権利行使価格は、現在値近辺です。
米ドル円現在値が109円であれば109円または108.50円・108.75円のあたりで選びます。
これは「プレミアムをできるだけ多く取るため」です。
FXオプションは現在値近辺でもっともプレミアムが大きく付きやすい傾向があります。「売り」で利益を効率よく大きく取りたいのであれば、現在値近辺が狙い目です。
「プットオプション売り」で受け取るプレミアムは、1.5以上のものを狙っていきます。
半年くらい前までは「プレミアム2以上」を基準としていました。
ところが、ここのところの米国の利下げでプレミアム水準も下がってしまっているので、私の基準も下げています。
プレミアムは、権利行使日までの期間が長ければ長いほど高くなる傾向があります。
これは、プレミアム構成要素に「時間的価値」があるためです。
時間的価値は、期間が長ければ長くなるほど高くなります。
これは、長期間保有すると蓄積していくFXのスワップポイントとよく似ています。
このため、プレミアムで1.5以上取れるものを探すと、自然に3〜6ヶ月くらい先の権利行使日を選ぶことにもなります。
実際に仕掛けたのがこのポジションです。
基本形で実際に仕掛けたポジション
参考事例:基本形でのポジション作成例
この記事中の「3月21日 米ドル円プットオプション売り作成」部分が基本形のポジションの作り方です。
当時の内容はこうでした。
- 作成日:2019年3月21日
- FXオプション内容:米ドル円 プットオプション売り
- 作成時点の米ドル円:110.740円
- 権利行使価格:110.00
- 権利行使期日:9月4日
- 売買数量10万通貨
- プレミアム:2.358
- 10万通貨の受取額:2.358×10万通貨=235,800円
「権利行使価格」は当時の米ドル円値110.740円近辺の110.00円です。
「プレミアム」は、2,358で、10万通貨で235,800円受取っています。
「権利行使期日」は、3月21日仕掛け⇒権利行使日9月4日ですので、約5か月半です。
これ以外も、似たような基準で仕掛けています。
この後、9月の権利行使日には実際に110円の買いポジションが発生しています。プレミアム受取の235,800円はそのまま利益です。
つまり、こんな感じです。
- FXオプション⇒FXポジションとなった場合の状況:110円の買いポジション+235,800円
FXで単純に110.74円の買いポジションを作るよりも、大分有利になっているというのはお判りいただけると思います。
基本形:権利行使日の対応
既に書いていますが、プットオプション売りは、権利行使日の米ドル円値によって「FXポジションが発生する場合」と「発生しない場合」があります。
- 権利行使価格以上⇒プレミアム受取のみで終了
- 権利行使価格未満⇒プレミアム受取+FXポジション発生
FXオプションを保有し続けることで、どのような値動きになろうとプレミアム受取が利益として計上できます。
この運用法では、「FXポジションが発生しない場合」は、また時期をみながらポジションを仕掛けていくことになります。
FXポジションが発生したら、そのポジションを活かした運用に入っていきます。
二の型(上げ気味の相場での仕掛け)
往来相場や、ゆるやかに上昇しそうな流れのときに使うのがこの「二の型」です。仕掛け方は「FX+FXオプション」の形になります。
- FX:米ドル円買いポジション
- FXオプション:コールオプション売り
*FXオプションの教科書に必ず書いてある「カバードコール戦略」と同じ形です。
上げているときの仕掛けですので、高値掴みになりやすいという欠点があります。
そのため、この仕掛けは安易に使わないようにしています。
「二の型」の特長
- ゆるやかな上げ相場または往来相場
- 米ドル円現在値108.00円
- コールオプション:権利行使価格108.50円・プレミアム0.3程度
「二の型」は、ここで「米ドル円10万通貨買いポジション+コールオプション売り10万通貨」という仕掛けをいれます。
コールオプション売りは、「米ドル円が下げると利益・上げると損失になる」ポジションです。
FXに置き換えれば「米ドル円売りポジション」に近い性質を持ちます。
「上げると損失」とはいっても、権利行使価格は現在値108円よりも50銭高い108.50円です。
つまり、このコールオプション売りは現在値よりも50銭上昇してもプレミアム0.3(30銭相当)の利益が出ます。
50銭上昇すれば、FXの米ドル円買いポジションにも利益が乗ります。
下げた場合、FXポジションでは含み損を抱えるものの、コールオプション売りでは30銭相当のプレミアム利益が確定します。
この「二の型」のポジションの特長をまとめてみましょう。
- ゆるやかな上げ相場・往来相場で仕掛けると有効
- 少しの上げ相場:FX+FXオプションのダブル利益となる
- 少しの下げ相場:FXオプションの利益がFXの損失を補ってくれる
- 大きな上げ相場:FXオプション損失+FX利益、全体では利益確保
- 大きな下げ相場:FXオプション利益になるがFX損失大きく、全体としては損失になりやすい
こんな感じになります。
「二の型」 具体的な仕掛け事例
この「二の型」は、昨年も何度か仕掛けています。
この時の仕掛けはこうでした。
- FX:米ドル円買い107.390円 10万通貨
- コールオプション:権利行使価格108円・プレミアム0.487
米ドル円買いポジションが107.390円で権利行使価格が108円ですので、権利行使日の米ドル円が107.390−108.00円の範囲内であればダブル利益獲得という仕掛けです。
この時は、この後にもう1本コールオプション売り10万通貨を入れています。
このポジションの最終結果はこうなっています。
参考:11月14日権利行使日
最終的には、FXオプション部分20万通貨は、+3,050円という成績になっています。
1本目の10万通貨は損失でした。
- 仕掛け時:48,700円プレミアム受取利益
- 権利行使日;75、950円の損失
- 合計損失:48,700円ー75,950円=27,250円の損失
2本目の10万通貨は利益です。
- 仕掛け時:30,300円のプレミアム受取利益
- 権利行使日:プレミアム価値ゼロになり損失もゼロ
- 合計利益:30,300円ー0円=30,300円の利益
こんな具合で、トータル3,050円の利益を確保しています。
FXポジションの方は、買値107.390円ですので、権利行使日の108.7595円の時点では136,950円の含み益+スワップポイント累積25,760円=約162,710円の含み益増加という状況になっています。
たまたまですが、理想としているダブル利益確保の形にできています。
「二の型」プレミアム・権利行使日・権利行使価格の選定
「二の型」で仕掛けるコールオプション売りは、今のところ以下の基準で選んでいます。
- 権利行使価格:現在値よりも高いところ
- プレミアム0.3以上を目安
- 権利行使日までの期間:1ヶ月半以内くらい
この「二の型」で注意していただきたいのは、「プレミアムが少ない時」です。
プレミアムが少ないときに無理に仕掛けるのは止めた方が良いです。
コールオプション売りは、「上げ相場利益:下げ相場損失」で「損失限定なし」という特長があります。
大きな上げ相場となれば、相応の損失となります。単純なFX買いポジションであれば、そのまま大きな利益になるのに、それを無にしかねないのです。
僅かなプレミアム受取にこだわったがために、大きな利益チャンスを失うことは避けねばなりません。
私は、プレミアムの最低基準を「0.3(スプレッド30銭相当)」に置いています。プレミアム0.3に大きなこだわりがあるわけではありません。
ただ、0.1や0.2では少ないけれど0.3なら「まあまあ満足できるかな」という程度の感覚です。
コールオプション売りは、期間を3〜6カ月程度に長くすればプレミアム0.5や1.0近くというのも可能です。
でも、そのためには3〜6ヶ月コールオプション売りを持ち続けねばなりません。こうすると「米ドル円が大きく上昇すると困る期間」が長くなってしまいます。
この辺を意識して、「プレミアム0.3以上」「権利行使までの期間1カ月半以内」というのを目安にしています。
三の型・・・単純なFX買いポジション
「三の型」は、仕掛けのタイミングだと感じてはいるものの、「一の型」「二の型」だと不利になりそうなときに使います。
- FX口座で米ドル円買いポジション
「三の型」は、普通にFX口座で米ドル円買いポジションを作成します。
この運用法では、FXオプション⇒FXポジションの流れでポジションを作っていくのを基本形としています。
ただ、相場の流れ次第では「ここはFXオプションを使わない方が良い」ということもありえます。
FXオプションからFXポジションを作るのは「買い平均値を有利に持っていく」という点で優れています。
その一方で、「FXポジションが発生するまでの日数がかかる」という一面もあります。
状況によっては、これが「裏目」にでてしまうかもしれません。
例えば、「この下げ相場は短期で終わりそうだ」という場合です。上げ濃厚と感じる局面の下げは、数日〜数週間で下げ相場が終わってしまいます。
FXオプションでのプットオプション売りだと「プレミアム受取で終了」となってしまう局面です。
利益は出るとはいっても、そのあとに大きな上げ相場となると「一の型」にこだわると、ポジションを作るチャンスはなかなか来ません。
この運用法は、2019年3月開始してからまだ9ヶ月ほどです。ルール固めはこれから数年をかけてやっていくことになります。
その意味でも、シンプルにFXポジションを作る「三の型」という選択肢を作っておくことにした次第です。
「一の型」「二の型」の欠点を「三の型」で補う
「一の型」「二の型」ともにFXオプションを使うことで、相場が逆境したときには損失を減らす効果があります。
弱いところは、「短期変動に対応しきれない」「利益を大きく伸ばすのが難しい」ところです。
「目先、大きく動きそうだ」と感じるときは、単純にFXポジションで攻めた方が良いときです。
今後の運用では、この辺を使い分けていきます。
2019年のFXオプション利益・・「一の型」「二の型」の恩恵
この「一の型」「二の型」でのFXオプションの仕掛けがどれくらいの利益を産み出したのかもご覧ください。
この記事の「総合損益70万円突破 全体まとめ」のところです。
「FXオプション損益916,595円」となっています。
この部分は「一の型」「二の型」での損益が中心になっています。
1回1回のプレミアム受取額は数万円〜20万円くらいなのですが、9ヶ月・1年と続けていくと結構な利益になります。
2019年のこの時点の総合損益は約73万円ほどです。
FXオプション部分の利益が全体の損益に大きく貢献してくれています。
2020年もこのパターンを続けていきます。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
FXオプションで使っているのはサクソバンク証券です。