大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 長期と短期 使い分けのポイント
上げても下げても良い、大きく動けば利益になる。
このストラドル買い戦略は、FXオプションならではの仕掛け方です。
今回は、ストラドル戦略を短期で使う場合と長期で使う場合の使い分けのポイントをまとめました。
上げでも下げでも良いから大きく動けば利益
「上げでも下げでもよい。大きく動けば利益になる」
FXオプションにはこういう攻め方もあります。
「ストラドルの買い戦略」と呼ばれているやり方です。
2020年3月2日現在、大きく動く為替相場にピッタリの戦略かもしれません。
ストラドルの買いは、2つの買いを一緒に仕掛けて行います。
- コールオプション買い
- プットオプション買い
2つとも「買い」ですので、「損失限定・利益限定なし」という性質を持ちます。
ポジションを仕掛けた時に支払うプレミアム代金が最大損失になります。
一定値幅以上の大きな動きになれば、あとは利益が増えていくだけです。
リスク限定で大きく狙う時に有効な戦略です。
こう書くと「とっても魅力的な戦略」に聞こえるかもしれません。
実際に魅力的な戦略です。
当然ながら、抑えておくべきリスクもあります。
現実のレートをもとに、ストラドル戦略を使う上で抑えておくべきポイントや有利不利をまとめてみましたので、ご覧ください。
調度良い具合に、2019年3月はストラドル戦略をしかけたくなるようなボラティリティの高い荒れ相場となっています。
ケース1:長期のストラドル買い戦略
権利行使期日4月8日の米ドル円プレミアムです。
ストラドル買い戦略を仕掛ける期間としては長期の部類に入るかなと思います。
- 月日:3月2日 7時30分頃
- 米ドル円値 107.73円
ここで現在値に一番近い権利行使価格107.50円の2つのオプションを買います。
- コールオプション買い プレミアム1.338
- プットオプション買い プレミアム1.311
- プレミアム合計:1.338+1.331=2.649
この仕掛けの大きなポイントの一つは「必要資金少な目で仕掛けられること」です。
ポイント1:必要資金はFXの数分の1
ストラドル買い戦略は、「買い」ですので、ポジションを仕掛けたときに2.649のプレミアム代金を支払います。
- 1万通貨で26,490円
- 10万通貨で264,900円
この代金が「損失上限」です。このポジションで、これ以上の損失を出すことはありません。
そして、必要資金も損失上限もこの金額で済みます。
FXであれば米ドル円買いポジションを10万通貨保有するには、必要証拠金だけで44万円ほど必要になります。
短期売買でレバレッジ10倍くらいで売買するとしても、10万通貨売買となれば口座には100万円くらいは入金しているものです。
それは、このケース1では、264,900円で済んでしまいます。
次に抑えるべきポイントは「利益が出る地点=損益分岐点」です。
ポイント2:損益分岐点
プレミアム合計2.649はFXのスプレッド換算で2.649円に相当します。
このストラドル買いの仕掛けは、相場が権利行使価格107.50円から2.649円以上動けば利益になります。
あとは、権利行使期日4月8日までに米ドル円相場が2.649円以上動くのを待つばかりです。
107.50円から上下2.649ですので、上げ相場・下げ相場それぞれ以下の値が利益の出る目安です。
- 上げ相場:107.50+2.649=110.149円
- 下げ相場:107.50−2.649=104.851円
利益が出るようになる値幅滞は「104.851円よりも下がるか、110.149円よりも上昇する」のどちらかです。
大きく動きそうな局面ですが、利益が出るところまで動くかどうかはなかなか微妙な感じでもありますね。
今回の3月2日時点は。いつもよりもプレミアムが高くなっているので利益が出るようになる値幅滞も広目になっています。
これは、ボラティリティが高水準になっていることが影響しています。
ここのところの新型コロナウイルス騒動でボラティリティは、ここ数年で最高水準になっています。
ストラドル買いで利益を出しやすいかどうかは、ボラティリティも大きく関係してきます。
利益が出るまでの値幅をもっと狭くすることもできます。
それは「期日をもっと近くする」ことで可能となります。
ケース2で権利行使期日をもっと短期にした場合を考察してみましょう。
ケース2:短期のストラドル買い戦略
この画像は、権利行使期日3月11日のプレミアムです。
ここで先程同様に現在値に一番近い権利行使価格107.50円の2つのオプションを買います。
コールオプション買い プレミアム0.935
プットオプション買い プレミアム0.774
プレミアム合計:0.935+0.774=1.7090
プレミアム合計1.7090はFXのスプレッド換算で1.7090円に相当します。
このストラドル買いの仕掛けは、相場が権利行使価格107.50円から1.7090円以上動けば利益になります。
ポジションを仕掛けたときに、このプレミアム代金を支払います。
- 1万通貨で17,090円
- 10万通貨で170,900円
この代金が「損失上限」です。
必要資金も損失上限もこの金額で済みます。
この流れは、ケース1と全く同じです。
107.50円から上下1.7090円ですので、上げ相場・下げ相場それぞれ以下の値が利益の出る目安です。
- 上げ相場:107.50+1.7090=109.209円
- 下げ相場:107.50−1.7090=105.791円
利益が出るのは「105.791円よりも下がるか、109.209よりも上昇する」時になります。
ケース2の方が利益が出るまでの値幅は2円近く狭くできます。
だからといってケース2が有利とは言い切れません。
ケース1とケース2 どちらが有利か
2つのケースを比較してみましょう。
- 月日:3月2日 7時30分頃
- 米ドル円値 107.73円
- ケース1:4月8日
- ケース2:3月11日
- ケース1:104.851円未満または110.149円超
- ケース2:105.791円未満または109.209円超
どちらが利益を出しやすいでしょうね。
1週間くらいで大きく動きそうであればケース2の方が良いかもしれません。
例えば、今週の雇用統計のように重要指標発表があるときなどです。短期変動が見込めるときには、ケース2が良さそうです。
ただ、3月2日時点で3月11日権利行使期日ということは9日間、土日を除けば為替売買ができる日は7日間しかありません。
7日間で2円近い値動きは、値動きが激しいとはいっても、ちょっと厳しい局面の方が多いです。
この記事を追記しているのが3月9日で、米ドル円現在値は103円後半です。
現実レートでは、このストラドル買い戦略がうまくいきそうな値動きでした。
ただ、いつもこううまくいくかはわからないです。
変動要因が長引きそうなときは、ケース1の少し長目の方が利益にできる可能性は高まります。
状況を見ながら、短期で攻めるか長期で攻めるかの使い分けをしていく必要がありますね。
FXオプションからのスワップ投資 目次
- 第1回:FXオプションを使ってスワップポイント投資の安全性を高めた運用法
- 第2回:スワップポイント生活 低リスク+含み損減とできる方法実行中
- 第3回:FXオプション注文画面の見方「権利行使価格」「権利行使期日」「プレミアム」の仕組み
- 第4回:FXオプション プレミアム売買の仕組み
- 第5回:「途中決済」「スポット」「キャッシュ」の違い FXオプション決済方法
- 第6回:コールオプション買い「損失上限あり・利益上限なし」はこう使う
- 第7回:コールオプション売り「利益上限あり・損失上限なし」はこう使う
- 第8回:プットオプション買い 暴落相場をリスク限定で攻める有効な一手
- 第9回:プットオプション売り FXよりも安値でポジションが作れる仕組み
- 第10回:FXオプションからのスワップ投資 概観
- 第11回:スワップポイント生活の新しい形 手順1〜4
- 第12回:【準備】FXオプションからのスワップ投資 売買ルール編
- 第13回:【運用通貨選び】高スワップポイント手動は失敗の元
- 第14回:【運用資金目安】「リスク管理のための保有数量基準」について
- 第15回:【仕掛け方 3つの型】「一の型」「二の型」「三の型」考え方と基準
- 第16回:【FXオプション⇒FX変換後の運用ルール】 5つの攻め方
- 第17回:ポジション増のタイミング
- 第18回:FXオプション 運用上重要な基本事項 まとめ
- 第19回:「損するかもしれないリスク」と「大損するリスク」FXオプションで確実に軽減する方法
- 第20回:FXオプション 実践者が感じる4つのデメリット
- 第21回:「損失限定・小資金で勝負」「上げ相場でも下げ相場でもスワップ投資」
- 第22回:往来相場を狙うストラングル売り戦略 魅力と欠点
- 第23回:大きな変動相場を取るストラドル買い戦略 短期と長期 使い分けのポイント
- 第24回:低リスクで利益率10%戦略 概要と失敗時の対処法
- 第25回:FXオプションを使い始めてFXの成績も良くなったのはなぜ?
- 第26回:超高ボラティリティ相場で有効 ストラングル売り戦略
- 第27回:読者の声:スプレッド拡大期の対処について
- 第28回:FXオプションをFX投資家の「もう一つの収入源」にする
- 第29回:FXオプション失敗からの教訓【2020年3月】
- 第30回:玉帳記入徹底のすすめ FXオプション失敗からの教訓その1
- 第31回:FXオプションの玉帳記入方法
- 第32回:失敗しないためにログイン前に決めるべき3つの事:FXオプション失敗からの教訓 その2
- 第33回:特殊ルール追加と基本ルールの位置づけ:FXオプション失敗からの教訓 その3
- 最終回:スワップ派 もう一つの砦 ここまでの実績と今後の展開
- 参考資料:移動平均線とRSIを使用 MT4に設定する方法
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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