ストラドルの買い 一見とても魅力的なFXオプション戦略の落とし穴
FXオプションは、4つのポジションの組み合わせで様々な運用ができます。「上げでも下げでも大きく動けば儲かる」「一定の値幅帯でのみ損益がでる」など投資家の想定相場・ニーズに合わせて無限と言って良いほどの戦略が作れます。
連載中に「FXオプションを使った無税枠活用法」をご紹介しましたが、あれもFXオプション戦略の一つのようなものです。。
FXオプションには、公式・非公式のもの含めて様々な戦略があります。ここからは、それらの戦略をご紹介させていただきます。
- 一般的によく知られた方法
- 私が思いついて実験した方法
この両方混ぜていきます。いずれも、相場環境に合わせたFXオプション活用方法として使えそうなものですので参考にして下さいませ。
最初は、ストラドル戦略です。
ストラドル戦略とは
FXオプションの教科書に必ず書いてある超有名な戦略がストラドル戦略です。「買い」と「売り」があります。
相場が大きく動くときに有効な戦略です。値動きは「上げ」「下げ」どちらでもよく、一定以上大きく動けば利益となります。
相場が一定値幅の往来相場を続けるようなときに有効な戦略です。ストラドルの買いとは正反対のポジションになるため、大きく動く時は損失が拡大する流れになります。
ストラドル戦略は、私のFXオプション口座でも何度か仕掛けていますので実例でご説明させていただきます。
荒れ相場に有効 ストラドル買い
ストラドルの買いは、コール・オプションとプット・オプションの両FXオプションを買うという組み合わせで行います。
- 現在値近辺のコール・オプション買い
- 現在値近辺のプット・オプション買い
2本のオプションを買うことで「上げ相場」でも「下げ相場」でも大きく動いてくれれば利益が出るポジションが作れます。
そして「買い」ポジションですので、損失はプレミアム代金に限定されます。
ポジション2本のプレミアム代金合計が2万円であれば、損失上限は2万円という具合で、どんな相場展開になっても損失が増えることはありません。
これ、うれしいですよね。
でも、利益は無限大に狙えます。
これも、魅力です。
もしも、トルコ・ショックやリー万・ショック時などの激変時にストラドル買いを仕掛けておけば、投資資金が短期間に10倍以上になることも十分にあり得ます。
こう書くと・・・・
それ、いいかも!
・・・と思うかもしれません。
でも、現実はそんなに甘くないんです。
私が、実際に作ったポジションでご説明しましょう。
この仕掛けは、5月1日のRBA(オーストラリア準備銀行)による政策金利発表での大きな値動きを狙ったもので、4月30日に作っています。
このFXオプションでのプレミアム購入代金は「コール」「プット」合わせて0.00394でした。
- 0.00394×1万通貨=39.4USドル
この仕掛けを作るのに必要だった資金は、当時レートでの日本円換算で約4300円です。
これは、上げでも下げでもよいので39.4pips以上動けば利益となるという仕掛けです。
損失上限は、約4300円に限定されます。これに対して、大きく動けば利益が大きく出る可能性があるというポジションです。
この状況を見てどのように感じられるでしょう。
「39.4pipsくらいは動きそうだから利益出そうだ」
または
「政策金利発表があるとはいえ、これだけ大きく動くかどうかはわからない。ちょっと厳しいんじゃないかな」
両方に分かれると思います。
ここの判断は、微妙なんです。
ストラドルの買いは、大きく動けば大きく取れる仕掛けなのですが、「大きく動く」という条件は、結構厳しいものになりがちです。
一時的に大きく動くこともあります。
ボラティイティが急上昇してプレミアムも上昇したところを狙って決済するというやり方も有効です。既にお気づきだと思いますが、このストラドルの仕掛けは「米国雇用統計」などでも有効そうです。
口座保有者は、荒れそうなところを狙って仕掛けてみても面白いと思います。
この売買の結果
このときのストラドル買いは、+2,040円という結果になりました。結局60pipsくらい動いてくれたので利益が出せたという感じです。
相場急変となりそうなときには、是非使ってみたい一手です。
FXオプション攻略 2018年版 目次
- 第1回「暗黒時代に見えた希望」 FXオプション攻略2018版
- 第2回オプション取引終了理由とFXオプション25年ぶり再開理由
- 第3回FXオプションとは 違いをFXとFXオプション比較で解説
- 第4回FXとFXオプションの共通点と相違点
- 第5回FXオプション「買い」の夢と現実
- 第6回FXオプション「売り」の魔力
- 第7回コールオプション現実の売買画像と損益分岐点
- 第8回プットオプション リアル売買と損益分岐点計算方法
- 第9回FXオプションの税金2018
- 第10回FXオプション FXよりも有効な税金対策としての使い方
- 第11回FXオプション無税枠活用「運用通貨選定まで」 その1
- 第12回FXオプション無税枠活用「期日」「権利行使価格」選定 その2
- 第13回損きりルールで利益がでてしまう理由 〜FXオプション無税枠活用法 その3
- 第14回FXオプション 無税枠活用におけるギリギリの税金対策等について
- 第15回FXオプション そのほかの基礎知識
- 第16回FXオプション 開始7か月の運用成績
- 第17回ストラドルの買い 一見とても魅力的なFXオプション戦略編の落とし穴
- 第18回ストラドル売り FXオプションにおける短期と長期比較
- 第19回ストラングル戦略 ストラドル戦略との比較でみた特徴
- 第20回ストラングル戦略 FXオプションでの現実的な使い方
- 第21回カバードコール戦略 スワップ派に必須知識
- 第22回カバードコール FXでの現実的な使い方
- 第23回高金利通貨でのカバードコールの仕掛け方
- 第24回10倍狙いのFXオプション戦略
- 第25回「スポット」とは・・方法と効用
- 第26回FX底値狙い 失敗しても「お小遣い」が貰える戦略
- 第27回一見勝率50%のFXオプション買いポジション戦略
- 第28回為替相場 長期堤相場で使える「カバプー戦略」
- 第29回スワップポイント複利戦略 数十倍に増やすならこの選択肢
- 第30回スワップポイント振替機能を使ったFXオプション複利運用
- 第31回「捨て駒」と「本気玉」 FXオプション「買い」2つの戦略
- 第32回FX底値と上昇狙い戦略と魔法の杖
- 第33回FXオプション 米ドル円と豪ドル円での使い方