「一見勝率50%・損失限定」を実現したFXオプション戦略
FXオプションを活用すると、FXとほぼ同条件でFXよりも有利な点があるポジションも作れます。今回はそういう事例をご紹介します。
一見勝率50%のFXオプション買い戦略
FXオプションで「買い」は、プットオプションでもコールオプションでも勝率は悪くなるのが通常の姿です。
ここまでの連載で、いろんなパターンのFXオプションプレミアム画像をお見せしてきたので、この点はご理解頂いているだろうと思います。
「買い」では、勝率50%以下のポジションしか取れない。
こういう結論を出されている方もいるかもしれません。
実は、そうでもないときもあります。いくつかの条件が重なると、一見「買い」で五分五分のポジションが作れるときがあります。
それを活用することで「損失限定のFX買いポジション」と同様の性質を持つFXオプションポジションを作れます。
「損失限定のFX買いポジション」の作り方と効果
具体的には、以下のようなポジションです。どの通貨でも、いつでも取れるものではありません。一定条件を満たす時に作れるポジションです。
今回のタイトル「損失限定のFX買いポジション」というのは、「逆指値不要で損失限定されたFXポジション」とほぼ同じ性質を持ちます。
このFXオプションポジション、値動きだけの評価損益だけであれば、同じ数量のFXポジションとほぼ連動します。
- 権利行使価格 77円
- 期日 12月19日
- プレミアム値 4.891
- 期日に損益ゼロとなる豪ドル円値 ⇒77+4.891=81.891円
記事中の豪ドル円値が81.84円ですので、このFXオプションがほぼ同水準のものであることはご理解頂けると思います。
FXと大きく違うのは「スワップポイント」がないことです。細かい違いは他にはあるものの、為替の値動きに対する損益はほぼ連動していきます。
例えば、豪ドル円が上昇すればこのFXオプションポジションも同じようなペースで含み益が増加していきます。
「上昇時の利益はFXと似た感じになります」
FXオプションプレミアム変動とFXの値動きは動き方が違うところがあります。それでも、プレミアム値はFX値を元に生成されているため、FXで3円上昇すればFXオプションプレミアムも似たような上昇をします。
FXオプション売買がに慣れていないかたが、この戦略を採用される場合、まずは数量少な目でお試しください。
注目して頂きたいのは、豪ドル円が下落したときです。
当然のことながら、豪ドル円買いポジションをFXで保有していれば、大きく下落すれば大きな含み損を抱えることがあります。
今回の記事の豪ドル円現在値は、81.84円です。10万通貨保有してここから豪ドル円が10円下落すれば、100万円の含み損になります。
もしも20円規模の下落で損きりをしなければ、その含み損は200万円までも膨らみます。FXでは損きりしない限り、含み損が増え続けることとなります。
FXオプション「買い」は違います。
この記事のような形で、FXオプションポジションとして豪ドル円を保有していた場合は、損失は一定額以上には増えません。
この記事の場合で、10万通貨保有したときの損失上限は、4.891×10万通貨=48.91万円です。
このケースの最大損失は、豪ドル円がどこまで下げても最大48.91万円で済むのです。豪ドル円が10円下落しようと20円下落しようと、これ以上の損失は回避できる訳です。
逆指値注文よりも優れている点
FXポジションでは、「逆指値注文」を入れることで大きな損失前に損きりができます。ただ、逆指値注文には特有のリスクがあります。
- スプレッド拡大時にロスカット狩りにあいやすい。
- 一時的に大きく下げて逆指値ヒットしたけどすぐに上昇してしまった。
前者は、特に悔しいですよね。他のFX口座だったら大丈夫だったなんてこともあるので、本当に気分が悪くなります。
後者は、通常の相場変動ではよくあることとはいえ、悔しい気持ちが残ることも多いです。
今回の戦略を使えば、今後はこの2つで悔しい想いをすることはありません。
一時的に、豪ドル円が20円下げたとしても損失は増えずにポジションも強制ロスカットされたりはしないからです。
期日までに上昇してくれれば問題なく利益確定できます。
プレミアムのい探し方と「一見勝率50%」の意味
この戦略は、どの通貨ペアでも出来るものではありません。いくつかの要因が重なったときに出来るので、プレミアム表をみて探します。
- プレミアムのスプレッド狭目の通貨ペア
- 遠めの権利行使価格
- 期日長目
この3つくらいを満たすと今回の戦略を使えるものが見つけ易いです。
2018年10月現在では、米ドル円・豪ル円コールオプションなどで可能なことは確認しています。
この戦略の欠点としては、スワップポイントが無いということの他に期日前の途中決済のときにはFXに比べると広目のFXオプションスプレッドで決済しないといいうこともあります。
FXオプションのスプレッドは、比較的狭目の豪ドル円・米ドル円でもFX基準に換算すると8〜15銭くらいあります。
それでも、「損失限定して利益を狙える」というメリットは大きいと感じれば、利用する価値はあります。
最後の、記事タイトルの「一見勝率50%」の意味についても補足させていただきます。
私たちの目からみれば、今回のFXポジションは「勝率50%」くらいのものに見えるのですが、プレミアム表を提供するFX業者側からみれば、特別に投資家側に有利なものではない
結論から書くと、こういうことになります。
既に書いてきたように、FXオプションのプレミアムは「金利」「ボラティリティ」「時間的価値」などを主要因にして決まります。
その計算式で自動的に算出されているのがFXオプション・プレミアムですので、投資家向けに「今は、ここの期日・権利行使価格が有利!」あるいは「有利な権利行使価格をみつけてみよう!」という形で提供されているものではありません。
これらに留意して頂いたうえで、それでも「有利に売買できそうだ」と感じたら、利用検討ください。
私自身はいずれ使ってみるつもりでいます。
FXオプション攻略 2018年版 目次
- 第1回「暗黒時代に見えた希望」 FXオプション攻略2018版
- 第2回オプション取引終了理由とFXオプション25年ぶり再開理由
- 第3回FXオプションとは 違いをFXとFXオプション比較で解説
- 第4回FXとFXオプションの共通点と相違点
- 第5回FXオプション「買い」の夢と現実
- 第6回FXオプション「売り」の魔力
- 第7回コールオプション現実の売買画像と損益分岐点
- 第8回プットオプション リアル売買と損益分岐点計算方法
- 第9回FXオプションの税金2018
- 第10回FXオプション FXよりも有効な税金対策としての使い方
- 第11回FXオプション無税枠活用「運用通貨選定まで」 その1
- 第12回FXオプション無税枠活用「期日」「権利行使価格」選定 その2
- 第13回損きりルールで利益がでてしまう理由 〜FXオプション無税枠活用法 その3
- 第14回FXオプション 無税枠活用におけるギリギリの税金対策等について
- 第15回FXオプション そのほかの基礎知識
- 第16回FXオプション 開始7か月の運用成績
- 第17回ストラドルの買い 一見とても魅力的なFXオプション戦略編の落とし穴
- 第18回ストラドル売り FXオプションにおける短期と長期比較
- 第19回ストラングル戦略 ストラドル戦略との比較でみた特徴
- 第20回ストラングル戦略 FXオプションでの現実的な使い方
- 第21回カバードコール戦略 スワップ派に必須知識
- 第22回カバードコール FXでの現実的な使い方
- 第23回高金利通貨でのカバードコールの仕掛け方
- 第24回10倍狙いのFXオプション戦略
- 第25回「スポット」とは・・方法と効用
- 第26回FX底値狙い 失敗しても「お小遣い」が貰える戦略
- 第27回一見勝率50%のFXオプション買いポジション戦略
- 第28回為替相場 長期堤相場で使える「カバプー戦略」
- 第29回スワップポイント複利戦略 数十倍に増やすならこの選択肢
- 第30回スワップポイント振替機能を使ったFXオプション複利運用
- 第31回「捨て駒」と「本気玉」 FXオプション「買い」2つの戦略
- 第32回FX底値と上昇狙い戦略と魔法の杖
- 第33回FXオプション 米ドル円と豪ドル円での使い方