損きりルールで利益がでてしまう理由
前回まで、この方法の大まかな流れを書かせていただきました。このやり方は、「運用通通貨ペア選定」「権利行使価格」「期日」の選択でリスクの度合いが違ってきます。
- 超低リスクにしたので5回に4回くらいはそのままでいける。
- ほどほどの低リスクで4回に2回くらいはそのままいける。
私は「ほどほどの低リスク」パターンでやっています。
FXオプション「売り」は、基本的に勝率は高くなります。なので、勝ちが先行する展開が多いのですが、油断はできません。
ここからは、運用上の留意点について書かせて頂きます。
途中決済ルールの整備
前回までの手順でFXオプションポジションを作ったものの、流れが悪いと感じるときは途中決済することになります。
このルールは必ず作っておくべきです。既に書きましたが、FXオプション「売りポジション」は、勝ち易いのですが、大きく逆行したときには相応のリスクを負うことになります。
「無限大」という言葉ほど大袈裟なものではありませんが、FXで同じポジションを保有した場合よりは損失が少ないくらいのリスクを負うことになるからです。
参考記事:FXオプション「売り」の魔力
私は、「マズイ」と感じたときに途中決済をします。この基準は、FXの損きり基準と同じです。
FXと同じような損きり基準でも、「必ずしも損きりにならない」ところがFXオプションの興味深いところです。
参考までに、私の「売りポジション 長期保有戦略」のこれまでの成績は以下のようになっています。
- 1回目 豪ドル円 途中決済 +21,200円
- 2回目 豪ドル円 途中決済 +1,000円
- 3回目 米ドル円 期日満了 +104,650円
- 4回目 AUDUSD 途中決済 +3,842円
- 5回目 USDZAR 現在保有中(含み益33,117円)
*期日満了とは、ポジションを期日まで持ち続けたという意味です。
この運用法の概略がまとまってからの運用成績です。
私の場合、「無税の範囲」という制限はありません。100万円を元金としてどこまでも増やすつもりでやっています。
利益制限がないだけで、ポジションの作成の考え方などは前回までと同じです。
先程の5回のポジションをみて、ちょっと「あれ?」と思うところがいくつかあるかもしれません。
- 途中決済となるケースが案外多い。
- 途中決済となっても損きりになっていない(今のところですが・・)。
途中決済となるケースが多いのは、2つ理由があります。
- FXオプションに慣れていないため。
- ほどほどのリスクを取るポジションを保有するため。
私が、FXオプションを始めたのは2018年今年の2月です。FXオプションのプレミアム値は、FXの値動きを基礎にしているというのは頭ではわかっているのですが、最初はいろいろと不安になるものです。
これに慣れるまでは時間がかかります。
多分、どなたも最初のうちは私のように「長期保有しようと思っていても、ちょっとした値動きでビビってしまい途中決済してしまう」というケースはそれなりにあるはずです。
私の場合も、慣れるに従い減ってきています。
先程の5回の売買は、私としては慣れてからの売買のつもりなのですが、それでも後からみると「怪しいところもある」と思っています。
投資運用全般に言えることですが、売買ルールを完璧に守れるようになるにはそれなりの年月が必要ということかもしれません。
もう一点、この途中決済は「FXだったら損きり」という基準でやっているのにFXオプションでは損きりになっていないのにも明確な理由があります。
損益確定した4回でみると、FXオプションでは4連勝ですが、FXで同じタイミングでポジションを保有していれば、おそらく3勝1敗くらいでした。
この1敗を防げたのにはFXオプションならではの理由があります。
「ポジション作成から日数が経過しているのでプレミアム値が下がっている」
こういううことです。
FXオプションのプレミアム値は、ポジションを作って日数が経過すればするほど「時間的価値減少」により下がっていきます。
このため、売りポジションを保有していると、相場が動かなくても利益を得られる立場にあります。
経験上、1〜2週間くらい相場動かないとその効果が実感できるかと思います。ジワリジワリとプレミアム値は下がっていきます。
途中決済でも利益が出やすいのは、その恩恵なのです。
例えば、現在保有中のUSDZARプットオプション売りポジションもそうです。
このポジションの権利行使価格は13.4000です。ちなみに、このポジション作成時のUSDZAR為替値は約13.4600です。
期日の11月21日にこの値よりも下がらなければ利益8,848ZARを日本円に換算した利益が受け取れます。
南アフリカランド円本日値7.5円くらいですので8,848ZARは約66,366円というところです。
現在含み益が33,117円ですので、約3か月間であと3万円利益が増えるイメージです。
今の為替水準でいけば楽に利益が取れそうです。
余裕で勝てそうですが、こればっかりはわからないんです。南アフリカランドは1週間もあればこれくらいの値幅は一気に埋めてしまうからです。
なので、もしかすると現在余裕のこのポジションも途中決済になるかもしれません。
この運用法をやるときは、この辺を考慮しながらご自身の「途中決済ルール・損きりルール」を必ず作ってください。
損きりとなるときのポイントとしては、「損失上限はプレミアム値の2倍くらいにした方が良い」です。
2倍以内であれば、年内に取り返せる可能性もあるからです。
このやり方は、多くの方が2勝1敗以上の勝率でやっていけるだろうと思います。だからこそ、損失となるときにポジションにこだわり過ぎないようにご注意下さいませ。
FXオプション攻略 2018年版 目次
- 第1回「暗黒時代に見えた希望」 FXオプション攻略2018版
- 第2回オプション取引終了理由とFXオプション25年ぶり再開理由
- 第3回FXオプションとは 違いをFXとFXオプション比較で解説
- 第4回FXとFXオプションの共通点と相違点
- 第5回FXオプション「買い」の夢と現実
- 第6回FXオプション「売り」の魔力
- 第7回コールオプション現実の売買画像と損益分岐点
- 第8回プットオプション リアル売買と損益分岐点計算方法
- 第9回FXオプションの税金2018
- 第10回FXオプション FXよりも有効な税金対策としての使い方
- 第11回FXオプション無税枠活用「運用通貨選定まで」 その1
- 第12回FXオプション無税枠活用「期日」「権利行使価格」選定 その2
- 第13回損きりルールで利益がでてしまう理由 〜FXオプション無税枠活用法 その3
- 第14回FXオプション 無税枠活用におけるギリギリの税金対策等について
- 第15回FXオプション そのほかの基礎知識
- 第16回FXオプション 開始7か月の運用成績
- 第17回ストラドルの買い 一見とても魅力的なFXオプション戦略編の落とし穴
- 第18回ストラドル売り FXオプションにおける短期と長期比較
- 第19回ストラングル戦略 ストラドル戦略との比較でみた特徴
- 第20回ストラングル戦略 FXオプションでの現実的な使い方
- 第21回カバードコール戦略 スワップ派に必須知識
- 第22回カバードコール FXでの現実的な使い方
- 第23回高金利通貨でのカバードコールの仕掛け方
- 第24回10倍狙いのFXオプション戦略
- 第25回「スポット」とは・・方法と効用
- 第26回FX底値狙い 失敗しても「お小遣い」が貰える戦略
- 第27回一見勝率50%のFXオプション買いポジション戦略
- 第28回為替相場 長期堤相場で使える「カバプー戦略」
- 第29回スワップポイント複利戦略 数十倍に増やすならこの選択肢
- 第30回スワップポイント振替機能を使ったFXオプション複利運用
- 第31回「捨て駒」と「本気玉」 FXオプション「買い」2つの戦略
- 第32回FX底値と上昇狙い戦略と魔法の杖
- 第33回FXオプション 米ドル円と豪ドル円での使い方