その4:資金を限定する
自動売買の運用資金を固定してやっています。追加入金や出金などは、ほとんどしません。これも、資金管理上大切なことだと思っています。
運用資金を限定する3つの効果
資金管理を重視している部分については既に連載中でも書きました。
この中で「入出金は基本的にしない」というのもこれにあたります。MT4全体の運用資金も固定してやっています。
この原則は「自分で決めたEAの資金枠を守る」ということです。EA稼働時に「このEAは運用資金100万円」と決めたら、次の変更時までは動かしません。
- 損失が出ても追加入金はしません。
- 利益がでても出金はしません。
人間の心とは不思議なもので、損失を出しても追加入金すると損をしたという気持ちが薄れてしまうところがあります。100万円入金してあった資金が80万円に減り、運用が窮屈に感じることで「ああ、俺はなんてヘタなんだ」としっかりと反省をしてケジメをつけていく効果があります。
逆に、利益がでても出金は控えます。これは、利益が積み上がり資金が現実的に増えていく感覚をしっかりと味わうためです。こうすることで、「おお、俺はこんなに上手になってきているのだ」と上達の手ごたえを掴むことにもなります。
やってみるとわかるのですが、こうした方が「勝敗」がはっきりするだけでなく、運用にメリハリがつきます。
こういった具合に、100万円と決めたら次の「ルール変更」までは動かさないようにしています。これは、私の師林輝太郎の教えでもあり、相場格言の中にも資金管理の重要性について触れたものが数多くあります。
資金を限定せよ。そして運用範囲を内輪にせよ。 〜ウォール街金言
運用資金を限定して、実際のポジションをその中に入るようにするという意味です。想定外の追加資金は、基本的に用意せずに運用を行います。
資金追加をせずに強制ロスカットになることがあっても、それは「己の未熟さ」であり、次の運用で捲土重来を期すことにしています。運用資金を限定していくことで生まれる効果が他にもあります。
- 成績管理がきっちり出来るようになる。
- 追加入金をしないということで甘えがなくなる。
- ほどよい緊張感を維持できる。
運用資金を固定しなくても成績管理はきっちり出来るという方もいるかもしれません。でも、私の経験からいくと入出金を繰り返して運用資金が固定しない口座は、「儲かっているか儲かっていないか」うやむやになる傾向があります。
FXをやっている人に「儲かっていますか」と聞くと、結構な割合で収支トントンという答えが返ってきます。
パチンコをやっている人に「トータルで儲かっていますか?」と聞くと半分くらいが「収支トントンかな」と答えるのとちょっと似ています。
パチンコは、実際には9割くらいの人がトータルで損をしていると言われています。でも、運用資金量を決めずに成績管理もしていないと本当のところわからなくなってしまいがちです。
私も、昔パチスロにはまったことがあります。合計100万円ほど負けたと思われるのですが、正確な金額はわかりません。毎日適当な資金管理をしていたのですが、どうも勝てそうにないのでやめました。
パチンコの例でいけば「見栄で収支トントン」と言っている人もかなりいますが、実際のところ「正確な収支がわからない」方も相当いるように思われます。
FXでも似たようなことは起こりがちです。
正確な損益の把握は資金管理と表裏一体のもので、運用技術を磨いていくうえでも大切なところです。
資金管理 必負の法
昔から証券会社や商品先物会社など業界内で言われている「必ず負ける投資家」というものがあり、その中に資金管理に関するものもあります。
資金一杯の売買は破滅の元 〜相場格言
この諺は、株式や商品先物ではよく知られています。預けた証拠金で目一杯のレバレッジをかけて取引する顧客で生き残った投資家はいないという格言です。
林輝太郎先生の本の中でも、「これは多くの業界人が共通して挙げている」と書かれているものです。
私も、3年弱ではありますが証券会社におりました。そこで、先輩のお客様も含めて多くの投資家をみた中で例外はありませんでした。資金一杯の売買をしている方は、寿命がとても短いのです。
FXの世界でも、この格言は当てはまるようです。
私が知っている限り、高レバレッジで取引を続けて勝ち残った方はいません。
自分のレバレッジ管理をしていく上でも、資金管理は大切な部分となり、自動売買でも裁量トレードでもその重みは変わりません。運用資金を限定して、余裕を持った運用をしていくことで勝利が近くなるという見方もできるかもしれませんね。
MT4使い方2016 目次
「MT4使い方2016」の目次です。
- 第1回:MT4 成功と失敗 3年間の振り返り
- 第2回:MT4に不可欠VPS 無料と有料とメモリの話
- 第3回:MT4失敗例その1:優秀な成績のEAで失敗
- 第4回:MT4失敗例その2:データ不足のバックテストで失敗
- 第5回:MT4失敗例その3:スプレッド拡大時に刈り取られる
- 第6回:MT4失敗例その4:ポジションを増やすタイミングを誤る
- 第7回:ミラートレーダーで得たMT4教訓
- 第8回:MT4 VS ミラートレーダー比較
- 第9回:MT4失敗例 その5:自作EAの可能性と壁
- 第10回:MT4 完全自動売買と半自動売買 2つの使い方
- 第11回:MT4シグナルを使用した半自動売買
- 第12回:投資で儲ける2つの方法 裁量トレードで勝つための鉄則
- 第13回:MT4自動売買の勝機 20年以上前から抱き続けた夢の実現
- 第14回:MT4で検証 その2:絶対はないが相性の良いシグナルは存在
- 第15回:MT4の落とし穴 勝率100%の魔力
- 第16回:MT4最適化の呪縛と利用法
- 第17回:MT4商用EA 2つの基本事項
- 第18回:MT4 長期運用の原則
- 第19回:MT4自動売買 利益期日目標はなぜNGなのか?
- 第20回:MT4商用EA選び 4つのポイント
- 第21回:MT4商用EA損益グラフ 2つの理想形
- 第22回:PF(プロフィットファクター) MT4商用EAで留意するポイント
- 第23回:MT4自動売買隠れコスト スワップポイント差コストへの対応
- 第24回:自動売買スワップポイント差負担軽減 2つの策
- 第25回:MT4で多頻度売買EA 体験談
- 第26回:MT4 理想のエントリーパターン2016
- 第27回:MT4 EAに休みは必要なのか?
- 第28回:MT4EA 個別売買ルールの中身
- 第29回:その1:1000通貨スタートの原則 MT4安全運転7原則
- 第30回:その2:1MT4 1EA MT4安全運転7原則
- 第31回:その3:稼働EAを一気に増やさない MT4安全運転7原則
- 第32回:その4:資金を限定する MT4安全運転7原則
- 第33回:その5:EAに期待し過ぎない MT4安全運転7原則
- 第34回:その6:絶不調時にEAを止めない MT4安全運転7原則
- 第35回:EA絶不調 夜明け前が一番暗いは本当なのか? MT4安全運転7原則
- 第36回:その7:売買数量を増やすタイミング MT4安全運転7原則
- 第37回:売買数量増加 留意している4ポイント MT4安全運転7原則
- 最終回:MT4長期利用者たちの共通点と感じること