MT4自動売買隠れコスト スワップポイント差コストへの対応
スワップポイント差は、自動売買の隠れコストでもあります。ポジションを数日保有するようなEAは、この負担の小さい口座を使うようにしています。
スワップポイント差を意識する
MT4自動売買で商用EA選び3つ目のポイントは「スワップポイント差の意識」です。
スワップ投資の場合、高スワップポイント通貨の買いポジションを保有するだけなので、売りポジション時のスワップポイントを気にすることはほとんどありません。しかし、自動売買は「売り」も「買い」もスワップポイントにお構いなしに発生するものがほとんどです。
そのため、売りと買いのスワップポイント差が自動売買の隠れコストとして発生することにもなります。まずは、スワップポイント差コストを簡単に計算してみましょう。
1万通貨で「買い30円:売りー60円」だったとします。このMT4口座のスワップポイント差は30円となります。仮にですが、売りポジション1万通貨の買いポジションと1万通貨の売りポジションをこの口座で1年間両建てをすると以下のような収支になります。
- 買いポジション発生スワップポイント 30円×365日=10,950円受取
- 売りポジション発生スワップポイント−60円×365日=ー21,900円支払
- 差引:−10,950円
このー10,950円、当然ながら「利用者の負担」となります。
現実には、ずっと両建てというEAは存在しないのですが、自動売買では売りポジションと買いポジションがスワップポイント差とは無関係に発生します。
1年中両建てという状況はあり得ないのですが、いつでも売りか買いのポジションを持っているというEAは存在します。その場合、上記の半分くらいのスワップポイント差コストを負担している計算となります。
長い目でみると「買いポジション保有日数1000日」「売りポジション保有日数1000日」といった具合に両方のポジションを同じ日数くらいずつ保有していることになり、両建てポジションをずっと保有していのと同様のコスト負担をしていることになります。
商用EAといえど、1万通貨での1年間の利益額は数万円くらいです。このスワップポイント差負担は無視できるものではないと思っています。私自身は、このスワップポイント差コスト負担対策として2つのことを意識しています。
- スワップポイント差が小さいMT4口座を使う
- ポジション保有日数が少ないEAを使う
スワップポイント差が小さいMT4口座
このスワップポイント差負担は、スワップポイント差ゼロのMT4口座があればそこを使うことで無事解決します。でも、2016年8月現在そういうMT4口座はありません。
ちなみに、8月現在ユーロドルでのスワップポイント差は以下のようになっています。
- 楽天MT4 売28円・買ー51円:差23円
- OANDAJAPAN 売−12・買ー12:差24円
- FXTF MT4 売30円・買−33円:差3円
どこの口座でも、ユーロドルなどの取引量の多い通貨ペアではスワップポイント差は小さい傾向にあります。それでも、MT4口座によって結構な差がでています。
なので、ポジション保有が長目になるEAはFXTFMT4口座を使うようにしています。
参考:FXTF MT4口座
OANDAJAPAN 「セコンドバイセコンドスワップ方式」の留意点
MT4のスワップポイントについて特殊な制度を持っているのがOANDAJAPANです。「セコンドバイセコンドスワップ方式」というもので「秒単位」でスワップポイントが発生します。
数年前までは「秒単位でスワップポイントが受け取れます」という宣伝文もHP上でありました。
この制度、当然のことながら「マイナスワップポイントも秒単位で発生」します。先程のOANDAJAPANのスワップポイントを改めて確認してみましょう。
「OANDAJAPAN 売−12・買ー12:差24円」
つまり、現状売りポジションでも買いポジションでもマイナススワップポイントが発生します。しかも、通常のMT4口座であれば翌日に持ち越さなければ発生しないスワップポイント支払いも秒単位で発生します。
これを見る限りでは、「こんな口座、メリットあるの?」と思ってしまうかもしれません。
でも、OANDAJAPAN口座は、業界最狭水準の低スプレッドであると同時にシステム的にも安定しています。この辺のマイナススワップポイント負担はあるものの、自動売買をする上では外せない口座と思っています。
長くなったので次回へ続きます。
MT4使い方2016 目次
「MT4使い方2016」の目次です。
- 第1回:MT4 成功と失敗 3年間の振り返り
- 第2回:MT4に不可欠VPS 無料と有料とメモリの話
- 第3回:MT4失敗例その1:優秀な成績のEAで失敗
- 第4回:MT4失敗例その2:データ不足のバックテストで失敗
- 第5回:MT4失敗例その3:スプレッド拡大時に刈り取られる
- 第6回:MT4失敗例その4:ポジションを増やすタイミングを誤る
- 第7回:ミラートレーダーで得たMT4教訓
- 第8回:MT4 VS ミラートレーダー比較
- 第9回:MT4失敗例 その5:自作EAの可能性と壁
- 第10回:MT4 完全自動売買と半自動売買 2つの使い方
- 第11回:MT4シグナルを使用した半自動売買
- 第12回:投資で儲ける2つの方法 裁量トレードで勝つための鉄則
- 第13回:MT4自動売買の勝機 20年以上前から抱き続けた夢の実現
- 第14回:MT4で検証 その2:絶対はないが相性の良いシグナルは存在
- 第15回:MT4の落とし穴 勝率100%の魔力
- 第16回:MT4最適化の呪縛と利用法
- 第17回:MT4商用EA 2つの基本事項
- 第18回:MT4 長期運用の原則
- 第19回:MT4自動売買 利益期日目標はなぜNGなのか?
- 第20回:MT4商用EA選び 4つのポイント
- 第21回:MT4商用EA損益グラフ 2つの理想形
- 第22回:PF(プロフィットファクター) MT4商用EAで留意するポイント
- 第23回:MT4自動売買隠れコスト スワップポイント差コストへの対応
- 第24回:自動売買スワップポイント差負担軽減 2つの策
- 第25回:MT4で多頻度売買EA 体験談
- 第26回:MT4 理想のエントリーパターン2016
- 第27回:MT4 EAに休みは必要なのか?
- 第28回:MT4EA 個別売買ルールの中身
- 第29回:その1:1000通貨スタートの原則 MT4安全運転7原則
- 第30回:その2:1MT4 1EA MT4安全運転7原則
- 第31回:その3:稼働EAを一気に増やさない MT4安全運転7原則
- 第32回:その4:資金を限定する MT4安全運転7原則
- 第33回:その5:EAに期待し過ぎない MT4安全運転7原則
- 第34回:その6:絶不調時にEAを止めない MT4安全運転7原則
- 第35回:EA絶不調 夜明け前が一番暗いは本当なのか? MT4安全運転7原則
- 第36回:その7:売買数量を増やすタイミング MT4安全運転7原則
- 第37回:売買数量増加 留意している4ポイント MT4安全運転7原則
- 最終回:MT4長期利用者たちの共通点と感じること