その7:売買数量を増やすタイミング
堅実にやっていくうえで、売買数量の変更は慎重にすべきだと思っています。私なりの注意点をまとめています。
売買数量増加で調子を崩す
MT4安全運転7原則の最後は「売買数量を増やすタイミング」です。ここは、運営上MT4で一番気を遣う部分です。売買数量を増やす時期を誤ったがために窮地に陥った経験を何度もしているためです。
EAを動かす時には、最初は1000通貨で動かすことはすでに書きました。
参考:1000通貨スタートの原則 MT4安全運転7原則 その1
これは、慣れればそれほど苦もなくできるようになります。
問題は次の段階です。
1000通貨で3ヶ月以上動かして「良さそうだ」と判断すればポジションを増やす検討に入ります。現状、稼働EAは売買数量を3段階に分けています。
1000通貨 ⇒ 1万通貨 ⇒ 10万通貨
売買数量設定を1万通貨くらいに増やすと、心理的な負担が一気に重くなるのを感じます。10万通貨に増やすと更に大きな負担を感じます。
1000通貨⇒1万通貨という一気に10倍に増やすのがいけないのかもしれないと感じたときもありました。もう少し細かい段階に分けて実験したこともあるのですが、どうもしっくりこないので今の形になっています。
売買数量を増やしてすぐに損失連発すると、完全に調子が狂うことがあります。それだけは、避けたいところです。そのために注意しているポイントは、2つあります。
- 心理面が落ち着いている時
- EA自体の調子
それぞれ補足させていただきます。
理想とする心理状態
「心理面が落ち着いている時」というのは、以下のように言い換えられます。
「不快でも愉快でもない普通の安定した心理状態」
EAの売買結果を他人事のように見ていられるような状況です。
- 興奮気味
- 落ち込み気味
いずれも売買数量を増やすには不適と思っています。これには仕事や家族関係などFXとは関係のないところで気分が不安定になっているときなども含みます。
心が陰か陽のどちらかにあるような時は、EAの見方も偏る傾向にあります。そんな時に、売買数量を増やしてうまくいかないと「やっぱりな」とか「またか」などとがっかりしたり、更に不愉快になったりと気分が悪くなるものです。
経験上、一番悪いのは「興奮気味」の時です。
この時は気持ちが高揚しているせいか、稼働して損失連発となってしまうと気持ちの落ち込み方も激しくなる傾向にあります。
淡々としているときに売買数量を増やすと、例え調子が悪くても「今回は出だし悪いみたい」くらいで余裕をもってみていられる気がします。
EA自体の調子
EAの調子も大切です。好調がいつまでも続くEAはありません。また、自然な収益パターンのEAであれば、いつまでも不調ということもありません。
どこかで反転するものです。
この辺を考慮して、売買数量を増やす時はEAの調子を見て決めます。
- 好調で利益連発中 ×
- 損失連発中 △
- 不調期から戻りそうな状況 〇
理想的には、この形です。
特に控えるすべきは一番最初の「好調で利益連発中」の時です。この時期は、先ほどの心理面での「興奮気味」の状況と重なることも多いところです。
既に、連載中でも書きましたが今絶好調のEAは売買数量を増やそうかなと検討している時がピークということがよくあるからです。
売買数量を増やす時も自身満々で「これで今の10倍の利益が出せる」という気持ちで一杯になりがちです。好調であればあるほど利益を出して当然という気持ちで売買数量を増やしてしまいます。
ところがこれがうまくいかないことが多いんですよね。
利益が積み上がってくると誰しも気分が良くなります。気分が良くなると気持ちも欲も大きくなるもので、そこで売買数量を増やした頃には調子が崩れ始めてしまうという図式です。
特に、「好調で利益連発中」の時に売買数量を増やしてうまくいかないと「ああ、やっぱりな」という後悔の気持ちも強く出がちです。
「なんで、こんな簡単なことがわからないんだ」なんて反省もしたくなるのがこのパターンです。
この気持ちの落ち込み方は、スポーツに例えるとわかりやすいかもしれません。
- 金メダル確実と言われていて期待していていた選手が1回戦で負けてしまった。
- 高校野球で優勝候補と言われていたのに1回戦で初出場のノーマークの高校に敗れる。
選手たちもショックなのですが、チームや選手を猛烈に応援していた人も大きなショックを受けてしまいます。
自動売買においても「勝って当然」という心理を覆す非常な結果は、それほど大きなショックを与えます。
ショックが大きすぎると、その後の運用に悪影響を与えることにもなります。私自身も、このショックが原因で他のEAを止めてしまったこともあります。こういうのは、更に裏目に出てしまうものでもあります。ヤケクソ気味に大きな勝負をしたくなるのは、ほぼ例外なくこういう心理状態のときです。
できる限り、こういう負の連鎖は避けねばなりません。
期待しない時期に売買数量増加検討
他の2つのパターンは、EAがある程度崩れてからという形です。私の経験上、そこから大崩れというケースはあまりありません。
売買数量を増やしてからある程度損きりが続くときもあります。でも、ショックは先ほどの「好調で利益連発中」に比べれば軽微なものです。
もともと好調ではない時期に売買数量を増やしているので心の中で期待していないからです。
損きりでもショックをそれほど受けずにいて、その内状況が変わり利益を出すようになります。ただ、損きりとなれば資金は減るのでその点は気になります。この辺の衝撃をできるだけやわらげる形でやっています。
MT4使い方2016 目次
「MT4使い方2016」の目次です。
- 第1回:MT4 成功と失敗 3年間の振り返り
- 第2回:MT4に不可欠VPS 無料と有料とメモリの話
- 第3回:MT4失敗例その1:優秀な成績のEAで失敗
- 第4回:MT4失敗例その2:データ不足のバックテストで失敗
- 第5回:MT4失敗例その3:スプレッド拡大時に刈り取られる
- 第6回:MT4失敗例その4:ポジションを増やすタイミングを誤る
- 第7回:ミラートレーダーで得たMT4教訓
- 第8回:MT4 VS ミラートレーダー比較
- 第9回:MT4失敗例 その5:自作EAの可能性と壁
- 第10回:MT4 完全自動売買と半自動売買 2つの使い方
- 第11回:MT4シグナルを使用した半自動売買
- 第12回:投資で儲ける2つの方法 裁量トレードで勝つための鉄則
- 第13回:MT4自動売買の勝機 20年以上前から抱き続けた夢の実現
- 第14回:MT4で検証 その2:絶対はないが相性の良いシグナルは存在
- 第15回:MT4の落とし穴 勝率100%の魔力
- 第16回:MT4最適化の呪縛と利用法
- 第17回:MT4商用EA 2つの基本事項
- 第18回:MT4 長期運用の原則
- 第19回:MT4自動売買 利益期日目標はなぜNGなのか?
- 第20回:MT4商用EA選び 4つのポイント
- 第21回:MT4商用EA損益グラフ 2つの理想形
- 第22回:PF(プロフィットファクター) MT4商用EAで留意するポイント
- 第23回:MT4自動売買隠れコスト スワップポイント差コストへの対応
- 第24回:自動売買スワップポイント差負担軽減 2つの策
- 第25回:MT4で多頻度売買EA 体験談
- 第26回:MT4 理想のエントリーパターン2016
- 第27回:MT4 EAに休みは必要なのか?
- 第28回:MT4EA 個別売買ルールの中身
- 第29回:その1:1000通貨スタートの原則 MT4安全運転7原則
- 第30回:その2:1MT4 1EA MT4安全運転7原則
- 第31回:その3:稼働EAを一気に増やさない MT4安全運転7原則
- 第32回:その4:資金を限定する MT4安全運転7原則
- 第33回:その5:EAに期待し過ぎない MT4安全運転7原則
- 第34回:その6:絶不調時にEAを止めない MT4安全運転7原則
- 第35回:EA絶不調 夜明け前が一番暗いは本当なのか? MT4安全運転7原則
- 第36回:その7:売買数量を増やすタイミング MT4安全運転7原則
- 第37回:売買数量増加 留意している4ポイント MT4安全運転7原則
- 最終回:MT4長期利用者たちの共通点と感じること