MT4最初の壁「夢の過剰最適化」 MT4EA作成編第36回
私のMT4運用に希望の光が見えるきっかけとなった気づきを書かせていただきました。MT4最初の壁、ここで苦しんでいる方は多い気がします。
MT4 最初の壁
MT4の連載は今回を含めあと2回となります。
MT4による自動売買は、売買判断を任せてしまうので良いEAさえ手に入れれば簡単に儲かると考えている方も多いと思います。でも、現実には自作EAでも商用EAでも利益を毎年だしているという方は少数派です。
そして、EAの勉強会のときに実際にあったのですが同じEAを使っていても儲かっている人と儲かっていない人がいるということもあります。これって不思議な話ですよね。
運用技術がものをいう裁量トレードであれば、安定して利益がだせない理由をみつけるのは難しくはありません。でも、自動売買だったらそんなに差がつかないはずです。
まだ確信はないのですが、ここにMT4運用「最初の壁」があるという気がします。
この「最初の壁」を越えられるかどうかでMT4での運用成績が大きく違ってきます。少なくとも私はそうでした。
この連載の最終回は、私の体験談をもとに「最初の壁」とは一体何でそれをどうやって超えていこうとしているのかについて書かせていただきます。
1年で5000pips 確実に負けるEA
MT4運用に自信が出てきたのは最近のことです。
最初は、バックテストで1年で5000pipsくらいの利益をだすEAを目安に作っていました。これは、最適化の力を借りればどなたにでも出来ます。そして、それは過剰最適化の産物にすぎません。
過剰最適化の知識は当時もあったのですが、不思議なもので「私が過剰最適化にはまるはずがない」と思い込んでいた気がします。頭でわかっていても理解はしていないという典型的なタイプでした。1年で5000pips出せるはずのEAを稼動させても、それが実現したことは今まで一度もありません。その度に損を出し、苦しんでいる時期が1年くらい続きました。
裁量トレードでは、損を出しながら学んでいくというステップから始めて相当苦しんだのですが、自動売買でもいつのまにか同じ手順を踏んでいたのです。
このままじゃダメだ。やり方を変えよう。
「裁量トレードで苦労したのと同じ道」と気づいたとき、昔の教訓が蘇ってきました。裁量トレードのときは、「運用法の根本を見直す」ことから始め今の運用法に辿り着くことができました。
もしも、当時それまでやっていた「情報収集」や「チャート分析」などを続けていれば今の私はありませんでした。おそらく、そこで変われなければそれ以降も損を増やし続けていて、サラリーマンを止めることもなかったでしょう。
当時は、そもそも何が悪いかわからない状態だったからです。
まず、自作EAを最初はデモで動かすようにしました。それまではいきなりリアルトレードで動かしていたのですが、それを止めました。でも、ただのデモでは刺激が無さ過ぎて長続きしません。そこで活用したのが、myfxbookのMT4コンテストです。
このコンテストは、デモではあるのですが世界中から毎回4000名前後が参加して運用成績を競いあいます。リアルトレードで動かす予定のEAをまずは、このデモコンテストで試運転させることにしたのです。
たった1ヶ月程度のデモコンテストでも好成績をだせないのです。ちょっとくらい調子の良い時があっても1ヶ月と持ちません。
この現実はとてもショックでもありました。
苦悩時期
ここからが本当の苦悩の時期でした。これまでのEA作りを続けてもダメだとわかっていますからね。でも、どうしてよいかわからない。わからないけど、EA作りは続けました。
作ってはガッカリ
作ってはガッカリ
そんなことを何度も繰り返しました。絶望感を持ちながらも続けるというのはかなりの苦痛です。
「自動売買で儲けるなんて本当は出来ないんじゃなかろうか」と思ったときもあります。
でも、こういうとき一番ダメなのは考えてばかりで何もしないことなんです。駄作でもいいから手を休めてはいけないんです。人間が苦しみもがき続ける時期というのは前に進んでいないようで進んでいる時期でもあります。
こういう時期は、一見無駄なことをしているかもしれませんが、大きなものを蓄積していることが多いもので、苦しみを乗り越えた先にそれが生きてきます。今回もこの苦しみの先には大きな成長があり、次の光明があると信じて踏ん張っていました。
そして、それから先生を信じ抜き技術を磨き続けたからこそ今の私があります。亀千人投資術としてまとめてサヤすべり取りの基本は先物・株式・FXなど全ての運用法で通用します。
参考:●●▲■NEO 詳細説明
何がきっかけだったのかは覚えていないのですが、あるときふと気づきました。
「私は自動売買に夢を持ちすぎたんだ」
「夢の過剰最適化みたいなことをやっていたんだ」
この気づきが次の光明へと繋がるきっかけでした。
夢の過剰最適化
私は、学生のころに株式投資を始めたばかりの頃を思い出しました。奨学金を貯めて当時100万円で株式投資を始め、数年後には1億円まで増やそうと思って頑張っていたころの自分です。
100万円から数年で1億円というのは理論的には全く不可能でもないのですが、現実にそんな短期で達成できた人は本当に僅かしかおらず、私は未だに会ったことがありません。時間をかけて達成した方には数人会えましたが、数年でといううのは噂でしか聞いたことがないのです。でも、計算上は、誰でも100万円を数年で1億円にできるんです。
見方を変えれば、これはMT4の過剰最適化と同じです。
100%無理ではなくても、一般的には誇大妄想と呼ばれる類のものにすぎません。言わば「夢の過剰最適化」みたいなものです。多くの人間が、数年するとその現実にきづきます。
皮肉なことに、私の運用が軌道に乗り始めたのはその現実にきづき、投資運用に対する過剰な期待を捨てたころからです。現実を見据えるようになって、自分がやっていくべきことが見えてきたのです。
あれから25年、裁量トレードでは手堅く利益をだしていけるようになりました。しかしながら歴史は繰り返すものですね、自動売買でも同じ手順を踏んでいたわけです。
「MT4でも夢の過剰最適化をしていた」
この段階で、やっと「自動売買で大儲け」という過剰な夢を捨てることができました。最初は過剰最適化したEAに夢を託して損を出し続け、思考錯誤していくうちに短期で大儲けという夢を捨てるべきだというところにやっと辿り着いたのです。
具体的に何を始めたのかは次回書かせていただきます。
MT4EA作成編目次
EAを手軽につくるやり方をまとめました。
- 第1回MT4EA作成編 RSIEAの簡単な作り方
- 第2回手順その2 EAの売買ロジックを考える
- 第3回手順その3:EA加工前の準備 EAコピーの仕方
- 第4回基本EAの変更箇所確認
- 第5回30分でできるRSI MT4EA作成編
- 第6回MT4組み込みテクニカル指標関数の使い方
- 第7回MT4でRSIEAを作る 売買シグナル部分
- 第8回決済注文プログラムはたった1行
- 第9回マジックナンバーとRSIEA検証行
- 第10回パラメーターと変数化の効果
- 第11回RSI設定使い方 3つのパターン
- 第12回RSIエグジット戦略とは
- 第13回RSIスキャルピングにも使えるこの応用形
- 第14回RSI20 RSI80の検証
- 第15回RSIの使い方 3つのポイント
- 第16回過剰最適化(カーブフィッティング)の話
- 第17回最適化はカミソリ 大怪我しないためのポイント
- 第18回RSIEA無料配布と留意点
- 第19回決済を値幅指定
- 第20回ブレイクアウトMT4無料EA検証
- 第21回EA作成早期習得のための2つのポイント
- 第22回プログラムを短くする関数化
- 第23回「Breakout1SL1.mq4」をRSI値幅決済EAへ書換え
- 第24回コメントアウト MT4でも大切な理由
- 第25回EA解説後半 EA作成上達のコツ
- 第26回RSI値幅決済EA 短期売買向
- 第27回改造EAの面白いところ
- 第28回Breakout1TS1.mq4 1粒で三度おいしい無料EA
- 第29回大量売買防止方法
- 第30回MT4運用失敗の必然性に気づく
- 第31回最適化して最高成績を選ぶ愚
- 第32回MT4 PF(プロフィットファクター)
- 第33回MT4バックテスト 私の使い方
- 第34回MT4ファンのMT4口座比較方法
- 第35回裁量トレードの方が優秀に見える理由
- 第36回MT4最初の壁「夢の過剰最適化」
- 第37回MT4で儲からないことで目覚めた