改造EAの面白いところ MT4EA作成編第27回
初学者のときは改造前のEAを最初から完全に把握するのはまず無理です。こういう想定外の動きも「なぜこうなるのか?」という疑問を持ちながら謎解きのように取り組んでみると楽しく続けられますよ。今回のEAもそういう視点で観察すると原因がみえてきます。
EA改造の面白いところ MT4EA作成編第27回
前回の続きです。
前回記事:短期売買向 RSI値幅決済EA
今回の改造EAは、値幅で決済するタイプのEAとして改造したつもりでした。でも、実際にバックテストをしてみるとその通りになっていない売買がかなりあります。
上記ページのバックテスト結果Bの平均勝ちトレード・負けトレードの数字を確認すると損きり90・利益確定130という設定した数値とは全く違っています。
こういう想定外の動きをみつけたら、EAのプログラムをじっくりと見直します。この見直しを教科書本の「FXメタトレーダー入門」と「FXメタトレーダー実践プログラミング」を読み直しながらやっていくことで、プログラム内容の理解が深くなっていきます。
課題やテーマを持ってプログラムを見直すと、今まで見えていなかったことや理解できなかったことが、わかるようになるものです。この見直しを効果的にするには、わかるまで何度もやることです。最初に見てわからなかったら、時間を空けてからもう一度見直します。それをわかるまで何度も繰り返します。自分なりの結論が出るまでやるようにすると、プログラム作成技術も飛躍的に伸びます。
では、今回の種明かしをします。
実は、このEAの決済ポイントは2つあります。
- 損きり・利益確定の設定値幅になったら決済
- RSI値で反対のポジション発生のタイミングになったら決済
1分足RSIでは、頻繁に売りと買いのグナルが発生します。買いポジションを持った30分あとに売りシグナルが発生するような状況です。このようなときには一旦決済することになっています。
この決済ポイントは、改造前の「Breakout1SL1.mq4」に組み込まれていたものです。改造後のプログラムの中では、74行目と80行目あたりのこの文が決済用のものになります。
MyOrderClose(Slippage, MAGIC);
ここを外すと純粋な値幅指定のEAになります。興味のある方はやってみましょう。私は、このままの方が良い気がするので敢えて削除せずにこのまま使いたい気がします。
想定外の動きをする改造EA
実は、今回のような「想定外の動き」は改造EAでは日常茶飯事です。
私のようなEA作成初心者は、プログラムを完全に読みきれないことがあるので、バッツクテストをして始めて改造前のEAの特徴に気づいたりします。これも既存EAを改造する楽しみの一つだと私は思っています。
MT4の無料EAはどなたにでも大量に入手することができます。
参考記事:MT4EAだれでもできる無料入手法
いずれ、これらの無料EAの改造もしていく予定なのですが、熟練者が作ったEAは学びと気づきの宝庫です。想定外の動きをしたらその原因をみつけて、取り入れていくことでEA作成技術も向上していきます。
楽しみながら技術も磨いていけるというのがいいですね。
3本目のEA
さて、ここまで2つのEAを改造してきました。
この連載ではもう1本だけやらせて頂きたいと思います。これは、決済をトレイリングストップで設定するタイプです。トレイリングストップとは、値が動くにに合わせて決済指値が変更されていくというタイプをいいます。
例えば、買いポジションを作った後に一旦大きく上昇したものの、その後に大きく下げて結局損きりになるというケースを想定してください。この大きな下げが寝ている間に起きていたりすると悔しいですよね。
もしも、相場上昇時に決済指値を利益のでる水準まで変更しておけたらどうなったでしょう。そのポジションは最悪の場合でも利益の出る状況で決済ができたことになります。
こういう状態を可能にするのが「トレイリングストップ」です。
次回より、今回の連載最後のEAつくりとして「トレイリングストップパターン」をご紹介します。
MT4EA作成編目次
EAを手軽につくるやり方をまとめました。
- 第1回MT4EA作成編 RSIEAの簡単な作り方
- 第2回手順その2 EAの売買ロジックを考える
- 第3回手順その3:EA加工前の準備 EAコピーの仕方
- 第4回基本EAの変更箇所確認
- 第5回30分でできるRSI MT4EA作成編
- 第6回MT4組み込みテクニカル指標関数の使い方
- 第7回MT4でRSIEAを作る 売買シグナル部分
- 第8回決済注文プログラムはたった1行
- 第9回マジックナンバーとRSIEA検証行
- 第10回パラメーターと変数化の効果
- 第11回RSI設定使い方 3つのパターン
- 第12回RSIエグジット戦略とは
- 第13回RSIスキャルピングにも使えるこの応用形
- 第14回RSI20 RSI80の検証
- 第15回RSIの使い方 3つのポイント
- 第16回過剰最適化(カーブフィッティング)の話
- 第17回最適化はカミソリ 大怪我しないためのポイント
- 第18回RSIEA無料配布と留意点
- 第19回決済を値幅指定
- 第20回ブレイクアウトMT4無料EA検証
- 第21回EA作成早期習得のための2つのポイント
- 第22回プログラムを短くする関数化
- 第23回「Breakout1SL1.mq4」をRSI値幅決済EAへ書換え
- 第24回コメントアウト MT4でも大切な理由
- 第25回EA解説後半 EA作成上達のコツ
- 第26回RSI値幅決済EA 短期売買向
- 第27回改造EAの面白いところ
- 第28回Breakout1TS1.mq4 1粒で三度おいしい無料EA
- 第29回大量売買防止方法
- 第30回MT4運用失敗の必然性に気づく
- 第31回最適化して最高成績を選ぶ愚
- 第32回MT4 PF(プロフィットファクター)
- 第33回MT4バックテスト 私の使い方
- 第34回MT4ファンのMT4口座比較方法
- 第35回裁量トレードの方が優秀に見える理由
- 第36回MT4最初の壁「夢の過剰最適化」
- 第37回MT4で儲からないことで目覚めた