ブレイクアウトMT4無料EAでもここまでできる。 MT4EA作成編第20回
今回使う「Breakout1SL1.mq4」は、ブレイクアウト手法のEAです。値動きが激しく方向性の出る通貨ペアでは、そのまま使えそうな無料EAです。 RSIEAに変更する前に、このEAの内容もみていただきたいので、まずはこのEAのバックテストと最適化をしてみました。
ブレイクアウトEA「Breakout1SL1.mq4」をチェック
以下の設定でバックテストをしてみました。
- 通貨ペア:GBPJPY 1時間足
- バックテスト期間:2009年6月〜2014年5月(5年間)
利益確定200pipsと損きり100pipsの設定はそのままでバックテストした結果がこちらです。
売買回数927回をこなしてPF(プロフィットファクター)が1.04を維持できているのは素晴らしいですね。最適化もしないでこの成績なので、最適化すると更に良い成績が期待できるかもしれません。ポンド円は値動きが激しい通貨ペアなので、もうちょっと広い値幅のほうが良い気もします。
こんな感じで最適化してみました。
SLpips(損きり幅の変数)を100−500で50キザミ、 TPpips(利益確定幅の変数)を200−500で50キザミでの最適化です。その結果はいかのようになりました。
劇的に利益が増える組合せはありませんね。マイナス成績も表示させての最適化結果ではプラス成績が半分以上となっているため利益が出し易いEAという見方もできそうです。
参考記事:最適化はカミソリ MT4で大怪我しないためのポイント
一応、一番上の成績のものをバックテストしてみました。
個別でバックテストをしたところ、最適化よりも良い成績になりました。不思議な感じですが、この現象はBuild600バージョンアップ以降たまにでます。この辺の取扱いは人それぞれだと思いますが、私はPF(プロフィットファクター)に大きな乖離が無ければ「誤差の範囲内」として気にしないことにしています。
今回も、PFは最適化で1.04、バックテストで1.05ですので許容できる範囲かと思っております。
ブレイクアウト手法は、大きくブレイクすると大きな利益が出せるのですが、大きく動かすに戻ってしまうダマシも多い傾向にあります。そのため、損きり回数が多くなり勝率は低くなりがちです。「利大損小」の代表格でもあります。このバックテスト結果でも、勝率は30%台と低目です。この勝率でも、しっかり利益がでています。
こういう損きりが多い手法は、自動売買向きです。
この理由は、裁量トレードでこれと同じ売買をすることを想像してみるとわかります。損きりは重要だというのは誰でもわかっているのですが、5回くらい連続で損きりになると、大体嫌になってきて止めたくなるのが普通です。でも、その損きりをずっと続けていけるようになることが時折出る大きな利益を獲得することにつながります。
裁量トレードでは、そのチャンス到来までに心が折れてしまうことが多いものです。その点、自動売買は10連敗でも平然と損きりを続けてくれます。
ここでは、ポンド円でバックテストと最適化をしています。興味が沸いた方は、他の通貨ペアや時間軸でも同様にやってみると相性の良い通貨ペアもみつかるかもしれません。
値幅形式のメリット・デメリット
前回、決済方法には3種類あると書きました。今回は値幅形式での決済EAを作ります。値幅形式での決済は損きり100pipsという感じで設定します。
この形式には大きなメリットがあります。
損きり幅を最初から設定するので、損失が限定できます。テクニカル指標の売買サインを使った損きりの場合には、損きりが出にくいときなどがあり、それが大きな損きりに繋がることもあります。
この心配がないのは、値幅形式の大きなメリットです。
でも、デメリットもあります。
例えば、一時的にガツンと逆に動くようなときです。この時も損きり値幅に抵触すると損きりが忠実に実行されてしまいます。
テクニカル指標の売買サインを使う場合、一時的な値動きでは決済シグナルがでないことも多く決済はしません。無論、これは使うテクニカル指標や時間軸でもかなり事情は違ってきます。
いろいろ作っていて「どちらが絶対良い」とは言い切れません。今の私のEAは、両方を組み合わせてさらに決済指値を変更していくトレイリングストップというタイプをよく使います。
これもEAとしては難しくはありません。豊嶋先生の本でも無料EAが公開されています。でも、いきなりそのEAを自由に加工するというのはちょっと難しいかもしれません。まずは、今回のような単純なEAを加工しながら慣れていくのがいいと思います。
一歩ずつ進めば、目標には必ず到達できます。
焦らずゆっくりと技術を身につけていきましょう。
MT4EA作成編目次
EAを手軽につくるやり方をまとめました。
- 第1回MT4EA作成編 RSIEAの簡単な作り方
- 第2回手順その2 EAの売買ロジックを考える
- 第3回手順その3:EA加工前の準備 EAコピーの仕方
- 第4回基本EAの変更箇所確認
- 第5回30分でできるRSI MT4EA作成編
- 第6回MT4組み込みテクニカル指標関数の使い方
- 第7回MT4でRSIEAを作る 売買シグナル部分
- 第8回決済注文プログラムはたった1行
- 第9回マジックナンバーとRSIEA検証行
- 第10回パラメーターと変数化の効果
- 第11回RSI設定使い方 3つのパターン
- 第12回RSIエグジット戦略とは
- 第13回RSIスキャルピングにも使えるこの応用形
- 第14回RSI20 RSI80の検証
- 第15回RSIの使い方 3つのポイント
- 第16回過剰最適化(カーブフィッティング)の話
- 第17回最適化はカミソリ 大怪我しないためのポイント
- 第18回RSIEA無料配布と留意点
- 第19回決済を値幅指定
- 第20回ブレイクアウトMT4無料EA検証
- 第21回EA作成早期習得のための2つのポイント
- 第22回プログラムを短くする関数化
- 第23回「Breakout1SL1.mq4」をRSI値幅決済EAへ書換え
- 第24回コメントアウト MT4でも大切な理由
- 第25回EA解説後半 EA作成上達のコツ
- 第26回RSI値幅決済EA 短期売買向
- 第27回改造EAの面白いところ
- 第28回Breakout1TS1.mq4 1粒で三度おいしい無料EA
- 第29回大量売買防止方法
- 第30回MT4運用失敗の必然性に気づく
- 第31回最適化して最高成績を選ぶ愚
- 第32回MT4 PF(プロフィットファクター)
- 第33回MT4バックテスト 私の使い方
- 第34回MT4ファンのMT4口座比較方法
- 第35回裁量トレードの方が優秀に見える理由
- 第36回MT4最初の壁「夢の過剰最適化」
- 第37回MT4で儲からないことで目覚めた