裁量トレードと自動売買 裁量トレードの方が優秀に見える理由 MT4EA作成編第35回
今回は、裁量トレードと自動売買のメリットデメリットを整理しておきます。あくまで、裁量トレード中心でやってきた人間からの視点ですが、少しは参考になる部分があればと思います。
見た目は裁量トレードの方が優秀
自動売買のプログラムに真剣に取り組み始めたのは2年ほど前からです。一方、私の裁量トレード歴はもう25年以上になります。自動売買での比較でみると裁量トレードには以下の有利な部分があると感じます。
裁量トレードの有利な部分
- 利大損小で高勝率の売買ができる。
- 損きりも迅速
- 利益を大きく伸ばせる。
- 苦手な時期には休める。
ここで言う裁量トレードとは、私が20年以上やっているサヤすべり取りの場合です。サヤすべり取りは、基礎部分を亀千人投資術にまとめてあります。
参考:亀千人投資術 詳細
姉妹運用法でもある「うねり取り」や「リズム取り」などでも同じような傾向があるだろうと思います。
メリットだけ並べると裁量トレードのほうが優秀で儲かるような気がしますね。
実際、勝率やPF(プロフィットファクター)など表向きの数値だけで見れば、裁量トレードのほうが自動売買よりも優秀な成績が出せます。例えば、「利大損小で高勝率のトレード」を自動売買で長期に渡り実現するのは不可能に近いのですが、裁量トレードではそれができます。
これは、自動売買では利益大きく損失少ない「利大損小」EAを作ると売買回数1000回以上のバックテスト結果では、リスクとリターンの原則がそのまま反映してしまうため勝率は基本的に50%を割り込んでしまうためです。
なかには30%台というのも珍しくありません。
でも、裁量トレードではそこまでは悪化しません。技術を磨いていくことで利大損小の売買でも高勝率を維持していくことは十分可能です。「迅速な損きり」「利益を伸ばす」ということも、技術を磨いていくことで裁量トレードのほうが良い成績がだせるようになっていきます。
ここ重要です。
利益大きめの売買が出来るんだったら利益額だって当然大きくなると考えるのが普通ですよね。でも、その結論をだすのは早計なのです。
まず、売買回数が違いがあります。
運用技術を磨き続ければ、裁量トレードは自動売買を超えるといえるかもしれません。でも、これはあくまで表向きの数値だけの話です。自動売買の真骨頂はここにはないからです。表向きの数値だけで自動売買を語ることは出来ません。
自動売買の真骨頂
自動売買と裁量トレードでは、利益の取り方が全く違います。FXでとる利益には2種類あると考えることもできます。
- 確実なところを中心に効率よく取る利益
- ダマシものみこみ売買回数で確率と優位性で稼ぐ利益
前者が裁量トレードが得意とする利益の取り方であり、後者が自動売買が得意とする利益の取り方です。
裁量トレードと自動売買では売買回数が全く違うものになります。裁量トレードでは、「ダマシ」と感じるような値動きではポジションを作らないケースも多いのですが、自動売買ではプログラムされたルールに該当する場合はダマシなど気にせずにポジションを作っていきます。
ダマシのようで利益になることもよくある訳で、自動売買はそういう売買回数をこなしていくことで利益を積み上げていきます。
裁量トレードは、ダマシくさいところいは休んだりしながら、効率よく売買ができる反面、売買回数をこなすことで得られる利益を取り損なっているとも言えます。
なので、一定期間のトータル利益額でみると自動売買のほうが稼ぐ可能性は高いという気がします。この辺は、2年後くらいをメドに自動売買と裁量トレードの運用資産を同じにして実験してみたいと思っています。
感情の波に左右されないメリット
裁量トレードは、「感情の波」からは逃れられません。例えば家族に不幸があったり、仕事や恋愛関係のこじれなどFXに関係のないことでも裁量トレードには微妙な影響を与えることがあります。
そんなバカなと思うかもしれませんが、後で売買を見直して変な売買をしているときは、精神的に不安定なときがあるものです。こういう時は、大損することも多くなります。これは、裁量トレードで成功するための重要事項として「健康管理」「生活習慣」「精神面を鍛える」ことが挙げられるゆえんでもあります。
自動売買は、当然のことながら全くといってよいほど影響を受けません。システムの不具合というものはあるものの、良いEAを選びルールどおりにやる限りにおいては想定以上の大損をすることはまずありません。
両方を使うことで手間無く安定した利益を狙う
私の裁量トレードは、もともと実践時間は一日一分という短時間です。
でも、先ほども書いた裁量トレードのデメリットの影響は今でも少なからず受けます。
今後は、自動売買も加えていくことで、より安定した運用をしていけるのではないかと期待しているところです。
さて、この連載もそろそろ最終回です。
最後は自動売買をこれから始めようとする方に一番大事かもしれないことを書かせていただきます。少し、私の苦労談にお付き合い下さいませ。
数でこなす自動売買、質でこなす裁量トレード、両方を使いこなすことで全体の運用を安定させていきたいと思っています。
MT4EA作成編目次
EAを手軽につくるやり方をまとめました。
- 第1回MT4EA作成編 RSIEAの簡単な作り方
- 第2回手順その2 EAの売買ロジックを考える
- 第3回手順その3:EA加工前の準備 EAコピーの仕方
- 第4回基本EAの変更箇所確認
- 第5回30分でできるRSI MT4EA作成編
- 第6回MT4組み込みテクニカル指標関数の使い方
- 第7回MT4でRSIEAを作る 売買シグナル部分
- 第8回決済注文プログラムはたった1行
- 第9回マジックナンバーとRSIEA検証行
- 第10回パラメーターと変数化の効果
- 第11回RSI設定使い方 3つのパターン
- 第12回RSIエグジット戦略とは
- 第13回RSIスキャルピングにも使えるこの応用形
- 第14回RSI20 RSI80の検証
- 第15回RSIの使い方 3つのポイント
- 第16回過剰最適化(カーブフィッティング)の話
- 第17回最適化はカミソリ 大怪我しないためのポイント
- 第18回RSIEA無料配布と留意点
- 第19回決済を値幅指定
- 第20回ブレイクアウトMT4無料EA検証
- 第21回EA作成早期習得のための2つのポイント
- 第22回プログラムを短くする関数化
- 第23回「Breakout1SL1.mq4」をRSI値幅決済EAへ書換え
- 第24回コメントアウト MT4でも大切な理由
- 第25回EA解説後半 EA作成上達のコツ
- 第26回RSI値幅決済EA 短期売買向
- 第27回改造EAの面白いところ
- 第28回Breakout1TS1.mq4 1粒で三度おいしい無料EA
- 第29回大量売買防止方法
- 第30回MT4運用失敗の必然性に気づく
- 第31回最適化して最高成績を選ぶ愚
- 第32回MT4 PF(プロフィットファクター)
- 第33回MT4バックテスト 私の使い方
- 第34回MT4ファンのMT4口座比較方法
- 第35回裁量トレードの方が優秀に見える理由
- 第36回MT4最初の壁「夢の過剰最適化」
- 第37回MT4で儲からないことで目覚めた