FX税金は税率ではなく負担率でみる 専業主婦 負担率36%の現実
FX税金は、申告分離の20%課税ということで利益に対して単純に20%の税金を払えばよいというふうに一般的には理解されています。
税率のみで考えればその通りなのですが、利益増加によって増える負担率という視点でみると状況が変わってきます。
FX利益の負担率
- サラリーマン
- 専業主婦
- 自営業・専業トレーダー
大きくこの3種類でどれくらい負担が違うのかを計算してみましょう。
読者の中には、将来サラリーマンを辞めて専業トレーダーになるつもりの方もいるかもしれません。そういう方には、この辺の理解は必須です。
実は、私もこの辺の理解がなくてサラリーマン辞めてから後悔した経験があります。利益額300万円で試算しながらやってみます。
サラリーマンの場合
FXで300万円利益・・・だと、サラリーマンが納税する概算の税金は以下のようになります。
- 所得税:300×15。315%=45.945万円
- 地方税:300×5%=15万円
- 合計 60.945万円
これで納税関係が終わります。利益が増加したことで他の負担が増えるようなことはありません。300万円の利益で60.945万円の税金というのは、多い気もするかもしれません。でも、今のFX税制ではサラリーマンという職業は税金を低く抑えられる職業でもあります。
他の職業はこうはいきません。
「専業主婦」「自営業」「専業トレーダー」いずれも無税の範囲以上の利益を稼ぐ人たちは、税金の他にも負担が発生します。
専業主婦編
専業主婦の場合、300万円の利益を出したときの計算は以下のようになります。便宜上必要経費は0円・所得はFX以外は0円で計算しています。
- 所得税(300−38)×15.315%=40.12万円
- 地方税(300−33)×5%=13.35万円
これに、扶養控除から外れることによる負担が加わります。
参考:無税のはずがFX口座まちがえて税金70万円の笑えない話
この記事を参考に負担増を算出すると以下のようになります
配偶者控除が無くなったときのご主人の負担増
- 38万円×30%=11.4万円
奥様の国民健康保険料(所得比例方式で負担率10%の自治体の場合)
- (300万円ー基礎控除33万円)×10%=26.7万円
奥様の国民年金保険料 15,040円(平成25年)
- 15,040×12ヶ月=18.048万円
以上となります。ちなみに国民健康保険料はお住まいの市町村によって大きな差があります。私の住んでいる町を基準に計算していますが、千葉市よりも1.5倍の水準です。
東京都など大都市に住んでいる方は、この半分くらいの保険料かもしれません。それぞれの状況によって後半3つの負担額はかなり違ってきます。アバウトではありますが、専業主婦がFXで300万円の利益を出したときの5つの負担増をまとめるとこうなります。
- 所得税:40.12万円
- 地方税:13.35万円
- ご主人の負担増:11.4万円
- 奥様の国民健康保険料:26.7万円
- 奥様の国民年金保険料:18.048万円
- 合計 109.618万円
奥様の所得控除や必要経費によっても違ってきますが、300万円の利益に対してこれだけの負担が生じる可能性があります。
- 負担率 =109.618万円 ÷ 300万円 =36.539%
重い負担ですよね。負担率36.539%というのは、3分の1以上税金やら国民健康保険料やらに払っている状況となっています。この計算をすると、いつも「どっか間違っていないか?」と自分でも思ってしまいます。
でも、計算違いじゃないんですよね。
同じ300万円の利益でもサラリーマンと専業主婦では負担増に雲泥の差がありますね。
ご主人との連携とNISA活用
専業主婦の方が、FXでガンガン利益というのはかっこいいとは思うのですが、稼げば稼ぐほど税金上はかなり悩ましいことになります。私の妻は、現在専業主婦となっています。この状況を考慮して妻には無税範囲での運用に限定しています。
参考:無税範囲でやるFX
そのやり方は上記ページで書かせていただいたのでここでは割愛します。
NISAの活用
株式投資の話題になりますが来年以降始まるNISAの活用も検討すべきだろうと思います。
私は妻と私の両方で利用する予定です。夫婦で毎年200万円×10年合計で2000万円の無税枠(累積できるのは1人500万円×2=1000万円限度)となります。
運用期間も5年間あるため50〜100%のリターンは狙えます。50%のリターンが達成できたとすれば1000万円相当の運用益が無税で得られることになります。
過去の事例からいくと、こういう制度は延長となることも多いので、15〜20年くらいは続く可能性があります。そういう目でみれば、暫くは続く制度なので戦略的に使っていくべきです。
NISAを使った戦略はいろいろ考えられます。
- 低位株を中心に将来2倍・3倍になりそうな株を仕込む。
- 投資信託で手堅くいく。
- 海外株やETFを組み合わせて日本以外でいく。
この戦略内容によって口座開設先も違ってきます。銀行では株式売買はできない代わりに独自の投資信託が使えるなどの違いがあるためです。
私も10月以降、考えをまとめてから口座開設を始める予定にしています。
話が株にそれてしまいましたね。
でも、専業主婦は扶養家族としての状況をできるだけ変えずに運用をしていくほうが税制上かなり有利です。そのためには先ほどの「無税範囲のFX」と同時にNISA枠活用の検討をすることは重要であると思っています。
FX税金2013 目次
- 第1回知るだけで差がつく FX税金2013年
- 第2回復興税で税金の増える人減る人
- 第3回fx税金払わないですむ3つの基準
- 第4回無税のはずが税金70万円の笑えない話
- 第5回無税範囲でやるFXのやり方 その1
- 第6回豪ドル円暴落のための備え
- 第7回FX確定申告必要書類まとめ
- 第8回税務調査 加算税減らす窮余の3策
- 第9回FX・株式税務調査 都市伝説
- 第10回FX税金は税率ではなく負担率 専業主婦36%
- 第11回専業トレーダー自営業のFX税金
- 第12回税金からみた専業トレーダーになる目安
- 第13回専業トレーダーが税金上不利になる3つの理由
- 第14回大敗大勝のジンクスと損失繰越
- 第15回FX損益通算と金融所得課税の一体化問題
- 第16回国民年金・国民健康保険料 節約の一手
- 第17回必要経費と損失繰越で税金がこれだけ違う
- 第18回所得控除 税金を減らすポイントその2
- 第19回全額掛金控除 国民年金基金の資産効果
- 第20回専業トレーダーが確定拠出年金を始めた理由
- 第21回確定拠出年金 元本割れが気になったら読む記事
- 第22回税金還付をキャッシュバックと考えてみる
- 第23回確定拠出年金手数料まとめ
- 第24回確定拠出年金 給付手数料節約の小技
- 第25回運用商品と信託報酬のポイント
- 第26回配分変更とスイッチング
- 第27回元本確保型の欠点 インフレリスクとは
- 第28回インフレ時代の資産運用
- 第29回投資家の選択リスク
- 第30回ドルコスト平均法の効果と試練
- 第31回NISAに応用できるFX運用法
- 第32回ふるさと納税 2013
- 第33回ふるさと納税 手続きと手順
- 第34回FX税金2013 NEVERまとめ