株券でのスワップFX メリットと注意点
スワップ放置投資を株券でやってみたいというメールをいくつか頂きました。株主優待目的など長期保有前提の株をお持ちの方にはそれをFX証拠金にすることで更なる利益をうみだす仕組みも構築できます。
運用上の注意点をまとめさせていただきます。
株券を活かすという選択肢
私自身、株券を代用有価証券としてFXの証拠金として活用しています。
参考:高スワップポイントと代用有価証券 マネーパートナーズFX
始めて1年くらいですが、預けたお金は1.5倍まで増えています。
しかも、マネーパートナーズは外為どっとコム社と同様に「スワップポイント振替制度」を持つ業者でもあります。これを利用して、税金のかからない範囲でやるFX口座として使うこともできます。
- 株式投資は特定口座源泉領収ありで確定申告不要にする。
- FXは税金のかからない範囲で運用
こうすることで株式もFXも確定申告不要が実現します。株式は税金が自動徴収なので税金は払いますが、専業主婦などが確定申告や税金を気にせずに投資をしていく時の組み合わせとしては有効です。
代用有価証券運用のメリット
代用有価証券の最も大きなメリットは、この2つです。
- スワップポイント・配当金・株主優待が同じ資金で楽しめる。
- 同じ資金でFXと株式の両方の利益が狙える。
現在の日本株は配当金の利回りが3%前後になるものが少なくありません。そして、代用有価証券にしても株主優待や配当金は通常どおりに受けられます。
FX証拠金としてポジションを持てば、これにスワップポイントも収益源として加わります。仮に、スワップポイントの利回り5%程度のポジションを保有すれば3%+5%=8%の利回りが実現することになります。
そして、値上がり益もFXと株式の両方で享受できます。一見とても良いことばかりのような気がします。しかしながら、注意点もあります。
代用有価証券運用上の注意点
運用上の注意点としては大きく2つあります。
- 代用有価証券の余力管理をしっかりする。
- 預ける株券は長期保有前提が望ましい。
株券は70%掛目で評価されます。例えば、時価1000万円相当の株券を代用有価証券とした場合、1000万×70%=700万円がFX証拠金としての評価額になります。このため、代用有価証券でのFX証拠金は株価変動によって評価額が上下することになります。
- 株価1200万円になれば1200×70%=840万円
- 株価2000万円になれば2000×70%=1400万円
- 株価900万円になれば900×70%=630万円
- 株価500万円になれば500×70%=350万円
株価変動が大きいと代用有価証券FX証拠金も大きく変動することになります。特に注意すべきは「株価急落時」です。しかも、暴落気味になってきたときはFX証拠金も一気に減ることになるからです。
また、株価下落=円高となることも多く、FXポジションと代用有価証券の両方で含み益縮小または含み損拡大となる状況も想定されます。これに動じないために、独自の安全規律を作っておく必要があります
- レバレッジは、現金で行うときよりも低目にする。
- 株価上昇時、余力が増えてもポジションを増やすのは慎重にする。
誰しも、含み益が大きくなると気持ちは緩みがちでもっと儲けたいという欲もでてくるものです。代用有価証券での運用は、株式とFXの両方で利益が乗ってくるので更にその気持ちが強くなりがちです。
この点、十分にご自重くださいませ。
これは「預ける株券は長期保有前提が望ましい」とも関連します。率直に書かせて頂きますが、マネーパートナーズの株式口座は短期売買には向きません。特に、既にGMOクリック証券などでネット証券会社での株式投資経験のある方は物足りなく感じるところがいくつもでてくるからです。
でも、私はこれで良いと思っています。
代用有価証券でFXをしている方が同じ資金で株式投資の短期売買もするのは失敗の原因になるからです。
株式の短期売買を同じ口座でやっていると、FXも短期売買したくなるものです。そうなると、管理も難しくなり通常の裁量トレードとなってしまうので、「税金のかからない範囲でやるFX」という当初の目的はうやむやとなります。
「そんなことはない!」と言い切れる方は、やってみてもいいと思います。でも、私はやりません。そこまで自分を制御する自信がないからです。
私の場合:株主優待・配当金目的株が代用有価証券の中心
私は、預ける株券は「株主優待または配当金目的」の長期保有前提株中心としています。数年保有し続ける予定のものがほとんどです。近々、オリエンタルランドも代用有価証券に追加予定です。
夫婦で100株づつ保有しているので、1年間で2枚のディズニーランド株主優待券が頂けます。
それほど近い訳ではないのですが、ディズニーランドから日帰りできるくらいの場所に住んでいるので息子が4歳になったら1年に1回くらいは連れていきたいと思っております。
そのための株券ですので多分10年以上は保有予定です。なので、代用有価証券には調度良いのです。
こんな感じで楽しみながらFXもできてしまうのが、代用有価証券の魅力の一つでもあります。
FX税金2015 目次
連載FX税金2015の目次です。
- 第1回:勢い止めるべからず FX税金対策禁止事項
- 第2回:株式投資家は税金払い過ぎになりやすいのはなぜ?
- 第3回:未決済ポジションの為替差益に税金が発生するケース
- 第4回:スワップポイント税金は2種類
- 第5回:FX利益20万円以下なら無税の誤信
- 第6回:確定申告しないFX 2つの方法
- 第7回:住宅ローンと専業トレーダー
- 第8回:税金のかからないスワップ投資7つのポイント 準備編
- 第9回:【その1:FX口座選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第10回:【その2:通貨ペア選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第11回:【その3:ポジションは未決済のままにする】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第12回:【その4:年間スワップポイントの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第13回:【その5:決済ポジションの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第14回:【その6:含み益が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第15回:【その7:含み損が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第16回:バスケット通貨運用 個人でのやり方と無料ツ−ル
- 第17回:株券でのスワップFX メリットと注意点
- 第18回:「米ドル売らず 南アフリカランド買わず」スワップ投資通貨ペア選びの基本基準
- 第19回:スワップポイント振替制度 2社比較
- 第20回:税金のかからない範囲でやる「スワップポイントサヤ取り」
- 第21回:スワップポイントサヤ取り 心理面で大切な2つのポイント
- 第22回:スワップポイント変動への対応 スワップポイントサヤ取り(異業者両建て)
- 第23回:利益の出しすぎ注意 税金の範囲でやるスワップポイントサヤ取り
- 第24回:画餅の高利回りにご注意
- 第25回:スワップポイントサヤ取り 絶対禁止事項
- 第26回:スワップポイントサヤ取り まとめと念のための資金的余裕記事
- 第27回:税金のかからないFX 2つの方法メリット・デメリット
- 第28回:専業主婦が最初に運用方針を決めないといけない理由
- 第29回:FX法人口座の長所・短所
- 第30回:FX専業トレーダーよりも兼業トレーダ 断然有利の現実
- 第31回:FX税金を減らす基本 必要経費と税額控除
- 第32回:ふるさと納税 なぜお得なの?
- 第33回:ふるさと納税015年改正点「控除上限2倍」
- 第34回:ふるさと納税ワンストップ特例制度
- 第35回:1万円寄付で後世に名を残す 2015年ユニークなふるさと納税事例
- 第36回:国民年金基金 確定という安心感とリスク
- 第37回:確定拠出年金(401K) インフレ時代にも対応できる制度
- 第38回:勝者の鉄則 FX投資家が1月に必ずすべき事
- 最終回:驕兵必敗 驕れるFX投資家に訪れるのは破滅のみ
- おまけ:住宅ローン 審査の緩い銀行の探し方
FX税金に関する記事は下記にてまとめてあります。