国民年金基金 確定という安心感とリスク
FX利益は、節税を兼ねながら将来の備えに使うというのも有効な発想です。利益をだしながらしっかりと準備しておきたいものです。
税金対策と将来の備え 2つの上乗年金
FXの利益が安定してきたら検討対象に加えたいのが上乗年金です。
利益に対する税金を減らす効果を享受しながら、将来の年金を増やすこともできるという一石二鳥の制度です。FXトレーダーが利用できそうなものとして代表的なものは2つあります。
- 国民年金基金
- 確定拠出年金(401K)
どちらも払った保険料が全額所得控除となります。税率20%の方であれば、年間50万円の保険料で10万円分税金減の効果があります。国民年金基金については過去記事を参考になるかと思います。
参考:国民年金基金 シミュレーションからわかったデメリットと魅力
自営業者のための上乗せ年金という形ですので、自営業的にやっている個人専業トレーダーであれば加入できます。専業トレーダーは、国民年金が中心になるので国民年基金にも加入することで将来の年金受取額を増やせます。
FXだけで一生やっていくのには、運用失敗して資産を大きく減らすという不安もあります。節税を兼ねて備えておけるのが大きなメリットです。
ただ、注意点もあります。
国民年金基金は確定年金です。そのため払った金額以上のお金を将来受け取ることができるのですが、利回りは低い傾向にあります。これが、これからの時代にはリスクになる可能性があります。
国民年金基金とインフレリスク
国民年金基金は、構造的にインフレに弱いところがあります。インフレとは、簡単に言い換えれば物価上昇のことです。
仮に。年金100万円を受け取りながら100万円全て生活費という方がいるとします。
ここで物価が10%上昇すると今のままの生活を続ければ生活費は100万円×10%増=110万円となり、年金では生活ができなくなってしまいます。
これでは困るので、物価上昇時には年金額も増額調整しましょうという制度が「物価スライド形式」です。この制度で、物価上昇が完全に補われるわけではないのですが、年金生活者にとっては助けとなります。
国民年金基金には、この「物価スライド形式」がありません。アベノミクスは、「デフレ脱却」をして「軽いインフレ状態」を目指しています。
おそらく、この基本政策は次の政権にも継承されていくことになるでしょう。それから推測すれば、5年後・10年後の日本はある程度のインフレが常態化していることになるでしょう。
加入時の予定利率もポイント
国民年金基金には加入者に約束している予定利率というものがあります。そして、加入時の予定利率がずっと適用される仕組みとなっています。
毎月の掛金はこの予定利率で運用されていくため高い予定利率の時に加入した方は、受け取る年金もそれだけお得になります。そのため、20年くらい前に加入されている方は、かなりの高利回りのはずです。なので、昔から加入している方はあまり気にする必要はないかもしれません。
2014年以降加入者は、予定利率1.5%です。
この利率は今の段階では微妙な水準ですよね。受取年金額に反映される利回りは予定利率から諸経費が差し引かれるので、この利率で計算した年金額よりは減ることになります。でも、1%もない銀行預金にしておくよりもずっと有利に感じられます。
しかも、掛金は全額社会保険料控除として所得控除できるので、そこまで考慮すると「やっぱりお得」という気もします。
あとは、これから日本のインフレがどの水準までいくかということになります。アベノミクスが目指しているのが年間2%です。
- 予定利率 1.5%
- インフレ率 2%
こうなると、ちょっとづつですが、将来受け取る年金額の価値が減っていくことになりますね。でも、毎年の節税効果もあるのでこれくらいであれば「加入して失敗した」という気持ちにはならないかもしれません。
私が心配するのは、「インフレというのは加速すると制御しにくい」という部分です。
世界史を経済視線でみるとそれは「インフレとの戦い」でもあります。インフレによる経済崩壊が戦争突入の遠因となることもありました。デフレ経済に慣れた日本ではなかなか想像しがたいことではあるのですが、インフレの加速は国民生活に甚大な影響を及ぼします。
日本経済が、デフレ完全脱却してインフレ経済となったときにその時点の政権がうまく調整してくれればよいのですが、失敗したときのことも考慮に入れておくべきだろうと思っています。
こういう視点からいくと、確定拠出年金(401K)の活用も検討対象に入ってきます。
FX税金2015 目次
連載FX税金2015の目次です。
- 第1回:勢い止めるべからず FX税金対策禁止事項
- 第2回:株式投資家は税金払い過ぎになりやすいのはなぜ?
- 第3回:未決済ポジションの為替差益に税金が発生するケース
- 第4回:スワップポイント税金は2種類
- 第5回:FX利益20万円以下なら無税の誤信
- 第6回:確定申告しないFX 2つの方法
- 第7回:住宅ローンと専業トレーダー
- 第8回:税金のかからないスワップ投資7つのポイント 準備編
- 第9回:【その1:FX口座選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第10回:【その2:通貨ペア選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第11回:【その3:ポジションは未決済のままにする】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第12回:【その4:年間スワップポイントの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第13回:【その5:決済ポジションの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第14回:【その6:含み益が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第15回:【その7:含み損が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第16回:バスケット通貨運用 個人でのやり方と無料ツ−ル
- 第17回:株券でのスワップFX メリットと注意点
- 第18回:「米ドル売らず 南アフリカランド買わず」スワップ投資通貨ペア選びの基本基準
- 第19回:スワップポイント振替制度 2社比較
- 第20回:税金のかからない範囲でやる「スワップポイントサヤ取り」
- 第21回:スワップポイントサヤ取り 心理面で大切な2つのポイント
- 第22回:スワップポイント変動への対応 スワップポイントサヤ取り(異業者両建て)
- 第23回:利益の出しすぎ注意 税金の範囲でやるスワップポイントサヤ取り
- 第24回:画餅の高利回りにご注意
- 第25回:スワップポイントサヤ取り 絶対禁止事項
- 第26回:スワップポイントサヤ取り まとめと念のための資金的余裕記事
- 第27回:税金のかからないFX 2つの方法メリット・デメリット
- 第28回:専業主婦が最初に運用方針を決めないといけない理由
- 第29回:FX法人口座の長所・短所
- 第30回:FX専業トレーダーよりも兼業トレーダ 断然有利の現実
- 第31回:FX税金を減らす基本 必要経費と税額控除
- 第32回:ふるさと納税 なぜお得なの?
- 第33回:ふるさと納税015年改正点「控除上限2倍」
- 第34回:ふるさと納税ワンストップ特例制度
- 第35回:1万円寄付で後世に名を残す 2015年ユニークなふるさと納税事例
- 第36回:国民年金基金 確定という安心感とリスク
- 第37回:確定拠出年金(401K) インフレ時代にも対応できる制度
- 第38回:勝者の鉄則 FX投資家が1月に必ずすべき事
- 最終回:驕兵必敗 驕れるFX投資家に訪れるのは破滅のみ
- おまけ:住宅ローン 審査の緩い銀行の探し方
FX税金に関する記事は下記にてまとめてあります。