その5:決済ポジションの把握 FX税金2015第13回
スワップ放置投資といえど、どうしても決済したくなるときがいずれきます。
でも、決済利益の把握をしっかりして利益額をコントロールできれば大丈夫です。
とはいえ、出来れば不要な決済は避けたいものです。
今回は、その決済に深く絡む「利益の乗った苦しみ」についても書かせて頂きます。
今回から連載を読み始めた方は、準備編から確認することをおすすめします。
税金のかからないスワップ投資7つのポイント
では、はじめます。
すぐに決済したくなるのが普通の投資家心理
「スワップポジションを作って放ったらかしにしておく」
スワップ放置投資はこれでいいのですが、実はとって難しいことがあります。その「放ったらかし」が案外できません。ポジションをそのままにしておくというのは、とっても楽そうなのですが、慣れるまではちょっと我慢が必要です。特にFXを始めたばかりの頃は、ついつい売買をしたくなります。
- 下げれば大きく下がるかもしれないと恐怖心がでて決済したくなる。
- 上げてくるとそろそろ下がるかもしれないと不安になって決済したくなる。
投資家心理の不思議なところは、買いポジションを作ると何かと下げる心配が先行するところです。最初はそういうものです。
特に「ちょっと利益が乗った時」が一番決済したくなります。
含み損は我慢できても「ちょっと利益」は我慢できない
スワップ放置投資を始めるときは、「含み損が出たらどうすればいいのだろう」という不安を持つのですが、実際の始めてみると逆の現象に気づきます
- 少々の含み損は我慢できる。
- ちょっと利益が出ると我慢できない。
ほとんどの人がこういう反応を起こします。そして、ついつい利益確定決済をしてしまうのです。この心理はやってみないと理解が出来ない部分があります。
損失がでるのが苦しいのは容易に理解して頂けるのですが、利益がでると苦しいというのは案外知られていません。これは昔から「利益の乗った苦しみ」と言われているものでもあります。
投資家は、本来利益少なく損失が大きくなる傾向にあります。所謂「利小損大の心理」で、スキャルピングなどこれが有効となる運用法もあります。でも、スワップ放置投資では避けねばならない利益の出し方です。
利益を我慢するというのは一種の苦痛です。そこを耐えきるのは大きく稼げるようになるための壁のようなものでもあります。
でも、心配は要りません。
「この利益の乗った苦しみ」は、不思議なことに、利益がある程度増えてくると段々と気にならなくなってきます。この感覚が理解できるようになると、通常の裁量トレードでの運用成績にも好影響を与えます。
余談ですが、スワップ放置投資は「利益が増えるのを我慢する力を養う効果」もあるのです。
この辺の人間心理は、行動経済学などでもよく指摘される部分です。掘り下げると面白いのですが、ここでの主題ではありませんので本題に戻らせていただきます。
もしも利益確定決済をしても、税金のかからない範囲での決済であればあまり深刻になる必要はありません。
決済金額の把握は必須事項
ただ、当然のことながら決済金額は把握しておかねばなりません。
「決済した場合は、その金額も考慮して調整する。」
税金のかからない範囲でやるという限定がつくので利益の出しすぎは配偶者控除がなくなるなどのデメリットがあるので注意しないといけません。外為どっとコム口座でそれを把握するのであれば、以下の手順で行います。
- 口座管理画面「履歴/報告書」タブをクリック
- 「報告書のダウンロード」をクリック
- 「損益計算書を表示」で期間を入力して確認
この明細も必ず確認します。スワップポイント振替を利用している際にそれが反映されているかどうかもチェックしておきます。
そして、出来ればご決済の度び自身の勉強ノートにメモを残しておくこともしておくと良いです。
なぜかというと、FX会社のデータが時折不正確なときがあるためです。ごくたまにですが、期間損益計算書にミスがあって損益金額が修正されることがあります。外為どっとコム社でそのような修正の記事はみたことがないのですが、他社では実際に何度か発生しています。
確定申告をする投資家にとっては、少々金額が修正されても大きな影響はありません。
でも、税金のかからない範囲でやっている方にとっては、後日利益額を修正されたことによって税金を払わねばならないことになるかもしれません。
こういう最悪の事態を防ぐために、ご自身でも売買記録をメモ書きでもよいので残しておくべきだと私は思います。FX会社のデータが自分のデータと合わなければ指摘できるくらいの状態にしておけば、不測の状況は防げます。
ちょっと手間をかけておくことで、毎年数万円の税金節約がより確実にできるようになります。
FX税金2015 目次
連載FX税金2015の目次です。
- 第1回:勢い止めるべからず FX税金対策禁止事項
- 第2回:株式投資家は税金払い過ぎになりやすいのはなぜ?
- 第3回:未決済ポジションの為替差益に税金が発生するケース
- 第4回:スワップポイント税金は2種類
- 第5回:FX利益20万円以下なら無税の誤信
- 第6回:確定申告しないFX 2つの方法
- 第7回:住宅ローンと専業トレーダー
- 第8回:税金のかからないスワップ投資7つのポイント 準備編
- 第9回:【その1:FX口座選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第10回:【その2:通貨ペア選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第11回:【その3:ポジションは未決済のままにする】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第12回:【その4:年間スワップポイントの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第13回:【その5:決済ポジションの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第14回:【その6:含み益が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第15回:【その7:含み損が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第16回:バスケット通貨運用 個人でのやり方と無料ツ−ル
- 第17回:株券でのスワップFX メリットと注意点
- 第18回:「米ドル売らず 南アフリカランド買わず」スワップ投資通貨ペア選びの基本基準
- 第19回:スワップポイント振替制度 2社比較
- 第20回:税金のかからない範囲でやる「スワップポイントサヤ取り」
- 第21回:スワップポイントサヤ取り 心理面で大切な2つのポイント
- 第22回:スワップポイント変動への対応 スワップポイントサヤ取り(異業者両建て)
- 第23回:利益の出しすぎ注意 税金の範囲でやるスワップポイントサヤ取り
- 第24回:画餅の高利回りにご注意
- 第25回:スワップポイントサヤ取り 絶対禁止事項
- 第26回:スワップポイントサヤ取り まとめと念のための資金的余裕記事
- 第27回:税金のかからないFX 2つの方法メリット・デメリット
- 第28回:専業主婦が最初に運用方針を決めないといけない理由
- 第29回:FX法人口座の長所・短所
- 第30回:FX専業トレーダーよりも兼業トレーダ 断然有利の現実
- 第31回:FX税金を減らす基本 必要経費と税額控除
- 第32回:ふるさと納税 なぜお得なの?
- 第33回:ふるさと納税015年改正点「控除上限2倍」
- 第34回:ふるさと納税ワンストップ特例制度
- 第35回:1万円寄付で後世に名を残す 2015年ユニークなふるさと納税事例
- 第36回:国民年金基金 確定という安心感とリスク
- 第37回:確定拠出年金(401K) インフレ時代にも対応できる制度
- 第38回:勝者の鉄則 FX投資家が1月に必ずすべき事
- 最終回:驕兵必敗 驕れるFX投資家に訪れるのは破滅のみ
- おまけ:住宅ローン 審査の緩い銀行の探し方
FX税金に関する記事は下記にてまとめてあります。