FX法人口座の長所・短所
FX法人口座の大まかな特徴をまとめました。
FX法人口座の特徴
法人口座の場合、利益額から自分に給料を払う形になります。長所としては以下があります。
- 日本国内の業者でも100倍などの高レバレッジ取引が可能
- 給与所得控除が使えるので節税になる。
- 個人口座よりも必要経費の幅が広がる(経営者保険など)
- 厚生年金に加入できる。
- 健康保険料の節約につながることもある。
- 損失繰越が7年と個人よりも長期
特に最初の「高レバレッジ取引」に魅力を感じて法人口座を作る方が多いのですが、他にも様々な長所があります。そして、短所もあります。
- 法人税が高くて結局税金が大きくなることがある。
- 役員報酬は、1年固定のため利益に合わせて調整が難しい。
- 複式簿記で帳簿をつける必要がある。
- 税改正が毎年のようにあるため弥生会計などは必須
- 法人設立・運営の費用がかかる。
- 法人口座で利益がでても自由に引出しはできない。
FXで法人口座を持つということは、株式会社を作り社長になるということでもあります。そのため、それによる様々な負担が生じます。私は、かなり簡易に法人設立をしているのですが、それでも以下の費用がかかりました。
- 法人設立手続き 約30万円
- 会計ソフト費用 約 5万円
- 税理士費用 約12万円
経理や税務署との書類の流れに慣れるまでの数年は税理士さんと毎月1万円で契約をしていました。現在は、帳簿記入から決算手続きや税務調査まで全て自分で対応しています。
現在の費用としては、「弥生会計」と「弥生給与」の更新料のようなものが毎年5万円くらいかかる程度です。
法人にすると、仕訳や年末調整や社会保険料の提出書類など個人事業主のときにはみたこともない処理や手続きがいくつもあります。
そのほとんどは、慣れてしまえばそれほど負担ではありません。私がいつも苦しむのが決算書類作成です。毎年必ずわからないことが発生して、そのたびに税務署に相談にいって解決しています。
もしも、いずれ法人口座を作って経理なども自分でやろうとお考えの方は簿記3級くらいはとっておくのをおすすめします。
ちなみに、私は日商2級レベルの簿記資格を高校生の頃に取得しています。ちなみに、30年以上前です。
ずっと前に取得した資格なのですが、勘定科目の選び方や仕訳・決算処理など経理処理はこれで十分できています。
法人口座は税金対策的な長所は薄い
率直に書くと、FX法人口座での税金上の長所はあまりないと感じています。そもそも法人税の税率が個人の税率よりも低くありません。
経費が沢山作れればよいのですが、なんでもかんでも経費となるわけではありません。特に、専業トレーダーが作れるFX関連の経費はたかがしれています。
高レバレッジ取引ができて海外口座でも損失繰越ができるという意味では、そういう運用法をする方には長所が大きいと思います。
私のようなスワップ中心投資家にとって使えそうなのは、連載中で先日まで紹介していたスワップポイントサヤ取りくらいです。
法人口座は、1万通貨あたりの証拠金を少なくできるため個人口座と同じ資金配分で両建てポジションを作るとロスカットまでの余力が大きくできます。
例えば、南アフリカランド円であればレバレッジが最高25倍の個人口座とレバレッジ100倍の法人口座では資金的余力などに結構な違いがあります。
南アフリカランド円必要証拠金
9.0円で10万通貨の買いポジション(総約定代金90万円)保有した場合の最低必要証拠金は以下のようになります。
- 個人口座 36,000円
- 法人口座 9,000円
仮に10万円の証拠金でこのポジションを保有した場合は、ロスカットまでの余力が違ってきます。
個人口座の余力
- 10万円ー36,000円 = 6.4万円
-
0.64円の値動きで強制ロスカットの可能性
法人口座の余力
- 10万円ー9,000円 = 9.1万円
-
0.91円の値動きで強制ロスカットの可能性
強制ロスカットの基準は各社違うのですが最低必要証拠金を割ったら強制ロスカットになるという一番厳しいルールで計算してみました。
通常のスワップ投資であれば、10万円で10万通貨の買いポジションは保有しないと思います。スワップポイントサヤ取りは、両建てとなるのでポジション作成時はこれくらいの証拠金で行うことがよくあります。
少し下落した段階で、予備資金も投下していくのでポジション完成後には大体2〜3円程度の値動きがあっても対応できるようになります。無論、今のような激しい相場は最初からある程度の証拠金を入れておいたほうがよいのでここは柔軟に対応しています。
先ほどの例でいくと、法人口座で両建てポジションを作ることで強制ロスカットまでの値動きにかなり余裕ができることがわかります。
この運用法だけは、いずれ法人口座で試そうと思っております。
FX税金2015 目次
連載FX税金2015の目次です。
- 第1回:勢い止めるべからず FX税金対策禁止事項
- 第2回:株式投資家は税金払い過ぎになりやすいのはなぜ?
- 第3回:未決済ポジションの為替差益に税金が発生するケース
- 第4回:スワップポイント税金は2種類
- 第5回:FX利益20万円以下なら無税の誤信
- 第6回:確定申告しないFX 2つの方法
- 第7回:住宅ローンと専業トレーダー
- 第8回:税金のかからないスワップ投資7つのポイント 準備編
- 第9回:【その1:FX口座選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第10回:【その2:通貨ペア選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第11回:【その3:ポジションは未決済のままにする】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第12回:【その4:年間スワップポイントの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第13回:【その5:決済ポジションの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第14回:【その6:含み益が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第15回:【その7:含み損が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第16回:バスケット通貨運用 個人でのやり方と無料ツ−ル
- 第17回:株券でのスワップFX メリットと注意点
- 第18回:「米ドル売らず 南アフリカランド買わず」スワップ投資通貨ペア選びの基本基準
- 第19回:スワップポイント振替制度 2社比較
- 第20回:税金のかからない範囲でやる「スワップポイントサヤ取り」
- 第21回:スワップポイントサヤ取り 心理面で大切な2つのポイント
- 第22回:スワップポイント変動への対応 スワップポイントサヤ取り(異業者両建て)
- 第23回:利益の出しすぎ注意 税金の範囲でやるスワップポイントサヤ取り
- 第24回:画餅の高利回りにご注意
- 第25回:スワップポイントサヤ取り 絶対禁止事項
- 第26回:スワップポイントサヤ取り まとめと念のための資金的余裕記事
- 第27回:税金のかからないFX 2つの方法メリット・デメリット
- 第28回:専業主婦が最初に運用方針を決めないといけない理由
- 第29回:FX法人口座の長所・短所
- 第30回:FX専業トレーダーよりも兼業トレーダ 断然有利の現実
- 第31回:FX税金を減らす基本 必要経費と税額控除
- 第32回:ふるさと納税 なぜお得なの?
- 第33回:ふるさと納税015年改正点「控除上限2倍」
- 第34回:ふるさと納税ワンストップ特例制度
- 第35回:1万円寄付で後世に名を残す 2015年ユニークなふるさと納税事例
- 第36回:国民年金基金 確定という安心感とリスク
- 第37回:確定拠出年金(401K) インフレ時代にも対応できる制度
- 第38回:勝者の鉄則 FX投資家が1月に必ずすべき事
- 最終回:驕兵必敗 驕れるFX投資家に訪れるのは破滅のみ
- おまけ:住宅ローン 審査の緩い銀行の探し方
FX税金に関する記事は下記にてまとめてあります。