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未決済ポジションの為替差益に税金が発生するケース  FX税金2015第3回

  • ポジション決済していないのに多額の利益が発生している。
  • 決済利益は200万円なのにFX会社の計算書では400万円の利益になっている。
  • 利益出しているのにFX会社からの計算書ではなぜか損失になっている。

 

時折、読者よりこういったメールを頂くことがあります。年初になると前年度の年間損益計算書が発行されるのですが、その金額が想定したものとあまりにかけ離れていてビックリさせられてしまうのです。これらのほとんどは、これから書くことが原因です。

 

実は、「FX口座によって課税時期が違う」のです。この制度を知らずにいると突然大きな税金がかかることもあるので要注意です。

FX業者によって違う課税時期

ポイントは「為替損益」「スワップポイント損益」の両者の課税タイミングです。特に大きな影響をもたらずのが為替損益で、先ほどのケースはこの課税時期を把握していなかったことが主因ということが多いのです。

 

為替損益の課税タイミングは大きく2つに分かれます。

 

  • 為替差益決済時課税タイプ
  • 為替差益未決済でも課税タイプ

 

FX業者を具体的に分けると以下のような感じになります。

 

  • 為替差益 決済時課税タイプ:大多数のFX業者
  • 為替差益 未決済でも課税タイプ:SBI証券など少数派

 

*SBI証券とSBIFXトレードは別会社です。

 

ちなみに、私が普段使っている口座は全て「決済時課税タイプ」です。これは、ポジションを保有したら決済するまでは損益が確定しないというタイプです。

 

例えば、現在含み損100万円あるポジションでも、決済時に100万円の利益となっていれば決済した年に課税上の利益は100万円となります。

 

ところが、「未決済でも課税タイプ」の場合は毎日値洗いがあるため収支の出方が大きく違うのです。

短期売買向き「未決済でも課税タイプ」 毎日値洗いの意味

これに対し、「未決済でも課税タイプ」は毎日口座の値洗いをして含み損益を実現益にしてしまいます。先ほどの例でいけば、ポジションを作った翌日に含み損100万円となったとしましょう。

 

「未決済でも課税タイプ」の場合、翌日に100万円の損失が計上されます。そして、翌日為替値が戻して20万円の利益となった時は、値洗いにより20万円の利益が計上されます。つまり、「未決済でも課税タイプ」では1日以上の含み損益は発生せずに口座残高が増えたり減ったりすることになります。

 

この「未決済でも課税タイプ」の口座は、短期売買をする方にとっては取引がしやすいだろうと思います。

 

「損きり」をする時に障害となるのは「含み損」です。「未決済でも課税タイプ」では、含み損は翌日には強制清算されてしまうので、決済時の判断がより機動的にできます。この特徴を押さえて利用すれば、「未決済でも課税タイプ」は便利な口座の一つでもあります。

 

ただ、この仕組みを知らずにスワップ投資のような長期保有前提のポジションを数年持っていたりすると思いもかけないことがおきます。例えばこんなケースです。

 

  • 豪ドル円 100円で10万豪ドル円買いポジション作成
  • 年末:豪ドル円 80円まで下落 値洗いによる損失−200万円⇒値洗いに気づかなかったので損失繰越をせずに経過
  • 翌年末:豪ドル円100円に上昇 値洗いによる利益 200万円⇒利益となっているので税金発生

 

豪ドル円のポジションは決済していないのに、200万円の損失がでたり200万円の利益が出たりしています。しかも、「元々の買値と同値なのに税金が発生する」という状況でもあります。もしも、決済時課税タイプの口座でこのポジションを保有していれば為替差益はゼロとなりスワップポイントを考慮しなければ税金は発生していません。

 

無論、この場合でも200万円の損失の時に確定申告で損失繰越をしておればサラリーマンなどであればあまり大きな問題とはなりません。

 

損失繰越をしっかりやっておけば、翌年の利益は前年の損失と相殺されて利益0円となるからです。でも、前年に損失繰越をしていなければこの相殺はできません。

 

実際、損失が出ている時には損失繰越をしないといけないのを知らずに何もしないでしまっているケースがかなりあるようです。そうなってくると、利益が出た年に「買い値と変わらないのになぜ税金が?」と慌ててしまうことになります。

 

「未決済でも課税タイプ」の口座を利用している方は、毎日値洗いするという意味を確実に理解しておかねばなりません。含み損益が吐き出されるという性質から、このタイプの口座で運用されている方は毎年確定申告は必須と覚悟しておきましょう。

スワップ投資系は「決済時課税タイプ」

長期保有前提のスワップ投資には、「決済時課税タイプ」が望ましいです。数年ポジション保有することも多く、毎日値洗いする必要性はないからです。

 

なので私は、今のところ「未決済でも課税タイプ」は売買では使用していません。「未決済でも課税タイプ」は、SBI証券以外にも海外FX口座や一部の国内業者で提供されているようです。

 

スワップ投資目的で利用する際は、仕組みの違いには十分ご注意くださいませ。

FX税金2015 目次

連載FX税金2015の目次です。

 

 

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FX税金最新情報

2015/06/03


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