「勢い止めるべからず」FX税金対策禁止事項
FX税金の連載を今回より始めさせていただきます。ここ数年で、税金の基礎知識は投資家にかなり浸透してきた気がします。私のブログ・メルマガでも1年に1回程度のペースで基本事項や様々な節約法を紹介してきました。
参考:過去のFX税金記事
税金の知識が身についてくると、利益で増えた資金をしっかりと保っていけるようになります。今回も、基礎知識をもとにした様々な小技も紹介していくつもりでおります。
連載を始めるにあたり、最初に書いて触れておきたいことがあります。それは、ここのところ懸念していることでもあります。
税金の知識が浸透するに従い、節税テクニックに走ってしまって本来の目的「大きく稼ぐ」から逸脱しがちな方が増えている気がするのです。
FXのやり方は人それぞれです。なのでこういうことに口を出すべきではないのはわかっています。でも、そのやり方は「相場必負の道」でもあります。いずれ大怪我をする可能性があるのでご注意いただきたいのです。
勢い止めるべからず
税金の知識が豊富になってくると「利益がのびそうだけど今年の収支をプラスにするために一旦決済してしまおう」と自分でブレーキをかけてしまう方がいます。それが本当に「税金上の理由での決済」であれば、絶対にすべきではありません。
何事も、物事には勢いがあります。勢いが強い時には運も味方します。一年で運用資産を数倍にするような時もあります。なので、まだ利益が伸びそうだと感じているときは、その勢いに乗りつつある可能性が高い時期です。その時に、乗り切らずに決済を入れてしまうのは勢いを殺す行為となります。
「勢いを殺す」と書いてもピンとこないかもしれません。翌年頑張れば問題ないだろうという方もいるでしょう。残念ながら、それは机上の空論にすぎません。現実には、そういう訳にはいかないからです。
「毎年FXで100万年ずつ稼ごう」という具合に、きっちり100万円をマイナスの年もなく稼ぎ続けることは基本的に不可能です。結果として、平均100万円となることはあっても毎年確実にやるのはできないものなのです。そして、こういう調整をしながらやっているといずれ大失敗をする遠因ともなります。
この「勢いを殺す」ことの意味は、別の視点で考えていただくとわかりやすいかもしれません。
戦国大名とFX
伊達政宗・武田信玄・毛利元就など日本の戦国時代の有名大名たちは個性も様々ななのですが、一つだけ共通点があります。それは、みな「勢い」を味方につけるのが抜群にうまいということです。
彼らが戦国大名として強大になる過程で、必ずといって良いほど10倍くらいの兵力の敵を打ち破る戦歴を残しています。2000人で2万の敵を破るなどの戦いがきっかけで勢力を強大化するきっかけをつかんでいるのです。「戦力10倍に戦略は不要」という言葉がある通り、10倍の戦力差を破るには戦略だけでは無理です。「戦略+勢い」があってこと打ち破ることができます。
そして、勢いは一旦止めてしまうと取り返すのは難しいという特徴もあります。
相場の世界も同じです。私のように、毎年500〜2000万円くらいのトレーダーが突然年間5000万円・数億円と稼ぐことがあるとすれば、それを可能にするのは「運用技術+勢い」です。場帖・グラフ記入をしていくことでこの「勢い」を感じるようにもなっていくというのもこの運用法の特徴です。
参考:●●▲■+場帖・グラフ
運用法は様々でも、自分の「運用の勢い」が増していると感じてきたときは、まずは突き進み大きく稼いでいくべきです。
勢いが逆回転をする恐怖の時期
相場運用では先ほどの「勢いのある時期」とは全く逆の「何をしてもダメな時期」があります。よく聞くのが1億や5億など大台を一気に超えたあとで、先ほどの「勢いのある時期」の次に訪れやすいという傾向があります。
また、何をしてもダメとまではいかないものの、ちょっとした調子の悪い時期は誰にでも訪れるものです。そういう時期には、成績はマイナスとならざるをえません。
それでも稼ぐべき時に稼いでいればトータル収支は十分なプラスとなります。でも、先ほどのように調子の良い時期に「勢いを殺す」ようなことをしていれば利益はあまり貯まっていないため、ここでの損は純粋な損失として累積されていきます。
- 調子の良い時期は勢いを殺して「小さな利益」
- 調子の悪い時期は「大きな損失」
この流れとなってしまうと、徐々にお金が減っていくことを止められなくなります。おそらく、ご本人も「なんで勝てないんだろ」という不思議な気持ちになってしまうこともあります。「細かい税金対策が負ける遠因を作っている」なんてのは、本人は案外気づかないものなのです。
ちょっとくどかったかもしれません(笑)。
でも、細かいテクニックに走ってしまう傾向はどなたにでもあるので十分に注意していただきたいのです。繰り返しになりますが、間違っても「自分の勢い」を目先の数万円の税金のために止めてしまってはいけません。
利益で増えた資産を保つには税金知識が必要不可欠です。「勢い」を殺す愚をしっかりと理解して利用していけば、「勢いを殺さない調整」もできるようになります。そういう活用ができるように配慮しながら今回の連載記事を書いていければと思っています。
FX税金2015 目次
連載FX税金2015の目次です。
- 第1回:勢い止めるべからず FX税金対策禁止事項
- 第2回:株式投資家は税金払い過ぎになりやすいのはなぜ?
- 第3回:未決済ポジションの為替差益に税金が発生するケース
- 第4回:スワップポイント税金は2種類
- 第5回:FX利益20万円以下なら無税の誤信
- 第6回:確定申告しないFX 2つの方法
- 第7回:住宅ローンと専業トレーダー
- 第8回:税金のかからないスワップ投資7つのポイント 準備編
- 第9回:【その1:FX口座選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第10回:【その2:通貨ペア選定】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第11回:【その3:ポジションは未決済のままにする】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第12回:【その4:年間スワップポイントの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第13回:【その5:決済ポジションの把握】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第14回:【その6:含み益が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第15回:【その7:含み損が大きくなった場合】税金のかからないスワップ投資7つのポイント
- 第16回:バスケット通貨運用 個人でのやり方と無料ツ−ル
- 第17回:株券でのスワップFX メリットと注意点
- 第18回:「米ドル売らず 南アフリカランド買わず」スワップ投資通貨ペア選びの基本基準
- 第19回:スワップポイント振替制度 2社比較
- 第20回:税金のかからない範囲でやる「スワップポイントサヤ取り」
- 第21回:スワップポイントサヤ取り 心理面で大切な2つのポイント
- 第22回:スワップポイント変動への対応 スワップポイントサヤ取り(異業者両建て)
- 第23回:利益の出しすぎ注意 税金の範囲でやるスワップポイントサヤ取り
- 第24回:画餅の高利回りにご注意
- 第25回:スワップポイントサヤ取り 絶対禁止事項
- 第26回:スワップポイントサヤ取り まとめと念のための資金的余裕記事
- 第27回:税金のかからないFX 2つの方法メリット・デメリット
- 第28回:専業主婦が最初に運用方針を決めないといけない理由
- 第29回:FX法人口座の長所・短所
- 第30回:FX専業トレーダーよりも兼業トレーダ 断然有利の現実
- 第31回:FX税金を減らす基本 必要経費と税額控除
- 第32回:ふるさと納税 なぜお得なの?
- 第33回:ふるさと納税015年改正点「控除上限2倍」
- 第34回:ふるさと納税ワンストップ特例制度
- 第35回:1万円寄付で後世に名を残す 2015年ユニークなふるさと納税事例
- 第36回:国民年金基金 確定という安心感とリスク
- 第37回:確定拠出年金(401K) インフレ時代にも対応できる制度
- 第38回:勝者の鉄則 FX投資家が1月に必ずすべき事
- 最終回:驕兵必敗 驕れるFX投資家に訪れるのは破滅のみ
- おまけ:住宅ローン 審査の緩い銀行の探し方
FX税金に関する記事は下記にてまとめてあります。