FX運用 絶好調は破滅の入り口
何をやってもうまくいくときが誰にでもあります。FX運用でそういう状況になったら要注意です。実は、多くの方が絶好調の後に苦労してしまう経験をしているからです。
相場に流れがあるのと同様に、投資家にも調子の良い悪いの流れがあります。良い時期にはガンガン利益を出し、悪い時期には堅実にやれるような力を養成していきましょう。
絶好調のあとの落とし穴には本当に注意してくださいね。
FXの拍子 運と実力
五輪書 渡辺誠訳より(一部加筆修正)
どのようなことにも、拍子というものが大切だ。とりわけ、兵法における拍子は、鍛練を積まないと会得できるものではない。
能役者の舞、楽人の奏する雅楽などもあるが、これらの拍子は、みな「合う拍子」「正しい拍子」を旨としている。武芸でも、弓を射る、鉄砲を撃つ、馬を乗りこなすにも拍子が求められ、拍子に反してはならぬとされている。
その道その道で、拍子の内容に違いがあるが、「盛り上がる拍子」と「衰える拍子」が、何事にもあることを、よく認識しておくべきである。
武道でもスポーツでも呼吸や流れは重要とされます。
私が大学時代にやっていた空手でも、どれほど速い突きや蹴りがだせたとしても流れを読まずにやみくもみに攻撃していては勝てません。
そして、読む力は日々の練習なしでは身につきません。
宮本武蔵は拍子と呼んで「流れに逆らわずに乗れ」と教えています。
「実力を磨き、流れをつかめるようになれ」
これが、宮本武蔵がここで一番いいたいことであるのは間違いないでしょう。
でも・・・・
後半に、もう一つ気になる文章があります。
後半の「その道その道で・・・・」から続くこの文章です。
その道その道で、拍子の内容に違いがあるが、「盛り上がる拍子」と「衰える拍子」が、何事にもある・・・
ここでは割愛していますが、宮本武蔵はこの文章の前後で商人の拍子や人の人生の拍子などにも触れています。
人生での「盛り上がる拍子」と「衰える拍子」・・・という見方でいくのであれば「運・不運」についても拍子のひとつである。
現代風に言い換えればこうです。
「運も実力のうち」
この意味も入っている気がします。
宮本武蔵ともあろうものが運に頼るととちょっとがっかり。
そんな意見もあるかもしれませんね。私の読み違いかもしれません。
でも、運任せという意味での「運に頼る」とは意味が違います
「実力を磨きながら運も軽く扱うな」
こういう積極的な意味だと私は感じています。
宮本武蔵は、無敵といっても良い剣術の腕をもっていたのですが、当時の評価はそれほど高いとはいえませんでした。宮本武蔵自身が、そういう派手な活躍を好まなかった側面はあるのですが、時代の流れに乗り切れなかったという見方もできます。
宮本武蔵自身が、運をものにしきれずに埋没していた。
宮本武蔵の歴史小説を読んでそういう感想を私は持っています。
だからこそ、「実力をしっかり磨き、運もものにせよ」という気持ちがこの文章にこめられているという気がしています。
話をFXに戻します。
FXにおける実力と運
さて、FXでも流れに乗る重要性は、全く同じです。
場帖・グラフによるトレードも、「流れに乗るために腕を磨く」ことが一番大きな目的になります。ポジション操作や損きりなど細かい技術にもいろいろありますが、大きな流れが掴めるようになってくれば、だんだんと解決していく問題でもあります。
腕を磨いていくと同時に「運の力」も意識しておくべきだと思っています。
運だけでも株やFXで大きな資産を作ってしまう方は、昔から結構います。
ビギナーズラックとも呼ばれますが、読者の中にも一度はそういう経験をした方もいるのではないでしょうか。
実際、本当に運が強くその状態がずっと続くほどの強運の持ち主がいれば、大勝して終わるひともいるのかもしれません。
でも、そういう終わり方をした人を私は知りません。
一度大きく儲けるとどうしても「もっと儲けたいという欲」が出てきます。
- 100万円儲ければ・・・500万円
- 500万円儲ければ・・・1000万円
- 1000万円儲ければ・・・3000万円
- 3000万円儲ければ・・・・1億・・
- 1億儲ければ・・・・
この欲望には、本当に限度がありません。
1億くらいまでいく人もたまにいます。FXで1億とかいう話はネット上によく出回っていますが、私が株式投資を始めた頃は「株式投資で●億」というのがよくありました。
でも、目標を大きくしているうちに「運」が尽きてきます。
個人差はあるのですが、人の運には、それなりの量が決まっているようです。
運で勝っている人は、運が尽きるとともにに没落します。
資産増加とともに売買枚数も増やしていることが多いので、沈むスピードは早いのが普通です。証券会社時代、私の先輩のお客さんで2億円くらいを運用していた方が、半年で5億の借金になってしまったケースをみたことがあります。
ここまで激しくなくても、「落ちるときは早い」傾向にあります。
運が尽きても相場の世界に踏みとどまっているには「実力」が必要です。
過去の有名な相場師たちとて例外はありません。
最後に残っているのは、ほぼ間違いなく「実力持ち運をしっかりと掴んだ相場師達」です。
最後まで成功を保つ人の基本パターン
相場で最後まで成功を保つ人の基本パターンのようなものがあります。
「運で大きく資金を伸ばし 実力でしっかりと守る」
故林輝太郎先生の著書にあるのですが、相場生活者といっても通常の利回りは平均年利20〜30%くらいと言われます。
ただ、一生の間に数回、絶好調の時期がある。
その時期には一年で2倍やそれ以上になるくらい大きく利益が出る。
こんな意味のことが書かれています。
そして、「絶好調の後には必ずと言ってよいほど落とし穴がある」とも書かれています。
実力を磨かねば、「落とし穴」にはまって落ちてしまうこともあります。
FX運用は、「運と実力」そして「運・不運の周期」などと相場運用が密接に結びついています。
私は、まだ「幸運な時期」は経験していない気がします。
だからこそ、幸運な時期がきてからその後の落とし穴があっても実力で乗り切れるように腕を磨いていこうと思っています。
ちなみに、破産直前までいったことはあります。
これは良い時期もなくいきなり落とし穴にはまったんています。
私って、どんだけ運が無いのか嘆いたこともあります。
他の方でも、私のようなパターンもたまにあります。
これについては、「運が無くてもやってこれたんだから、これからも大丈夫」と前向きに考えるようにしています。
「運と実力」に合わせて運用技術を考えるのであれば、2つの効果があると思っています。
- 幸運期にチャンスを掴み、利益を大きく伸ばす効果
- 不運期にも堅実に踏ん張りながら利益を出す効果
スポーツに例えれば、どんなに調子が悪くてもベスト8くらいには入れる地力を養っておいて、調子がよければ優勝を狙う・・・という感じですね。
目次 FX五輪書
FXで利益を出すといっても、特に変わったことをやっているわけではなく基本を大切にしながら日々同じことを繰り返しているだけです。私の運用の基礎部分の大枠は亀千人投資術にまとめてあります。
私がFXで利益を出すためにやっている行動と考え方を宮本武蔵野「五輪書(ごりんのしょ)」を元にまとめたのが今回の連載です。
- 第1回FX五輪書 剣の達人がおしえるFX成功法
- 第2回宮本武蔵とは
- 第3回FXは頑張りすぎると失敗するのはなぜか
- 第4回一芸を磨くことがFX成功につながる
- 第5回FX運用法 役割と磨き方
- 第6回FXで儲かってもあまり話してはいけない理由
- 第7回道を具体的にするFX売買道具の役割
- 第8回師は針 弟子は糸
- 第9回運用力を高める4つのポイント
- 第10回水辺よりも水中が大事
- 第11回FXポジション操作の理想形
- 第12回読者よりの質問:損きりのやり方
- 第13回FXにおける2つの刀とは
- 第14回FX何をやてもダメ・・と思ったら読む記事
- 第15回FX運用法の長所を活かすにはどうするか
- 第16回FX本では教えてくれない利益を伸ばす方法
- 第17回場帖・グラフ 一日一分の記入環境について
- 第18回他人を批判するデメリット
- 第19回場帖トレーダーにオススメ 4冊の教科書
- 第20回FX運用法の探し方 グーグル検証方法
- 第21回場帖記入 2年続けるとわかる事
- 第22回「勝率100%」や「元本保証」の悪質商法にひっかからない方法
- 第23回絶好調は破滅の入り口
- 第24回FX年間利益1億のイメージ
- 第25回最後に勝ち組になれる人
- 第26回FX 運用法の見極め