FXオプションを無税範囲でやるときの注意点
税金のかからない範囲で運用する3つの方法、今回は「FXオプションを使ったやり方」です。
この方法は。「リスクを抑えて利益も税金のかからない範囲にきっちり収められる」というメリットがあります。
そのやり方と注意点を2回の分けてまとめていきます。
3つの方法、他の2つについては以下の記事を参考にされて下さいませ。
スワップポイントサヤ取りとリピート系自動売買でのやり方
スワップ投資でやる方法
では、「FXオプションでやる方法」、始めさせていただきます。
FXオプションの概略
FXオプションの大まかな特徴は、下記ページにてまとめています。
参考記事:FXオプションの仕組みと効果
上記ページでもまとめていますが、FXオプションでは4種類の売買ができます。
コールオプション(買う権利)とプットオプション(売る権利)という2種類の権利があり、それぞれに「買い」と「売り」があるからです。
- コールオプションの買い・・上げ相場で有効
- コールオプションの売り・・下げ相場で有効
- プットオプションの買い・・下げ相場で有効
- プットオプションの売り・・下げ相場で有効
今回使うのは、赤字で示した2つの売買です。ただ、最初にFXオプションの概略を理解しておく必要がありますので、もう少し説明にお付き合いください。
FXオプションでは、単純に上げ相場を攻めるとしても、「コールオプション買い」か「プットオプション売り」の2つの選択肢があります。
この2つ、「買い」と「売り」は「損益」と「リスクの取り方」が違います。
- 利益が大きく出る可能性がある。
- 損失は限定される。
- 総合的に勝率は低い。
- 利益は限定される
- 損失は大きくなる可能性がある。
- 総合的に勝率は高い。
パッと見ただけだと「買い」の方が良いように感じるかもしれません。
ただ、手堅く利益を積み上げていけるのは「売り」の方です。「売り」は利益上限はあるものの、利益を出しやすいという特徴を持っているからです。
FXオプション「売り」は、こういう書き方が出来ると思っています。
利益上限という「制約」がある代わりに、低リスクで利益が出やすくなっている。
この特徴は、いろんな売買で活かせます。
私も、「売り」を使ったポジションをいくつか保有しています。
税金のかからない範囲でのFXオプション取引でも「売り」が有効に使えます。
- 利益は税金のかからない範囲で良い。
- リスクは出来るだけ低くしたい。
「リスク低く、扶養家族となる範囲内で運用したい」という方には、この方法は合うと思います。
「リスクを高くするか・低くするか」も自分で決められます。
まずは、どうやって仕掛けていくのかの大まかなやり方をご説明します。
- 大まかなやり方
- 具体的なポジションの取り方
この順番で説明してまいります。
税金のかからない範囲でのFXオプション 概略説明
税金のかからないFXオプションで具体的に使うのは、以下の2つです。通貨は米ドル円としておきます。
- コールオプション売り
- プットオプション売り
この2つの売りポジションの利益・損失の出方には3つの特徴があります。
- 利益は限定される
- 損失は大きくなる可能性がある。
- 総合的に勝率は高い。
まずは、2つの「売り」のどちらを使うか決めます。
- コールオプション売り・・米ドル円が下げそうな時
- プットオプション売り・・米ドル円が上げそうな時
FXでのスワップ投資と違って「スワップポイントが受け取れる買いポジション」にこだわる必要はありません。
「今年は下げ相場」と自信があれば、コールオプション売りを仕掛けても利益を出せます。
ここも、FXオプションの有利な点です。
「FXと同様米ドル円買いポジション」でやりたい」という時は、プットオプション売りを使います。
実は、私がよく使うのも「プットオプション売り」です。
プットオプション売りは、米ドル円が大きく下げた場合には、FXオプションの最終期日である権利行使日が過ぎると米ドル円買いポジションに変身するという仕組みになっています。
つまり、「プットオプション売り」は、権利行使日の米ドル円値で運命が2つに分かれます。
- 権利行使価格より上昇:利益受取のみで終了
- 権利行使価格より下落:利益受取+米ドル円買いポジション
想定通り米ドル円が上昇すれば、税金のかからない範囲の利益を受け取ってめでたしめでたしとなります。
もし下落した場合でも、その年の利益は受け取れます。
発生した米ドル円買いポジションでは毎日スワップポイントが発生することになります。それをそのまま翌年の利益に組み込んでいくという感じで繋げていけます。
この流れは、前回紹介した記事のようなやり方です。
ただ、サクソバンク証券のスワップポイントは、「スワップポイント振替機能」はなく、発生したらそのままその年の利益に認識されるタイプです。
一工夫必要ですので、この辺は後述させていただきます。
FXオプション「売り」の仕掛けではいきなり利益が発生します。
例えば、「利益30万円」で11月に仕掛けたら、その時点で利益30万円が確定します。
ここ。他の3つの方法と大きく違う点ですね。
他の3つの方法は、いずれも「スワップポイントの蓄積」「売買利益の蓄積」などが必要です。1日や2日では大きな利益は出せません。
でも、FXオプション「売り」はポジションを作ったその日に利益が発生します。
12月にポジションを持っていきなり30万円の利益を出す、ということも出来てしまう訳です。
あとは、満期まで保有するだけです。
「最初の利益を受取、満期まで保有することでその利益を確定させる」
これが、FXオプションを使った税金のかからない範囲でやる基本形になります。
FXオプションは、「途中決済」もできます。
この場合、仕掛けたときは「利益」ですが、途中決済したときは「損失」となります。これが、FXオプション「売り」の特徴です。
この仕組みは、何度かポジションを持てば理解できるようになります。
サクソバンク証券の管理画面の見方についても、簡単に補足させていただきます。
この画面では、「ポジション作成時の利益受取」と「決済時の損失」の差引金額が表示されています。
実際の管理画面画像は、この記事をご覧ください。
じっくりと見て頂きたいのは、この記事の「資産倍増計画ステップ1:保有ポジション状況」のところです。
満期までの途中段階は、だいたいこんな感じで推移します。
仕掛け時に受け取った利益が「プレミアム受取利益」です。途中決済すると出る損失が「含み損」部分です。
サクソバンク証券管理画面で表示されているのは、この両方の損益の「差引損益」です。
プレミアムには時間的価値などが入っていて満期が近くなると値が下がっていくという特徴があります。
相場急変などで「途中決済」したくなることもあると思います。その場合は、一旦受け取った利益は損きりで相殺されるということになります。
満期まで保有すれば、最初に受け取った利益がそのまま確定ということになります。
課税対象としては、仕掛けた年に利益・途中決済したらその年に損失という具合です。
今年仕掛けて来年途中決済すると、「今年は利益」「来年は損失発生」という形になります。
満期まで保有し続ければ、利益受取は確定するものの、それだけでは済まない状況も起こります。
先程書きましたが、FXオプション「売り」は満期時には、その状況によって2つの運命が待っているからです。
プットオプション売りの場合は、この2つです。
- 権利行使価格より上昇:利益受取のみで終了
- 権利行使価格より下落:利益受取+米ドル円買いポジション
どちらにしても、利益受取が満額確定しますので、税金のかからない範囲の利益という本年度の目標は達成できています。
米ドル円買いポジションの発生が、今一つイメージできないかもしれません。
これは、こういうことです。
権利行使価格が、米ドル円108円だとしましょう。
権利行使日の米ドル円値が108円以上であれば利益受取だけでポジション消滅で取引終了です。
でも、108円未満だったら「米ドル円108円の買いポジションが発生します。
こうなった場合の対処は、次回書かせて頂きます。
この方法でやる場合に、絶対に意識しておかねばならないリスクがあります。
それは「売買不能のリスク」です。
FXオプションは、「途中決済」ができなくなるリスクがあります。
サクソバンク証券のHPでは、こう書かれています。
ーーーー
サクゾバンク証券HPより
原資産の価格が急変動したり流動性が低下したりするなどの状況によっては、スプレッドが拡大する、あるいは価格そのものを提示することができないことがあり、お客様が意図した取引ができない可能性があります。特に満期日の近いオプションでは流動性の低下により価格提示が行えない場合がありますのでご注意ください。
社員さんに直接聞いたところによると、この現象は「為替相場が権利行使価格から大きく動いたときなどに起きることがあるそうです。
何円動けば売買出来なくなる等の基準はないそうです。
こうなった場合は、「途中決済」が出来なくなります。
どんな展開になっても決済ができないので、充分に余裕を持たせて行う必要があります。
私自身、この状態はまだ経験したことがありません。
これが起きることを想定した備えとして「長期保有前提のポジションは1万通貨30万円の資金を入れる」ようにしています。
FXオプションには、損失抑制効果もあり、同じ5円の変動でも含み損増加は3円前後で済むという傾向もあります。
参考記事:FXオプションの含み損抑制効果とは
これを考慮すれば、「資金はFXよりも少な目でもよいのでは?」という意見もあるかもしれません。
ただ、大荒れ相場となれば、どういうことになるのかは予想が出来ません。
2019年初頭のフラツシュクラッシュのように、今まで予想もしない値動きが今後起きるかもしれません。
全て予想することは不可能ですが、何が起きても大丈夫と思える体制だけは意識して整備しておくべきです。
FXオプションで長期保有ポジションを持つつもりであれば、この部分は絶対に意識しておかねばならないリスクです。
こう書くと、多くの方が「危なそうだから止めておこう」と感じると思います。
それでいいんです。
でも、読者の中には「積極的にFXオプションで利益を得たい」という方も相当いらっしゃいます。
多くの要望があるので、今回記事にまとめているということでもあります。
ただ、実際に運用される場合は、まずは私の運用状況などを観察することから始めてください。
実際に、1万通貨の「お試しポジション」を持つのもおすすめです。
いきなり、大きな資金で大きなポジションを取るのは絶対に止めてください。
では、具体的なポジションの持ち方をご紹介させていただきます。
具体的なポジションの持ち方。
まずは、FXオプションの取引画面をご覧ください。
左上の薄赤色部分が「米ドル円現在値」です。
画像を取った時点の米ドル円値で107.787円です。
作るポジションは、「やり方その1」で書いたように、米ドル円の長期見通しに基づいて決めます。
- コールオプション売り・・米ドル円が下げそうな時
- プットオプション売り・・米ドル円が上げそうな時
画像でいくと、右側がプットオプションで左側がコールオプションです。
それぞれ「ビット(売り)」と「アスク(買い)」があります。
真ん中に101〜112円までの数字が並んでいます。これは「権利行使価格」です。ここでリスクを調整します。
権利行使価格の上にある2020年1月というのが権利行使月です。
正確な権利行使日は、その右側にある2020年1月8日となっています。
無税の範囲でやる場合におすすめな権利行使価格は、それぞれ薄青色と薄赤色で示しています。
大まかな概要をイメージして頂くために、これでポジションを作ったと仮定しましょう。
コールオプション売り・・米ドル円が下げそうな時
リスク低く取れそうなのが薄青色部分の権利行使価格110円のコールオプション売りです。
権利行使価格110円でコールオプション売りを入れると、0.426のプレムアムが受け取れます。
税金のかからない利益上限を33万円だとしてポジション数量を計算します。
- 33万円÷0.426=774,647通貨
FXオプション取引は1万通貨単位なので、端数を切り捨てて77万通貨のポジションを作ればよいということになります。
- プレミアム受取額:0.426×77万通貨=328,020円
この際に必要な証拠金はFXで米ドル円77万通貨のポジションを持つ時と同額です。
この通りに、コールオプション売りポジションを作ると、このプレミアム受取が発生します。
このポジションは、来年1月8日の権利行使日に米ドル円が110円まで上昇しなければ満額利益となります。
画像時点の米ドル円値が107,787ですので、確率的にはかなり高い勝率が期待できます。
仮に、権利行使日に110円を超えるようであれば、このFXオプションポジションは米ドル円110円の売りポジションに変身します。
プットオプション売り・・米ドル円が上げそうな時
リスク低く取れそうなのが薄赤色部分の権利行使価格104円のプットオプション売りです。
権利行使価格104円でプットオプション売りを入れると、0.992のプレムアムが受け取れます。
税金のかからない利益上限を33万円だとしてポジション数量を計算します。
- 33万円÷0.992=332,661通貨
FXオプション取引は1万通貨単位なので、端数を切り捨てて33万通貨のポジションを作ればよいということになります。
- プレミアム受取額:0.992×33万通貨=327,360円
この際に必要な証拠金は、FXで米ドル円33万通貨のポジションを持つ時と同額です。
この通りに、プットオプション売りポジションを作ると、このプレミアム受取が発生します。
このポジションは、来年1月8日の権利行使日に米ドル円が104円まで下落しなければ満額利益となります。
画像時点の米ドル円値が107,787ですので、確率的にはかなり高い勝率が期待できます。
仮に、権利行使日に104円より下落するようであれば、このFXオプションポジションは米ドル円104円の買いポジションに変身します。
こんな感じで、やっていきます。
ポジション数量の違いの理由
33万円の利益を出すのに必要なポジション数量が大きく違うと感じた方も多いかと思います。
これは、コールオプション売りとプットオプション売りのプレミアム値が違うためです。
先程の画像をじっくり眺めていただくと気づくのですが、米ドル円は全体的にプットオプションの方がプレミアムが高いということがわかります。
この理由は、プレミアムの構成要因に「金利」も含まれているためです。
FXにおいても「金利」は、スワップポイントの増減に影響をあたえます。FXオプションでは、プレミアムに影響を与えているということになっています。
このFXオプションでのやり方には、いくつか「コツ」あるいは「テクニック」のようなものがあります。
次に、それらのポイントについてご紹介させていただきます。
無税範囲のFXオプション ポジション作成5つのポイント
先程のの画像を使いながらポイントについて説明します。
注意して欲しいポイントは、5つあります。
その1:リスク調整の仕方
このやり方のリスク調整は「権利行使価格」と「ポジション数量」で行います。
仕掛ける権利行使価格と損益の関係はこうなっています。
権利行使価格が高くなればなるほど利益になりやすく損失になりにくい。
権利行使価格が低くなればなるほど利益になりやすく損失になりにくい。
権利行使価格を現在値から離れた値にすることで「損しにくいポジション」、つまり「リスクの低いポジション」が作れます。
この部分、プットオプション売りで説明します。
先程の画像のプットオプション部分の権利行使価格とプレミアムはこうなっていました。
米ドル円値:107,787円
- 108円 2.623
- 107円 2.070
- 106円 1.620
- 105円 1.267
- 104円 0.992
- 103円 0.775
- 102円 0.600
- 101円 0.460
プットオプション売りは、米ドル円が下がれば下がるほど損失が増える仕組みのポジションです。
なので、権利行使価格を現在値よりも下がったところを選べば、それだけ損失になりにくく最終利益を確保しやすくなります。
今回の参考事例でも、104円を選んで利益額とポジション数量の計算をしました。
これも、101円でポジションを作れば利益を出せる確率は更に高くなります。
ただ、注意して欲しいのは「利益となるプレミアム受取も減る」というところです。
101円のプレミアムは0.460になっています。
これで33万円の利益を確保しようとすると・・・・
- 33万円÷0.460=約717,391通貨⇒約72万通貨
これだけののプットオプション売りポジションを作らねばなりません。
ポジション数量も増えるので、大きく下げるような時は損失が膨らむことにもなります。
資金に十分な余裕が持たせられない場合は、利益33万円にはこだわらないでください。
私であれば、米ドル円なら今後20〜30円くらいは下げるような局面を想定して余裕資金を準備します。
それが出来ないのであれば、ポジション数量を抑えて利益獲得もほどほどにしえ低リスクを確保します。
どこの権利行使価格で仕掛けるかは、「使える資金枠」と「リスクをどこまで取るか」などを加味しながらお決めください。
その2:権利行使日に注意
無税枠を意識して使うのであれば、「仕掛ける権利行使日」にも注意します。
「権利行使日は翌年のものにすると利益額が計算しやすい」
利益額を増減させないために、ここが重要なポイントになります。
今回紹介したFXオプションの権利行使日は、2020年1月8日のものです。
現実には、多数の権利行使日があります。今週や翌週期日というものもあるので、どの権利行使日にするか悩むところです。
でも、この取引では「権利行使日が翌年」になっているものが望ましいです。
年内に権利行使日が到来する場合、利益だけで終わればよいのですが、FXポジションが発生する可能性があるからです。
例えば、プットオプション売りであれば権利行使日の米ドル円値が権利行使価格未満であれば「米ドル円買いポジション」が発生します。
米ドル円買いポジションですので、毎日スワップポイントが発生することになります。
サクソバンク証券のスワップポイントは、毎日口座残高に反映するタイプですので、発生したその年に課税対象利益として加算されていきます。
スワップポイント振替機能もありません。
こういう状況なので、FXポジションが発生してしまうと、利益が無税で済む範囲を超えてしまう可能性が出てきます。
こういう事態は、権利行使日を翌年にすることで防げます。
権利行使日が翌年のFXオプションは、7〜8月くらいに提供が始まります。
ただ、仕掛けるのは10月以降が良いかもしれません。
権利行使日までの日数が長すぎると、為替相場が大きく変動するリスクも高まるからです。
この辺も、「リスクを抑えて手堅くやっていくためのコツ」になります。
その3:清算方法は「スポット」のままにしておく。
FXオプションは権利行使日にポジションが消滅します。その消滅の仕方はポジション作成時に設定されている「清算方法」で決まります。
清算方法には「スポット」と「キャッシュ」の2つがあります。
参考記事:「スポット」とは
簡単に書くとこうです。
- キャッシュ:権利行使日の為替値で現金清算される。
- スポット:現金清算またはFXポジションに変身する。
プットオプション売りの場合、権利行使価格よりも現在値が高ければ、両方ともポジションが消滅して既に受け取っている利益が確保されることになります。
対応が違ってくるのが「権利行使価格よりも現在値が下げている場合」です・
例えば、米ドル円権利行使価格104円のプットオプションを10万通貨保有していたとしましょう。
権利行使日の米ドル円が101円だと以下のようになります。
- キャッシュ:3円分の損失が発生。10万通貨なので30万円損失発生
- スポット:権利行使価格104円で米ドル円買いポジション発生(含み損30万円抱えたポジション)
現実の損失が発生しない分、スポットの方が良いように感じるかもしれません。
でも、このケースでは米ドル円101円のときに104円の買いポジションが発生します。
最初から30万円の含み損を抱えたポジションです。
なので、2つの清算方法は損益的にどちらが有利ということはありません。
ただ、このまま米ドル円買いポジションを保有してスワップポイントを受け取り続けるという選択肢もあります。
損きりすべきかどうかも、ポジションが発生してから選べます。
税金を絡めてのポジションであれば、無暗に損失を出さないで済む「スポット」が望ましいと思います。
尚、2019年8月現在のサクソバンク証券の仕様では、注文時に何もしなければ清算方法は自動的に「スポット」となってます。
FXオプションポジション保有後に「キャッシュ」に変更することもできます。
その4:余裕資金の確保
私は、資金1万通貨につき30万円は入金できるようにしております。
ただ、いつも入れておく必要はないです。
2019年8月現在のような時期は、1万通貨につき10〜15万円も入れておけば充分だと思います。
口座に入金しておく目安としては、一気に10円動いてもロスカットされないくらいの余裕資金は常時確保しておくイメージです。
今年のフラッシュクラッシュを上回るような値動きが起こると想定した備えをされておくことをおすすめいたします。
ちなみに、2019年8月時点私のFXオプション口座は・・・
- 入金額は1万通貨売りポジションにつき20万円
- 万が一の大変動時には10万円追加できる体制
となっています。
その5:ポジション作成後の基本姿勢
「満期まで保有が基本、ときには途中決済も必要」
税金対策を徹底するのであれば「満期まで保有」が基本です。
ただ、相場の流れで「不利な方向に大きく動く」ことが濃厚であれば、こだわりすぎるのはよくありません。
これら5点を注意してやっていけば、かなり安定した運用が出来るだろうと思います。
FXポジションに変身した後の対処
今回の方法で権利行使日までポジションを保有した場合、権利行使日の状況で2つの運命が待っています。
プットオプション売りの場合の2つの運命
- 権利行使価格よりも現在値が高い⇒利益のみで終了
- 権利行使価格よりも現在値が安い⇒利益+FXポジション発生
コールオプション売りの場合は、この反対となります。
プットオプション売りで権利行使価格を現在値が下回る場合、買いポジションが発生します。
「そうなったらどうしたらいいのか」と思われた方もいるでしょう。
対処法は2つあります。
相場の見通しが大きく崩れているような時などは、無理をしない状況がよければ「損きり乗換」も検討します。
例えば、こんなやり方です。
この売買は、FX買いポジションを損きりしてFXオプションでプットオプション売りを再度建て直したものです。
この効果は、2つあります。
- 買値を下げられる。
- 利益を増やさないようにできる。
先程の記事では、米ドル円が109円割れのままであれば、買値109.50円が109円へと50銭下げられる予定でした。
このポジション、実際に今週権利行使になっていて、こうなっています。
参考記事:FXオプションの権利行使ってどんなの?
109円の買いポジション発生していますよね。
現在の米ドル円は105〜106円台ですので、あまり恩恵は感じられないかもしれません。
でも、この方法で確実に米ドル円の買値は下げることができています。
もう一点、再度FXオプションにしておけば利益を必要以上に増やさない状況に戻せます。
FXポジションのままではスワップポイントが毎日発生します。利益を出し過ぎないという意味では、FXよりもFXオプションの方が優れています。
この2つは、税金のかからない範囲でやる場合でも有効に使えると思います。
FXで発生した米ドル円買いポジションをそのまま保有して、スワップポイントを受け取っていくという選択肢です。
サクソバンク証券のスワップポイントは、発生した年に利益として認識されるタイプのため、スワップポイント発生分だけ、損益が追加されることになります。
米ドル円が買値まで上昇してくるまではこの方法で、税金のかからない範囲での利益受取を続けていきます。
状況に応じて、このどちらかで対処していきます。
4つのメリット
ここで紹介したFXオプションを使った税金のかからない範囲でのやり方は、大きく4つのメリットがあります。
- 利益金がきっちり読める。
- 年末でもできる。
- 利益になり易い
- 逆境時の含み損も少な目になりやすい。
この方法は、ポジションを持ったときに「利益額」を受け取れます。このため、年末からでも仕掛けて目的の利益核を確保できます。
他の3つの方法では、利益の蓄積に時間がかかるため、年末が近くなればなるほど確保できる利益は少なくなります。
このFXオプション「売り」を使った方法であれば「利益がきっちり確保」できて「年末に仕掛けても大丈夫」なのです。
そして、利益になり易いのもメリットです。
既に書きましたが、絶対はないもののリスクの調整もできるので、低リスクで利益となりやすい仕掛けが可能です。
そして、FXオプションには「逆境時の含み損抑制効果」もあります。
参考記事:FXオプションの含み損抑制効果
米ドル円プットオプション売りで、米ドル円が下落した場合、そのポジションは含み損となります。
でも、その含み損はFXで同様のポジションを保有した場合に比べて少なくなる傾向にあります。
この効果は、「相場変動状況」によって違ってくると思われます。
FXオプションの売買値であるプレミアム値には、「時間的価値」や「ボラティリティ」などが加味されているためです。
この部分は、大まかに「そうなりやすい」という感じでご理解ください。
3つのリスク
この方法には、リスクもあります。
- 大きく動くと値がつかなくなることがある。
- 含み損が大きくなることがある。
- FXと仕組みが違う部分を理解しておかないと続けられない。
私がまだ経験したことはないものの、「値が付かないリスク」がFXオプションにはあるようです。
そして、コールオプション売りやプットオプション売りなどの「売り」では、含み損が大きくなるリスクもあります。
先程「損失抑制効果」がメリットと書きましたが、これも為替が大きく動いた場合はどうなってしまうかは正直わかりません。
為替が仕掛けた値よりも20円規模で動いてしまうということも有り得ます。
この辺のリスクは、経験していないくても意識しておかねばなりません。
以上、私なりに詳しく書いてつもりですが、この文章だけでFXオプションを理解をするのは難しいと思います。
「よくわからない」と思っているうちは、この方法は使うべきではありません。
もしも、「やってみよう!」と思った場合でも、まずは1万通貨のポジションを保有して、日々の損益などを観察するところから始めるようにしてください。
1ヶ月も観察していれば、「仕組み」は大体理解できるはずです。
私が責任が取れる部分ではないので、十分に理解されてから取り組まれて下さい。
私のFXオプション「売り」を使った運用状況は、下記カテゴリー記事を中心にまとめています。
参考記事:米ドル円「売り」 三方よし戦略
今後も定期的に運用状況をお見せしていきますので、相場の上げ下げでどのような状況になるのかなどの参考にして頂けると思います。
無税範囲のFX まとめ
ここまで、税金のかからない範囲でやる3つの方法を紹介させていただきました。
この3つの方法の中で、もっとも手軽で使いやすいのは「スワップ投資」だろうと思っています。
- 手間がかからない。
- わかりやすい。
FXに馴染んだ方であれば、「税金のかからない範囲でスワップ投資をする」というのは、頭ですぐにイメージできるはずです。
FXが初めての方でも、軽いポジションを持てば「ああ、こうするのか」とわかります。
まずは、この方法でやりながら興味があれば他の方法も試してみるという感じでやってみたら良いのではないかと思います。
投資家のための税金講座 目次
- 第1回投資税金 3つの種類【投資家のための税金講座】
- 第2回確定申告不要でもやった方が良いことが多い・・・その理由
- 第3回確定申告書記入手順 株式・配当金・FX損益がある場合
- 第4回株式・FXで必要経費にできそうな項目と注意点
- 第5回確定申告の所得控除編 税金を大きく減らせるかもしれない
- 第6回確定申告の税額控除 投資家が押さえておくべき2つの項目
- 第7回配当金税金 4つの方法徹底比較
- 第8回ふるさと納税2020年 概要と活用法
- 第9回NISAは節税に有効なのか? 7年間での効果測定
- 第10回iDeCo(イデコ)とは・・仕組みと税金優遇について
- 第11回iDeCo(イデコ)運営管理機関を選ぶ2つのポイント
- 第12回iDeCo(イデコ)加入方法とこれまでの実績利回り
- 第13回専業主婦(配偶者控除対象外)のiDeCo(イデコ)活用法
- 第14回iDeCo+(イデコプラス)概要と活用法
- 第15回夫婦の税金戦略:仮想通貨・ソーシャルレンティング編
- 第16回株式投資税金対策 夫婦口座使い分けのポイントと実例
- 第17回FX・CFD編:夫婦口座使い分ポイントと考え方
- 第18回FXスワップ投資を無税でやる・・・2020年の注意点
- 第19回FXオプションを無税範囲でやるときの注意点
- 最終回e-Tax 体験談