必要経費にできそうな項目と注意点・・FX・株式の税金を減らす第一歩!
前回までは、確定申告の大まかな流れと注意点についてまとえました。
今回、初めて当サイトを訪れた方は、過去回から読まれてみることをおすすめいたします。
今回からは、「税金を減らすための知識」に入ります。税金を減らすために抑えておくべきポイントは、大きく5つあります。
- 必要経費
- 所得控除
- 税金控除
- 配当金について
- 外国税額控除
まず最初は「必要経費」です。
減らすための税金対策のポイント「必要経費編」
FX・株式投資で確定申告をする際は、「利益ー必要経費=課税対象利益額」という計算で行います。
この必要経費を大きく作れれば、確定申告の利益を減らすことができます。
理屈上、「利益=必要経費」となれば税金はゼロ円にできるので重要な項目です。
今回は、必要経費として認められそうなものにはどのようなものがあるかをまとめました。
- 売買手数料
- パソコン代(FXなどトレード使用割合分)
- インターネット通信費用(FXなどトレード使用割合分)
- モニターなどそのほか周辺機器(FXなどトレード使用割合分)
- 自動売買用EA購入+VPS料金
- セミナー参加費用+交通費
- 投資家同士の飲み会
- 新聞代・メルマガ・情報商材・書籍購入代金
- 家賃や電気代(FXなどトレード使用割合分)
- エアコンなど家の備品購入費(FXなどトレード使用割合分)
- 借金で資産運用している場合の利息
それぞれ補足させていただきます。
売買手数料
FX・株式投資などでの手数料は必要経費の代表格のようなものです。これは問題なく全額必要経費とできます。
度明けに送付またはネットで打ち出せる年間損益報告書などの中に含まれていることがほとんどのため、敢えて計算する必要がないことが多いです。
パソコン代(FXなどトレード使用割合分)
取引で必須のパソコンは、大きな必要経費が作れる可能性がある項目の一つです。取引専用パソコンとしているようなときは全額必要経費にできる可能性もあるからです。
一般的な注意点としては以下のようなものがあります。
- 家庭用としても使う場合、使用割合で必要経費計上する。
- パソコン代10万円以下はその年に全額経費計上できる。
- パソコン代が10万円超の場合は4年間で償却(減価償却)する。
- スマホ全額は難しい。
購入したパソコンを「家庭用・取引用」の両方で使う場合、その割合に応じて必要経費とします。「家庭用4割・トレード用6割」で10万円あれば、「6割の6万円分を必要経費に計上する」という流れになります。
パソコン代金が10万円を超えてきた場合、減価償却という方法で4年間に分けて必要経費計上することになります。
代金20万円でトレード使用6割のパソコンで10月に購入したものであれば、こうです。
- 1年目:200000×0.6(使用割合)×0.25(償却率)×3ヶ月÷12ヶ月=7,500円
今年分の減価償却費7,500円を必要経費にするということになります。たった7,500円とガッカリされるかもしれません。使用期間が10月からの3か月間なので今年分としては少なくなってしまいます。
参考までに翌年の計算式はこうなります。
- 2年目:200000×0.25(償却率)×12ヶ月÷12ヶ月=30,000円
初年度は7,500円だけだったのが、2年目は3万円、減価償却費として必要経費計上できます。
この辺は、ちょっと理不尽な感じがするかもしれません。
パソコン代が10万円以下であれば、購入月が12月でもその年に全額計上できるのに、11万円になると4年に分けて必要経費計上になってしまうからです。
インターネット通信費用(FXなどトレード使用割合分)
ネット通信費もトレード使用割合を勘案して必要経費計上できます。
ネット利用代金年間10万円で、家庭用80%・トレード使用20%という感じであれば、10万円×20%=2万円を必要経費として計上する感じになります。
モニターなどそのほか周辺機器(FXなどトレード使用割合分)
パソコン用モニターをトレード専用に購入される場合は、全額必要経費にできるようです。
これも10万円を超えれば1年で全額を必要経費にできません。パソコン同様に4年間に分けて減価償却することになります。
また、利用割合に応じて必要経費にできるという考え方も同じです。
100%必要経費にするのであれば、たまに子供が大きな画面でDVDを見ているのは、NGとなります。
自動売買用EA購入+VPS料金
MT4などの自動売買EA購入代金や接続料金も必要経費計上できます。
これらも、トレード100%利用となることが多いので、その場合は全額必要経費とします。
セミナー参加費用+交通費
FXセミナー参加に関する費用・交通費も必要経費にできます。ただ「参加した」というだけでは、いざというときに心もとないところがあります。
FX手帳・カレンダーなどで参加したセミナーやかかった交通費を記録しておき、保管しておくとよいです。
私は、手書きですが、専用カレンダーを作って管理しています。
投資家同士の飲み会
この交流会も、領収証だけでは不足です。
- カレンダーなどでのスケジュール管理
- 領収証に参加人数や参加者名などの記入
これくらいはしておいた方がよいです。会社で取引先との交際費を申請するのと同じ感覚で扱うと良いです。
新聞代・メルマガ・情報商材・書籍購入代金
書籍・有料メルマガ・情報商材購入費などは、トレードのためにかかった費用として全額必要経費計上し易い部分です。
新聞代は、家庭用で使っている部分もあるのでトレード使用割合分を考慮して必要経費にします。
家賃や電気代(FXなどトレード使用割合分)
トレード専用部屋を作ったり、借りたりしている方もいるかもしれません。
その場合、そこの家賃・電気代も使用割合に応じて必要経費計上できます。
エアコンなど家の備品購入費(FXなどトレード使用割合分)
トレード専用部屋がある場合などは、そこに設置するエアコンも必要経費対象にできそうです。
これも、完全にトレード専用というケースは少ないはずなので、使用割合に応じて計上することになります。
借金で資産運用している場合の利息
おすすめはしませんが、借入金でFX運用されている方は実際にいます。その場合は、その利息も必要経費にできる可能性があります。
一応書いておくと、銀行はFXトレードのための運用資金は貸してくれません。
私がみたことがあるブログは、キャッシングで資金調達をして運用していました。
もしも、借入金で運用をうまくできているのであれば、借入利息を必要経費計上して利益を圧縮もできるため、税金対策上の効果は大きいです。
ただ、こういう形で成功し続けるのは本当に難しいのでおすすめはしません。
必要経費にできる可能性のあるものを集めてみました。
トレードでの利用割合の考え方
個人の場合、ほとんどの出費項目は「利用割合に応じて必要経費」に出来ることになります。
利用割合は、そう判断した根拠がないといけません。その根拠はいざという時のためにまとめておくべきです。
例えば、1日の利用時間をもとにパソコンのトレード利用割合50%と決めるのであれば、大雑把な1日の総利用時間とトレード利用時間を書いておく感じです。
それらをまとめた用紙を打ち出して、その年の確定申告関係提出書類と一緒に保管しておきます。
こうしておけば、税務署より問い合わせなどがあった場合に、スムーズに受け答えが出来ます。
これが、必要経費として認められるかどうかは、提出する税務署職員さんの裁量次第のところがあります。
もしも指摘されたら、主張すべきところは主張して、税務署の判断を仰ぐくことになります。
必要経費 まとめ
必要経費にできる可能性のある項目は沢山あります。
でもですね。
経験上、確定申告時に計上できる必要経費はそれほど大きな金額にはなりません。
なので・・・
年間数百万円・数千万円の利益がだせるようになって、税金計算に慣れていないと、その税金額にビックリすることもあります。
それでも、裏技的なものはあまり考えない方が良いです。
直前にできる税金対策は、キワドイものが多いからです。税務署に目を付けられやすいのでご注意ください。
私は、「まあ、こんなものか」と割り切って納税するようにしています。
税金を減らせる項目は他にもあります。いろんな方法を組み合わせて減らしていくのが、税金対策上もっとも手堅く安全にです。
次の「所得控除」もしっかり活用しましょう。
投資家のための税金講座 目次
- 第1回投資税金 3つの種類【投資家のための税金講座】
- 第2回確定申告不要でもやった方が良いことが多い・・・その理由
- 第3回確定申告書記入手順 株式・配当金・FX損益がある場合
- 第4回株式・FXで必要経費にできそうな項目と注意点
- 第5回確定申告の所得控除編 税金を大きく減らせるかもしれない
- 第6回確定申告の税額控除 投資家が押さえておくべき2つの項目
- 第7回配当金税金 4つの方法徹底比較
- 第8回ふるさと納税2020年 概要と活用法
- 第9回NISAは節税に有効なのか? 7年間での効果測定
- 第10回iDeCo(イデコ)とは・・仕組みと税金優遇について
- 第11回iDeCo(イデコ)運営管理機関を選ぶ2つのポイント
- 第12回iDeCo(イデコ)加入方法とこれまでの実績利回り
- 第13回専業主婦(配偶者控除対象外)のiDeCo(イデコ)活用法
- 第14回iDeCo+(イデコプラス)概要と活用法
- 第15回夫婦の税金戦略:仮想通貨・ソーシャルレンティング編
- 第16回株式投資税金対策 夫婦口座使い分けのポイントと実例
- 第17回FX・CFD編:夫婦口座使い分ポイントと考え方
- 第18回FXスワップ投資を無税でやる・・・2020年の注意点
- 第19回FXオプションを無税範囲でやるときの注意点
- 最終回e-Tax 体験談