FXオプション基本事項その3
前回の続きです。
前回記事:FXオプション基本事項 まとめ
リスクの調整の事例 その1
FXオプションは、投資家がリスクを選択して運用していくことができます。
米ドル円現在値が110円だったとしましょう。
FXであれば、「売り」「買い」ともに110円で売買するしか選択肢はありません。
FXオプションは、現在値が110円でも権利行使価格109円や106円の売買ができます。
これは、米ドル円値が108.450円のときに権利行使価格106円のプットオプション売りを仕掛けたものです。
プットオプション売りですので「上げれば利益・下げれば損失」で「損失限定なし・利益限定」という性質を持ちます。
「下げれば損失」なのですが、この仕掛けの損益分岐点は、105.644円です。
権利行使価格106円ープレミアム0.356=105.644円
3月25日の権利行使日に米ドル円が105.644円以上の水準であれば最終利益を確保できます。
米ドル円が108.450円のときに105.644円より下げない限り利益になるポジションです。
こうすることで・・・
損するリスクは一般のFXポジションに比べると相当低くできます。
この参考例で紹介したポジションは、「リスクを抑えてスワップポイント部分を着実に取っていく」という発想で仕掛けたものです。
リスクを抑えながら攻めていきたい方は、これと似たような形にすることで同じように低リスクでの運用が可能になります。
事例その2:「損失を少なく」して「大変動」に備える仕掛け
先程とは別に「利益を出す可能性は低くなる」けど「万が一の大変動」に備えるような仕掛け方もできます。
この中での「プットオプション買い 30万通貨」部分です。
これは、2020年1月に米国とイランとの間で戦争になるかもしれないと言われた時期に「万が一の米ドル円大暴落」に備えて仕掛けたポジションです。
米ドル円107.866円のときに権利行使価格107円のプットオプション買いを入れています。
プットオプション買いですので、「下げれば利益・上げれば損失」で「利益限定なし・損失限定」という性質を持ちます。
大きく下げるようであれば利益になるのですが、下げなければ最終損失になる「利益を出しにくいポジション」です。
もしも、この後に大きく下落するようであれば、このポジションが大活躍してくれる可能性がありました。
結局、そのあとは下げていないため、このポジションは最終損失になりそうな状況です。
それでも、どんなに上げても損失額は増えることはありません。
こういう感じでリスク調整したポジションを作れます。
リスク調整 4つのポイント
FXオプションでリスク調整をするときのポイントは4つあります。
- コールオプションとプットオプションの選択
- 「買い」か「売り」かの選択
- 権利行使価格
- 権利行使期日
最初の2つについては既に何度も書いてきています。
上げ相場を攻めるとき、FXオプションでの選択肢は2つあります。
一般的に「買い」の方が損失リスクは高目になり、「売り」の方が損失リスクは低目になります。
これらのリスクをさらに下げるか下げるかは、権利行使価格と権利行使期日で調整します。
「権利行使価格」を現在値より話すことでリスクは大きく変化します。
米ドル円110円の時に、権利行使価格106円のプットオプション売りを仕掛ければ米ドル円が106円を割らない限り損をしない「利益を出しやすいポジション」になります。
満期日である「権利行使日」を調整することで、「得られる利益」や「失う損失」も選択できます。
FXオプションでは、プレミアム価格決定要素に「時間的価値」があります。
権利行使日が長くなれば長くなるほどプレミアムが大きくなる一番の要因が時間的価値です。
「売り」方は、このプレミアムを受け取る側ですので、権利行使日が長くなればなるほど利益も大きくできます。
ただ、権利行使日までの日数が長くなればなるほど、大きな為替変動が起きる可能性も高まります。
「権利行使日」を決める際には、その辺の想定もしながら行います。
権利行使日以降「FXオプション⇒FXポジション」への変換
FXオプションは、一定条件を満たすと、そのままFXポジションに変換して保有し続けることができます。
この記事の「その3:権利行使日(満期日)到来によるFXポジションへの変換」の部分です。
私が良く使うパターンは、これです。
- プットオプション売り⇒FX買いポジション
プットオプション売りポジション作成時に受け取ったプレミアムは、そのままですので、使い方次第で「安値で買いポジションを作る方法」としても活用できます。
実際に、これまでも実際よりも2円くらい安値の米ドル円買いポジションを作ったりしてきています。
いろんな仕組みを持つFXオプションは、FXを補完する使い方をすることで、私達投資家にとって有益なものとして活用していけます。
これからも、その魅力を伝えていければと思っています。