心得7:少数派でいることを恐れてはいけない。
相場で勝てるのは少数の人々だけ。
これは、現実です。
勝っている人の割合は時期によって違うものの、長期間で資産を残せる人の割合は数%以下だと昔から言われています。
だから、自分の保有しているポジションが、他の人々と違っていても何も気にする必要はありません。
でも、気になるんですよね。
全然気にしないのもどうかという気持ちもあります。
今回は、この辺の考え方を整理させていただきます。
「空気」と「雰囲気」についての考え方化は始めさせていただきます。
今回初めてこの連載を読まれる方は、第一回から読み始めることをおすすめいたします。
では、はじめましょう。
空気と雰囲気について
「空気を読んで雰囲気を読まず」
相場で勝ちに残っていくために大切な心構えです。
相場世界では、大きな流れが2つあります。それは「空気」と「雰囲気」です。
空気
相場全体の流れのようなもの。
雰囲気
投資業界全体の流行のようなもの。「今はFXの時代」あるいは「仮想通貨の時代」とか「通貨●●が買いだ!」といったもので、どこかに人気が集中しているような状況のことです。
この2つとどう付き合っていくかで、投資家の運命が決まってしまうこともあります。今回のテーマは、「空気」と「雰囲気」との上手な付き合い方です。
空気は読むべし
「空気」と「雰囲気」は重なっているときもあれば、異なっているときもあります。
例えば、最近の米国株です。
2018年前半までの米国株は「空気=買い」「雰囲気=買い」でした。米国株は買っておけば儲かるという「空気」と「雰囲気」は数年前よりあったのですが、それが昨年末から今年前半まで更に盛り上がっていた時期です。
しかし、2018年後半からは、その「空気」が変化してきています。少なくとも私は「空気=売り」に変わりつつあるとみています。でも、全体の雰囲気は「米国株の下げは一時的なもの」といった「雰囲気=買い」の方が強いと思われます。
今回の心得のテ−マは、具体的に書けば「自分=売り」「雰囲気=買い」となっているようなときに、どちらを取るかということでもあります。
私は、迷わず「自分の売買判断」を取ります。
雰囲気は考慮さえすべきではありません。
相場の流れは読むべきです。自分の売買道具を信じて、そこからの判断を信じて注文を出していかねば利益は出せないからです。
でも、多くのの投資家がどんな株を買っているかとかどんな通貨ペアに人気が集まっているかの情報収集はしません。
情報収集する気がなくても、日々ブログの観察を続けていれば、人気の通貨ペアや株がどれなのかは自然にわかります。それでも、「人気がある」というだけで、その通貨や株を売買することはありません。
ここ大切なところです。
少数派でいることを恐れない勇気
「多数派にいる方が安心できる」「みんながやっている通貨ペアを売買する方が良い気がする」という考えは、誰でも多少はあるものです。
この考え方は、相場運用では止めねばなりません。
理由は、「相場で勝つのはほとんどの場合で少数派」だからです。
「相場で勝てる人の割合は5%程度」とか「いやいや長期でみたら1%もいない」なんて話は誰でも一度は耳にしたことがあるかと思います。
証券会社やFX業者が相場好調時にとったアンケート結果をみても、「儲かっている人の割合が50%以上」というものは少ないのです。
こういう統計は、証券会社が「投資をしている人は儲かっている。貴方も始めてみませんか」という宣伝のために使われることも多いです。
相場環境が悪化してくると、こういう統計さえありません。利益を出している投資家が少数すぎて、その統計を取っても宣伝にもならないからです。
私はそういう時期に証券会社社員だったので現実をみています。儲かっている投資家は、支店に1人か2人くらいしかいませんでした。口座を持っている人は数千人、売買をしている人だけでも数百人いる状況で、数人しか利益を出していないのです。
多分、多くの方が「そこまでひどくないだろ」と感じるでしょう。当時は、株といえば「買い一辺倒」の時代だったので特にひどかったのかもしれません。
ネット投資家が主流で「売り方」も存在する現代であれば、もう少し利益の出ている人の数は増えているからもしれません。
でも・・・・
「勝ち残るのは少数派」
この現実は、変わりません。
なので、意識して「いつも多数派にいるようにしよう・・・」、こういう行動をするだけで相場運用で利益を出せる可能性が薄くなりかねないのです。
たまたま多数派の側にいるのは何の問題もありません。
自分で「豪ドル円買い」という判断をして買いポジションを持っている。
タイミングよく豪国が金利引き上げを行い、FX投資家の間で豪ドル円買いが人気化している。
こんな時などは、多数派にいても気にする必要はありません。
問題は、「多数派にいたい」という心理状態がある場合です。私の友人でも「みんなが儲かるといっているから仮想通貨をやりたい」などという相談を私にしてきた人もいます。
こういう相談を受けた時は、出来るだけ「相場世界に入るのを諦めさせる」よう説得するようにしています。
「みんなが儲かるから始める」のであれば「みんなが儲けているポジションを持つ」という発想でいくはずです。
最初は儲かることもあるかもしれませんが、この考えを改めない限り将来は大変なことになるのが目に見えています。
しかも、私の友人知人は40代以上が多く、中高齢の領域に入っている方もいます。この年代に相場で大損したら、その後の人生で取り返すことが難しくなることさえあります。
長い人生でコツコツ貯めてきた資金を、一時的な雰囲気に乗って失わせる訳にはいきません。
「今から投資の世界に入るのは止めた方が良い」
相手次第で言い方はかなり変わりますが、こういう趣旨のことを伝えて投資の世界にはいらせないようにします。
こういうアドバイスというのは、私にとっても勇気がいるものです。友人関係にヒビが入るのも覚悟しなければいけないときだってあります。
それでも、その友人が大損を出して途方にくれている姿を見るよりはましです。
そう自分に言い聞かせながら、話しています。
これが相場の世界を知る私が、友人としてできる最良のアドバイスだと信じています。
話を戻します。
もしも、自分の売買判断が少数派であったとしても何も気にする必要はありません。むしろ、自分の判断で少数派にいることを喜ぶくらいの気持ちを持ってください。
ただ、常に少数派が勝つと決まっているものでもないので、撤退時だけは間違わないようにして下さい。
逆指標は有効か
「ハズレ」まくっている方のブログなどを参考にその逆の注文を出していくやり方を、巷では「逆指標運用」と呼んだりします。
よく掲示板などで話題になっているようですが、これで実際に利益を出せるようになっているという話は聞いたことがありません。
興味深いのは、「逆指標でやって大損した」という話も聞いたことはないんです。
多分、この方法でやってみるといっても、長く続けている方もいないのかもしれません。
あるいは、話題のネタにしたいだけなのかもしれません。
私が逆指標運用をしないのには、儲かるかどうかとは関係がない別の理由があります。
「努力している人間をバカにするような真似はしたくない」
逆指標と呼ばれているブログがあったとしても、その運営者は適当に売買判断をしている訳ではありません。
一生懸命やっている、でも当たらないというのが、本当のところです。
投資の世界で苦労してきた一人の投資家として、そういう人をバカにするような真似はしたくはないのです。
ただ・・・
「運の落ちた投資家を叩き落とすような売買をすることはあります」
例えば、私は現在南アフリカランド円では「売り方」にいます。私が南アフリカランド円で儲かっているということは、その反対側には南アフリカランド円買いで大損している人もいるかもしれないということです。
その大損している人が、親友だとしてもそこに配慮はしません。
お互い勝負の世界に生きる者同士です。その部分での恨み合いはないと考えています。
まとめ
大切なことは「周囲を気にしないこと」です。
自分の売買判断のみをみて動く。その売買判断が多数派であろうと少数派であろうと気にする必要はありません。
その判断が、たまたま一緒なだけでずっと「多数派でいよう」という気持ちでなければ何の問題はありません。
「誰の意見もいれずに、自分の売買道具で判断をしていく。」
この流れがもっとも大事です。
FX初心者向け FX長期投資派の基礎 目次
- 第1回:投資で儲かっている人はどこにいる? 30年経っても変わらない現実
- 第2回:心得編その1:人の行く裏に道あり花の山 振り回されない運用
- 第3回:心得編その2:相場で勝つための見方・考え方
- 第4回:心得編その3:見えない敵とどう戦うべきか
- 第5回:FX・株式のニセ情報と戦うために必要な力
- 第6回:心得編その4:本当に儲かるFX運用法はどれ?
- 第7回:FXでの損きり判断 3つの基準 心得編その5
- 第8回:小人閑居 考え過ぎると失敗するの法則 FX心得編その6
- 第9回:FX・株式 思い付き売買はケガの元
- 第10回:心得その7:少数派でいる方が勝てる
- 第11回:心得その8:運も実力のうちの捉え方・考え方
- 第12回:心得その9:FXトレーダーは健康管理も重視すべし
- 第13回:FX専業トレーダー心得 狡兎三窟のすすめ
心得編のあとは、FX勝利貫徹編1話:凡人の道へと続きます。