FXとFXオプション 買い比較
FXオプションの教科書は「損失限定」とか「リスク無限大」などのあやふやな説明が多いせいか、投資家がその実態像をとらえにくいところがあります。FXオプションはFXポジションのリスク低減などに有効な手段でもあるため、この辺は正確に把握しておかないと折角の収益機会を棒に振りかねません。
そこで今回は、現実に「どの程度、どういう状況で、どちらが有利になるのか」が理解いただけるようFXとFXオプションの比較をまとめてみました。
いろんな比較が出来るのですが、今回比較したのは「FX買いポジション」と「FXオプションのコール・オプション買い」の比較です。通貨は米ドル円です。
1週間勝負による比較
FXオプション、コール・オプションの取引画面です。この時点の米ドル円為替レートは110.27円です。
この為替レートで、「米ドル円買いポジション」を作った場合と「米ドル円コール・オプション買い」を入れ、その後の為替変動で収支がどう変化するのかを比較したいと思います。コール・オプション買いポジションは、画像の薄赤色部分で作ったと仮定します数量は10万通貨でいきましょう。
それぞれのポジションは、以下のようになります。
- FX:米ドル円10万通貨110.27円買いポジション
- FXオプション:米ドル円10万通貨110.00円コール・オプション買い プレミアム0.616
このFXオプションは、期日が1週間後の5月23日です。このFXオプションで必要となるプレミアム代金は0.616×10万通貨=61,600円になり、これが損失上限となります。
まず、FXとFXオプションの制度上の決定的な違いがあります。
FXポジションには期日はないため、1週間後も保有し続けることが出来ます。これに対して、このFXオプションポジションは、1週間の期日前に決済または1週間期日時点で満期終了という制約があります。
この条件の元で米ドル円値毎の損益比較を表にまとめてみました。
FXとFXオプション 買い比較
米ドル円値 |
FX |
FXオプション |
---|---|---|
115円 |
473,000円 |
438,000円+α(*1) |
112円 |
173,000円 |
138,400円+α(*2) |
110円 |
-27,300円 |
-61,600円+α(*3) |
105円 |
-527,000円 |
-61,600円 |
- αは、決済時点のFXオプションプレミアム期間前の上乗せ価値(期日まで1週間だとほとんどゼロなのですが、期間が長くなると結構な価値が出てきます。この値にはスプレッドがあるため状況によっては収支マイナス要因にもなります。)
- αがマイナス要因になったとしても、FXオプション損失がー61,600円を超えることはありません。
- *1:計算式(115円−110円)×10万通貨ー61,600円=438,400円(これにαが加減されます)
- *2:計算式(112円−110円)×10万通貨ー61,600円=138,400円(これにαが加減されます)
- *3:計算式(110円−110円)×10万通貨ー61,600円(これにαが加減されます)
αというのが変な感じがするかもしれません。これは、期日前に決済した場合にプレミアム売買値によって影響を受ける部分です。1週間後の期日で期間満了となった場合にはこの値はゼロとなります。
ただ、大雑把な特徴は掴んで頂けると思います。
- FXポジションもコール・オプション買いも米ドル円上昇局面では利益を大きく伸ばせる。
- ただし、その利益はFXオプションの方が利益額が3.5万円ほど少な目になっている。
- 逆に、米ドル円下落となった時にはFXオプションの損失が-61,600円に限定される。
この3.5万円というのは、FXオプションの時間的価値やボラティリティで上乗せされている部分です。
この比較表で、コール・オプション買いの特徴である、「損失限定」と「利益を大きく狙える」という具体的な内容をある程度イメージできるのではないかと思います。
今回の仕掛けは「米ドル円買い」との比較のためのものです。FXオプションは、「米ドル円売り」と対応する仕掛けもできます。具体的には「プット・オプション買い」というものです。
FXとFXオプション、それぞれに一長一短があります。
使い方も投資家それぞれで様々なものがあります。
コール・オプション買いは大相場突入と判断したときの大勝負に使ってみたいと思っています。
年に1度か2度ですが、「大きく上昇しそうだ」と感じれる局面があります。そういう時に、FXオプションで50万通貨あるいは100万通貨というFXオプションで勝負してみたいのです。
かなりの自信があっても、FXで50万通貨あるいは100万のポジションを作る勇気は今の私にはありません。
でも、FXオプションであれば100万通貨のポジションでもプレミアム代金100万円くらいで作ることが可能です。
これが損失上限となるので、最悪100万円くらいの損失が出る可能性はあるものの、100万通貨のFXポジションを持って為替レートが5円も逆行すれば500万円の損失になります。10円逆行すれば1000万円の損失です。
無論、想定どおりに動けば100万円が500万円・1000万円まで増加ということも十分に可能です。
こんな感じで、FXオプションを使えば、損失を抑えて大勝負が可能になります。
チャンス時期が到来したら、1年に1度は仕掛けてみたいものです。勝負時までは、FXオプションを使った「疑似スワップ投資」などで手堅く増やしておくつもりです。
いろんな使い方を考え、検証しながら利益上乗せ手段としてFXオプションを使っていきます。