サラリーマン・給与初速者のFX税金対策2018
ここからは、FXなどの投資系金融商品の税金留意点を「サラリーマン」「主婦」「自営業・専業トレーダー」の3つの職業分けてまとめていきます。まずは、サラリーマン・給与所得者編から始めます。
2017年より、給与収入1000万円超の給与所得控除は220万円が上限となっています。これに該当する方は、毎月の給与から差しかれる源泉徴収額がすでに増えているはずです。
サラリーマンの方が、FXや株式の確定申告をするときに留意すべき点は3つあります。
- その1:雑所得20万円枠
- その2:ふるさと納税に株式売買益を活用する場合
- その3:損失繰越は必ず活用すべし
以下、補足させて頂きます。
その1:雑所得20万円枠の利用価値
給与所得者は、「雑所得20万円までの申告不要枠」があります。FX利益がこの範囲に収まる方は、確定申告はしなくても済みます。
ただ、この申告不要枠20万円にはいろいろと条件があります。
これらの条件を満たすと考えると、使える人は意外に少ないようです。
友人などにアドバイスを求められたときは、この雑所得20万円枠はあまり気にしないようにと言っています。
それは、大きく儲けるためにこの雑所得20万円枠が邪魔をするリスク、いわば「大魚を逃すリスク」があるからです。
「大魚を逃すリスク」とは
「大魚を逃すリスク」とは、いつも通りに相場運用していれば得られたであろう利益を目先の相場変動とは関係のない要因が原因で得られなくなってしまうようなリスクのことです。
つまり、「税金」を気にし過ぎて大きく利益が出るポジションを薄利で決済してしまうようなケースなどがこれにあたります。
FXトレーダーの中には、毎年利益を20万円以内にきっちり収めることで確定申告をしなくて済むようにされている方もいるようです。
でも、これって凄くもったないことをやっているかもしれないんです。
これが勿体ないというのには2つの理由があります。
- 20万円以内にきっちり収めるのは実は難しい
- 大きく稼ぐチャンスを失う恐れがある
そもそも普通に運用してFXの損益を毎年20万円以内に収めるのはなかなか難しいことです。
毎年、損失も出さずに利益額をきっちり20万円の枠にいれていくのは大きく儲けるよりもテクニックがいるからです。
もしも、これをきっちりやるテクニックをお持ちであれば、普通に売買して大きく利益を出して税金を払った方が手元に残るお金は大きくできる可能性は高いです。
更に、先程書いた「大魚を逃すリスク」です。こういう運用をしてしまうことで「大きく稼げる時期」を喪失する恐れもあります。
FXはいつでも大きく稼げるものではありません。
裁量トレードでは、年によって「稼げる年」と「稼げない年」があります。予め「今年は稼げる年」とわかるものではなく、調整も効かないのが普通です。
当然、稼げない年はマイナスになることもあります。でも、稼げる年は数百万円・数千万円あるいはそれ以上のの利益を出せます。
こういう稼ぐ年があることで、トータルで大きな利益を確保していけます
この現実を元に、真剣に考えて頂きたいのは「利益を20万円以内に収められる年」というのは本来「稼げる年」であることが多いということです。
そういう稼ぎ時に利益を抑え込んでしまうと、「稼げない年」は悪いままなので、長期的な成績が大幅に悪化してしまうことになります。
もしも、毎年の利益を20万円に抑えているやり方をしている方が、5年・10年トータルするとマイナス成績になっているようであれば、ここで指摘している状況となっている可能性が高いです。
これは、大きな機会損失であると言わざるを得ません。
例外:サヤ取りとスワップ投資
無論、「スワップ放置系運用」のように最初からスワップポイントが20万円の枠に収まって全く決済しないというパターンであればこれでも良いと思います。
スワップポイントサヤ取りのように、低リスク運用法であるがゆえに、大きくは利益を出せないタイプもあります。
この2つの運用法は、最初から大きく稼ぐよりもリスクを抑え込んでいくことに主眼を置いているので雑所得20万円の枠にこだわるのは問題ありません。
ただ、これら以外の運用をされていて大きく利益を出す野望をお持ちの方は、雑所得20万円については12月末日まで考えないようにした方が良いと思います。
FXは、年末の最後の最後に大きなチャンスが訪れることもあります。
その時に「今年の利益は20万円以下にせねばならない」という気持ちが少しでもあるとポジション操作がおかしくなってしまいます。「勢いに乗っていて稼げそうな時期にはとことん稼ぐ」・・・この姿勢は、相場運用で資産を大きく増やすうえでとっても大切です。
続きは来週水曜日頃追加予定です。
その2:ふるさと納税に株式売買益を活用する場合
サラリーマンの方が、「ふるさと納税」をするなどの理由で「特定口座源泉徴収あり」の利益を申告する場合なども注意が必要です。
「特定口座 源泉徴収あり」の利益を敢えて申告するとそれが公共サービス利用料などの料金決定に使われる「所得・税金納税額」として認識されるからです。
この影響で、公共サービス利用料金などが違ってくることがあります。
例えば、小さな子供がいる場合「幼稚園」の利用料などは地方税納付額で決まります。株式売買益を申告することで、利用料を決める基準となる地方税納付額に株式で納付済みの税金も加算されてしまいます。
お子様が国立大学などの授業料免除をうけているような場合などでもこの影響が及ぶときがあります。
これ以外でも、地方税納付額で決まるような公共サービスを利用している場合には予めその影響に留意すべきです。
ただ、健康な独身サラリーマンで税金納付の影響を受ける公共サービスは全く使っていないという自信があれば、「特定口座源泉徴収あり」の利益を「ふるさと納税」として使って楽しむということは可能です。
その3:損失繰越は必ず活用すべし
職業的な特徴として、サラリーマンの方は損失となった年でも損失繰越をしない傾向にあります。多分、大きな理由は確定申告の手間を省きたいためだろうと思われます。
私もそうだったのですが、確定申告の経験がないと書類作成がとっても面倒に感じられるんですよね。
これ、本当に勿体ないです。
仮に今年100万円の損失であれば、来年から3年間で100万円の利益を出せれば税金が20.315万円減らせます。
税金が約20万円も減らせたら大きいですよね。
税金が減らせると書くと実感が沸かないかもしれませんが、「20万円あげます」と言われてうれしくない人はいないはずです。
極端ではありますが、損失繰越をして利益を出して税金を減らすという状況はこれと同じようなところがあります。
仮に損失が10万円でも約2万円減らす効果があります。少なく感じるかもしれませんが、一般の生活費で2万円はそれなりの重みがあります。
これも、損失繰越をきっちりやっておかねば使えなくなります。
2018年からの税改正 合計所得次第では配偶者控除が0円になる。
2018年以降、合計所得900万円超となった場合、原則配偶者控除が受けられなくなります。これ、FXの運用益のある方には影響が及ぶ方が多いだろうと思われます。
給与所得だけの方であれば、1120万円までは配偶者控除の適用が今まで通り受けられるという内容です。
給与所得1120万円であれば、給与所得控除後の合計所得金額は900万円となるからです。
でも、この合計所得金額計算ではFX利益は必要経費を引いた金額がそのまま加算されます。
給与所得控除後の合計所得金額900万円+FX利益30万円という具合でも、配偶者控除が38万円⇒0円になります。
読者の中には、FXで年間数百万円単位で利益を出している方もかなりいます。
給与所得後の合計所得500万円+FX利益400万円超なんてパターンもよくあるのですが、これでも配偶者控除が0円となって税金増となってしまいます。
日本の財政が苦しいのでしょうがない部分もあるのですが、無駄遣いも多いのも事実です。
この流れを止めるためにも、私達日本国民一人一人が選挙できっちりと候補者を選んでいくということも大切なのだと改めて感じる次第です。
FX税金2018年 目次
FX税金2018年 目次