MT4 PF(プロフィットファクター) 私の見方 MT4EA作成編第32回
PF(プロフィットファクター)の見方は、MT4自動売買運用の大きな鍵を握ります。見た目の良い高PFのEAばかり稼動すると私のように失敗する可能性があるのでご注意ください。
PF(プロフィットファクター)は1に収斂する
稼動するEAの損きり幅や利益確定幅を決めるために最適化を行うのですが、その際にどの組合せを選ぶかの基準のひとつはPF(プロフィットファクター)です。
PF(プロフィットファクター)は、総損益÷総損失で計算した数値で損益のバランスを示す指標です。仮にPF3であれば、3の利益と1の損失というバランスなので、利益が出易いという予測にもつながります。
最適化を使うと、PF3の組合せは比較的簡単に見つかります。中にはPF10以上のものもあります。
最初のうちはこの組合せを動かせば大儲けと思ってしまいます。私もPF数値に興奮した一人でした。
でも、これがクセモノです。結論から言えば、現在の私はPF3の組合せは基本的に採用しません。
PF(プロフィットファクター)の見方を変えたことが、私のMT4収支改善の大きなきっかけとなった気がします。今回は、現在の私の見方をご紹介させていただきます。
PF(プロフィットファクター)では以下をポイントとしています。
- 高すぎるPFは過剰最適化を疑う
- PF1の前半が稼動候補
まずは、こちらの図をご覧下さい。今稼動しているEAを最適化して売買回数とPFの相関関係がわかる散布図にしてみました。
PF(プロフィットファクター)と売買回数の散布図
MT4で作ったEAの最適化結果を売買回数とPF(プロフィットファクター)の散布図にまとめたのがこの図です。
売買回数1000回くらいだとPF(プロフィットファクター)が1.3くらいのものもあるのですが、売買回数が増えるとPF(プロフィットファクター)は、1.2を超える組合せは無くなっていきます。この表を作るようになると気づくのですが、PF(プロフィットファクター)はバックテストでの売買回数が多くなると下がる傾向があり、どんどん1に近づいていきます。
この最適化は、1000回以上と売買回数が多目の組合せばかりなので、あまり極端にはならないのですが、最適化期間を短くして売買回数100回くらいでやるとPF(プロフィットファクター)が3以上のものがいくつも見つかります。
この結果をみてどう感じるでしょうか?
「短期で絶好調のEAはあるが、長期間ではPF1に収斂していく。」
EA開発者でも、数字に強い方やある程度経験を積んだ方のほとんどがこの結論に辿り着くようです。数学の専門家に言わせると「最初からそんなことはわかっている」的な説明もありました。
まあ、私のような数学にそれほど強くない者は実際にやってみないと納得できないというだけのことかもしれません。
これが、一つの真理であるとすれば、MT4で失敗するパターンの説明がつきます。
高PFがうまくいかない原理
「PFが3以上あるようなEAを稼動させてみたらうまくいかない。」
このパターンは、失敗するのが普通だということなんですよね。
現状PF3あっても、長期間で見れば1に近づく水準に下がっていくと見るのが妥当です。つまり、その後調子を崩していく可能性が高いということです。この損を出していくのが普通という流れを単純に考えて見ましょう。
- 総利益 3
- 総損失 1
- PF 3
こういうPF3のEAがあったとします。短期的にはPF3は出せても長期的にはPF1に近づいていきます。つまり、こうなります。
- 総利益 3
- 総損失 3
- PF 1
先ほどの「利益3:損失1」が「利益3:損失3」となればいいのですから損失が単純に2つ増えるとPF3はPF1に下がります。これが現実の長期間の成績で実現するとすれば、損きりが先行してジリジリと傷口を拡げていくような成績となるだろうと推測できます。
無論、現在絶好調のEAですからその好調がもう少し続く可能性もあり、調子が悪くなる前に切り替えればいいという反論もあるでしょう。でも、調子が悪くなったときのEA切り替えをうまく出来るといいのですが、頭で考えているほど簡単ではありません。
私も、数年前に他の自動売買でその試みを何度かしたのですが、うまくいかないことが多かったです。この注意点は、商用EAを買うときでも当てはまります。
過去の運用成績がとても素晴らしいEAがあるとします。その成績が真実だとすれば、そのEAを動かすときには、この後に調子を崩す可能性を考慮すべきです。
「このEAだけは特別」
この見方をしたくなることもあるかもしれませんが、5年くらいの期間を最適化してそう思えるEAはいまのところ見たことはありません。
1000回以上ならPF1.1で十分
1000回くらいの売買回数があれば、1.1程度で十分です。
私は、PF(プロフィットファクター)1.5以上のものはまずは売買回数が十分であるかどうかに注目します。
売買回数が500回程度であれば、1000回くらいでやってみたりします。そして、PFが長期間では納得のいく範囲に収まり、それででも利益となるかどうかを確認します。
売買回数1000回でPF1.1くらいあれば年間1000pipsくらいの利益が出るEAは作れます。
「短期で絶好調なものを選ぶと長期で失敗しやすい」
この目安としてPFを意識して稼動するEAを選んでいます。
- 最適化をして基礎的優秀度の高いEAを選ぶ。
- 最適化結果をPFが無難なものを選び出す。
この2点で、稼動するEAを見つけました。最後は、稼動前のチェックです。稼動前にバックテストをしてルールを決めます。
MT4EA作成編目次
EAを手軽につくるやり方をまとめました。
- 第1回MT4EA作成編 RSIEAの簡単な作り方
- 第2回手順その2 EAの売買ロジックを考える
- 第3回手順その3:EA加工前の準備 EAコピーの仕方
- 第4回基本EAの変更箇所確認
- 第5回30分でできるRSI MT4EA作成編
- 第6回MT4組み込みテクニカル指標関数の使い方
- 第7回MT4でRSIEAを作る 売買シグナル部分
- 第8回決済注文プログラムはたった1行
- 第9回マジックナンバーとRSIEA検証行
- 第10回パラメーターと変数化の効果
- 第11回RSI設定使い方 3つのパターン
- 第12回RSIエグジット戦略とは
- 第13回RSIスキャルピングにも使えるこの応用形
- 第14回RSI20 RSI80の検証
- 第15回RSIの使い方 3つのポイント
- 第16回過剰最適化(カーブフィッティング)の話
- 第17回最適化はカミソリ 大怪我しないためのポイント
- 第18回RSIEA無料配布と留意点
- 第19回決済を値幅指定
- 第20回ブレイクアウトMT4無料EA検証
- 第21回EA作成早期習得のための2つのポイント
- 第22回プログラムを短くする関数化
- 第23回「Breakout1SL1.mq4」をRSI値幅決済EAへ書換え
- 第24回コメントアウト MT4でも大切な理由
- 第25回EA解説後半 EA作成上達のコツ
- 第26回RSI値幅決済EA 短期売買向
- 第27回改造EAの面白いところ
- 第28回Breakout1TS1.mq4 1粒で三度おいしい無料EA
- 第29回大量売買防止方法
- 第30回MT4運用失敗の必然性に気づく
- 第31回最適化して最高成績を選ぶ愚
- 第32回MT4 PF(プロフィットファクター)
- 第33回MT4バックテスト 私の使い方
- 第34回MT4ファンのMT4口座比較方法
- 第35回裁量トレードの方が優秀に見える理由
- 第36回MT4最初の壁「夢の過剰最適化」
- 第37回MT4で儲からないことで目覚めた