サヤ取り仕掛ける前に注意して欲しい事 その1
サヤ取りをやるといっても、スワップポイント差が開いているだけでは不十分です。
今回より、スワップポイントサヤ取りの仕掛け方について説明させていただきます。
スワップポイント差だけでは見えないポイント
まずは、現在の各通貨のスワップポイント差状況をご覧ください。
9月28日時点の状況では、南フリカランド円が103.3円と大きく拡大しています。
これだけ見て、南アフリカランド円仕掛けるってのもありではあるのですが、いくつか注意して欲しい点があります。
一番目が「スプレッド回収日数」です。
スプレッド回収日数とは?
スプレッド回収日数とは、両建てで使用した2口座のスプレッド合計分を毎日の利益の蓄積で何日で回収できるかという目安です。
スワップポイント差が大きく拡大しているからといって、ポジションを作ってすぐ純粋な利益が出てくるわけではありません。
まずは、
このページの「スプレッドコスト回収日数も計算する」のところをご覧ください。
例えば、以下のような感じで計算します。
- 売買単位 1万通貨のケース
- A口座 スプレッド0.5銭
- B口座 スプレッド0.5銭
- 合計スプレッド 1銭
- 毎日のスワップポイント差利益 20円
- 1銭のスプレッド差=スワップポイント100円
- スプレッド回収日数=100円÷20円=5日間
合計スプレッドが1銭程度でスワップポイント差が20円くらい開いていれば5日間でスプレッド相当分のコストが利益で回収できるということになります。
あとは、売買の上手下手あるいはタイミングで損益が上下してくることになります。
新興国通貨で注意して欲しい事
それで、先ほどの南アフリカランド円103.3円というところに戻ります。
ここで注意して欲しいのは、「南アフリカランド円のスワップポイントは10万通貨で表示されている」ということです。
為替水準も先進国の10分の1程度ですので、この部分は売買する時はあまり気にしなくても良いところかもしれません。
でも、スワップポイントサヤ取りでは大事なところなんです。
つまり、スワップポイント差103.3円というのは10万通貨となるため、スプレッド回収日数が先進国通貨よりも多くなることが多いということです。
例えば、9月28日時点で見ると・・・・
- 売買数量 10万通貨
- 買い口座:LIGHTFX 0.9銭
- 売り口座:楽天FX 0.9銭
- 合計スプレッド 1.8銭
- 毎日のスワップポイント差利益 90円
- 10万通貨1.8銭のスプレッド差=スワップポイント1800円
- スプレッド回収日数=1800円÷103.3円=約18日間
いつもという訳ではないのですが、この辺はご注意ください。

ということは・・・ランド円とかは不利って事か?
そんな事はありません。
長期間変動が無ければ大きな利益となり易い
スプレッド回収日数だけで見ると、ランド円は不利な感じがするかもしれません。
でも、スプレッド回収日数が経過した後は、純粋に利益が貯まるだけになります。
そこまでいけばしめたものです。
ランド円などは、スワップポイント差が大きく拡大し易いだけでなく、必要証拠金も少なくて済むため、大き目のポジションを作って、利益をガッツリと貯めることが可能です。
運が良ければ、半年・一年変動がないこともあります。
そういう時には、蓄積できるスワップポイント差利益が100万円を超えることだってあります。
スワップポイント変動が激しい時には苦労することもあるのですが、流れが良ければとても良い想いが出来るのが、ランド円などの新興国通貨の特徴でもあります。
スプレッド回収日数をしっかりと理解しておくことで、スワップポイントサヤ取りの運用は、更に安定するはずです。
スワップポイント発生タイプの把握
サヤ取り始める時に注意して欲しい事の2番目は、「FX口座のスワップポイント発生タイプの把握」です。
FX投資歴の長い方は、十分に理解していると思うのですが、最近始めたばかりの方は知らない部分かもしれません。
FXは、口座によってスワップポイントの受け取り方が違うのです。
具体的には、3つに分かれます。
- 発生時口座反映タイプ
- 決済時口座反映タイプ
- 決済時口座反映(振替機能有)タイプ
これ把握しておかないと、困った事が起きることがあります。
つまり、「税金を沢山払うことになるかもしれない」ってことです。
税金・・・・嫌ですよねぇ。
しっかり、理解しておきましょうね。
発生時口座反映タイプ
発生時口座反映タイプというのは、スワップポイントが発生するとすぐに口座残高に反映されて、そのまま出金できる口座のことです。
GMOクリック証券のFXネオ口座などが代表例です。
この口座で発生するスワップポイントは、必ず発生した年に「利益」として申告対象となります。
決済時口座反映タイプ
このタイプは、毎日発生するスワップポイントがポジションを決済するまで貯まり続けます。
くりっく365などが代表格です。
この口座で発生するスワップポイントは、ポジションを決済するまで申告対象にはなりません。
なので、「発生時口座反映タイプ」と「決済時口座反映タイプ」で両建てして、ポジションを翌年まで保有した場合、スワップポイントの課税時期がズレルという問題が起きます。
スワップポイントがそれほど大きな金額でなければ、心配は要らないかもしれません。
でも、金額が大きくなるような場合には、年末に全ポジションを一旦決済したりして対応する必要がでてきます。
決済時口座反映(振替機能有)タイプ
これは、貯まったスワップポイントを振替機能で口座残高に反映させて出金できるようにしている口座です。
みんなのFXなどがこのタイプです。
この機能がある口座は、両建てする口座に合わせて対応ができます。
例えば、「発生時口座反映タイプ」であれば年末に発生したスワップポイントを受取として振替ておけば、その分はその年の利益として認識できるので、税金を多く払うリスクを負わずに済みます。
海外FXとの組合わせはNG
あと、海外FX+国内FXでの両建てはおすすめできません。
海外FXと国内FXでは、税金の区分が違うからです。
- 海外FX 総合課税
- 国内FX 分離課税
つまり、海外FXで利益・国内FXで損失となった時などには損益の相殺ができないのです。
- 海外FX300万円利益
- 国内FX280万円損失
- 差引20万円利益
こんなケースでは、国内FX同士の両建てであれば、税金は分離課税20%の20×20%=4万円程度で済みます。
ところが、海外FXの場合は損益の合算ができません。
海外FX300万円は、仮に総合課税で30%の税金が課されたとすると、300万×30%=90万円の税金になります。
国内FX分の280万円損失は、3年間の損失繰越ができるものの、翌年以降にうまく利益が出せなければそのまま税金還付も受けられません。
4万円と90万円・・・・すごい差ですよね。
こういうことにならないよう、十分にご注意下さいませ。
海外FXは、何かとトラブルが多いようですので、私は基本的におすすめはしません。
その3:サヤ取りの資金配分目安について
「余裕を持った資金配分をすること」
スワップポイント差を利益に変えていくためには、2口座で両建てをする必要があります。
この時に、誰もが悩むのが「それぞれの口座にどれくらいの資金を配分するか」です。
資金配分は人それぞれ
資金が少なすぎると、ちょっとした値動きで片方のポジションが強制ロスカットされてしまう可能性が高くなります。
かといって、それを防ぐために口座入金資金を厚くすれば、利益を出せても、その利益率が少なくなってしまいます。
「利益率を下げる」か「リスクを高める」か・・・どちらかを取らねばなりません。
この辺は、トレーダーによって、考え方にかなりの差があるところです。
中には、値が大きく動いた時には片方のポジションを強制ロスカットさせることを前提とした運用をしている方もいるようです。
数年前にブログでみたのですが、現在はそのブログは見当たりません。
私は、「利益率を下げる」方を選択しています。
私の資金配分は、以下のページにて公開しています。

それにしてもよ!余裕持たせすぎだろ!
いやいや、安全に取ることを中心にやっていくと、これくらいの余裕もたせて丁度良いかなと思いますよ。
相場急変に巻き込まれると悲惨
私は、ここ数年は先ほどの基準でやっています。そして、運用開始からここまで相場急変による強制ロスカットは経験したことがありません。
まあ、これからも大丈夫かどうかはわかりませんけどね。
想定外の動きに完璧に対応することは出来ませんので・・
それでも、これだけの資金的余裕をもたせておけば、相当の事がない限り、やっていけるかなと思っています。
これからも、手堅く利益を積み上げていくつもりです。
ちなみに、この利益はビットコイン購入に充てています。
2023年11月現在買い平均値380万円でビットコインを1.25保有しています。
ご存知の方もいるかもしれませんが、ビットコインは今週500万円を突破して更に上昇しそうな勢いを見せています。
通常の資金であれば、私はビットコインを買うつもりはありません。
いつ暴落するかわからない部分があり、手を出す気になれないのです。
だからこそ、この運用で低リスクで手堅く貯めたお金を使うのはアリだと思うのです。
何もしなければ、1円も増えないFX証拠金のままでこの利益が発生することはありませんでした。
それを更に増やすために、対極にある高リスクの投資商品で運用するというのは、私としてもワクワクします。。
まあ、楽しみながらやっていきます。
その4:資金配分の偏らせ方
余裕資金の配分の仕方への一工夫についてご説明します。
プラススワップ側の余裕資金を厚めにする理由
私のスワップポイントサヤ取りの資金配分には、偏りがあります。
どちらかというと、プラススワップポイント側の余裕資金を大きくする傾向があります。
- トルコリラ円・メキシコペソ円なら買いポジション口座
- ユーロドルなら売りポジション口座
この理由は、リスク管理の上で大切だと考えています。
その理由とは「暴騰・暴落は、プラススワップポイント側に不利な形でおきやすい」からです。
この運用成績を公開し始めてから13年になります。
累計利益はもう少しで700万円です。
この13年の間に、突然の暴騰・暴落によって強制ロスカットを強いられた方が続出した事例は、何度かあります。
- スイスフラン
- トルコリラ円
- 南アフリカランド円
- 豪ドル円
などなど・・・パッと思いつくだけでもいろんな通貨ペアで起きています。
どの事例でも、大きく動いたのはプラススワップポイント側に不利な形で起きています。
例えば、トルコリラ円であれば買いポジションに不利な暴落というパターンです。
でも、暴落で強制ロスカットされても、そのまま暴落してくれれば、それはそれで問題ないんです。
その場合、売りポジションには、暴落でだした損失以上の利益が乗ってくれるからです。
でも、ほとんどのケースでそうはなりません。
暴落した後は、なぜか大きく戻すことが多いのです。
つまり、10円下げて7円戻す・・・てな感じです。
この現象に巻き込まれると、残された売りポジションにもそれほど大きな利益は残りません。
その一方で、買いポジションの損失が大きくなるもので、とっても厳しい状況に追い込まれます。
そうならないためには、強制ロスカットされないようにプラススワップポイント側の余裕資金を厚めにすべきです。
ここ数年は安定傾向
スワップポイントサヤ取りの天敵ともいえる、暴騰・暴落ですが、ここ数年は深刻な変動は起きていません。
でも、こういうのは「もう来ないかなぁ」なんて思い始めると発生するようなところがありますよね。
こういう値動きが続くと、利益を増やすために余裕資金を減らそうと考えたくなるものです。
相場運用は、ちょっとした油断が命取りになることもあります。
私自身は、どんな局面でも、リスクを取り過ぎないように、注意しながらやっていくつもりです。
手堅く、末永く、稼いでいきましょう。