いくら稼げばサラリーマンより有利になるのか?
専業トレーダーでやっていくよりも、サラリーマンなど収入源を確保した形の方が公的負担も軽くなります。独立前に必ず検討して欲しいことです。いくら稼げばサラリーマンより有利になるのか?についてもまとめました。
サラリーマンの優位点と専業トレーダーの現実
前回、専業トレーダーは利益が増えるに従い税金以外の公的負担も増えていくということを書かせて頂きました。
当然ながら、専業トレーダーは、残された利益で生活費も捻出することになります。
これ、なかなかキツイです。
生々しい話をすれば、家族がいる場合、500万程度の利益では生活は相当苦しいと覚悟した方が良いです。この記事上でどれだけ負担が違うのか計算をしますが、税金・保険料などを差し引き手元に残るお金に70万円くらいの差がでます。
おすすめは、「副業としてのFX」です。サラリーマンなどの職業を持ったうえでFXを副収入的にやっていくのが手取収入を増やしていくのがおすすめです。
サラリーマンを続けながら、FXで500万程度の収入があるという状況が作れれば生活も精神的にも大きな余裕が持てます。
幸い、私のやっている運用法はサヤすべり取り・スワップポイントサヤ取り(異業者両建)などどれも手間のかからないものばかりです。気に入った運用法を見つけて、資産を増やしていく力にしていただければと思っています。
今回は、サラリーマンが副業的にFXをやる場合の優位点をまとめてみます。
サラリーマンの優位点と専業トレーダー 3つの比較
私は、「専業になった場合」と「サラリーマン+FX副業とした場合」では、FX副業の側に3つの優位性があると感じています。
- サラリーマンの方が各種控除が充実している。
- 社会保険保険料に影響なし。
- 2つの収入源で生活と運用の双方が安定する。
それぞれ補足させていただきます。
昔からサラリーマンはガラス張りで税金などで損をしていると言われています。自営業の方が売上を調整できたり、いろんな経費をつくって税金を減らせるというのがその一つの根拠となっています。
確かに、自営業でやっている飲食店など職種によってはこの辺のメリットは今でもかなりあるようです。
でも、この一般見解は自営業として専業トレーダーをやっている方には当てはまりません。
いや、当てはまる方もいるかもしれませんが、税法に従い普通にやっている場合当てはまりません。少なくとも、私は当てはまりませんでした。
だって、専業トレーダーは「利益の調整」「経費で税金節約」どちらも難しいからです。
まず、利益はFX業者から税務署に毎年報告がいくので正確に把握されています。マイナンバー制度が定着する来年以降は課税側からは「更に正確に把握」できるようになります。必要経費を計上できるといっても、FXに関係のないものは認められないので、トレード以外の経費はパソコン代・セミナーの交通費やFX系の飲み会程度しかありません。
車などはちょっと無理です。
まあ、セミナー講師などの依頼が沢山あって全国を飛び回るなんて状況であれば経費になる可能性はあるかもしれません。でも、純粋にFX運用だけで生活しているのであれば、FX関連で車は使いません。私自身、専業トレーダーになれば自営業として経費が沢山作れるから税金の節約ができると漠然と考えていました。
専業トレーダーになってその甘さを痛感した次第です。
これに対して、サラリーマンは「給与所得控除」があります。
この給与所得控除もあって、同じ500万円の収入でもサラリーマンと専業トレーダーは税負担に大きな差が出ます。「専業トレーダーで500万円の利益」「サラリーマンで500万円の給与所得」の場合で比較すると以下のようになります。
サラリーマン
- 給与所得控除 収入金額×20%+540,000円⇒500×20%+54万円=154万円
- 控除後所得 500−154万円=346万円
専業トレーダー
- 必要経費 20万円(ネット接続+VPS代など)
- 必要経費控除後所得 500−20=480万円
専業トレーダーは使った経費しか必要経費にできないのに対し、サラリーマンの給与所得控除は実際に金銭を消費していなくても控除できます。
税法上の解釈はあるのですが、給与所得控除は自営業から見れば「使っていないのに落とせる必要経費」というものになり、非常に羨ましい制度です。
同じ500万円の収入でも、この時点ですでに130万円以上の差が出ています。
この時点で専業トレーダーとサラリーマンの利益には税金額で10〜20万円くらいの差がでます。
既に書きましたが、専業トレーダーは税金の他に国民健康保険料という公的負担があります。サラリーマンも社会保険料という公的負担があります。
でも、サラリーマンの社会保険料はFX利益がいくら大きくなっても社会保険料負担が増加することはありません。社会保険料は給与所得を元に保険料が決まるのでFXや株式などの運用利益は保険料算出対象外なのです。
専業トレーダーの場合は、FXの利益が増えれば増えるほど国民健康保険料も限度額まで増加していきます。
先ほどの500万円のFX利益でいくと以下の計算式になります。参考自治体は千葉県八千代市です。八千代市としたのは、ネット検索ででてきたのが八千代市だったというだけの理由です。
国民健康保険料は住んでいる自治体によって保険料率が違います。一般に若年層の多い大都市ほど低く、地方ほど高い傾向にあります。
専業トレーダー 対象所得
- 480ー33万円=447万円
国民健康保険料 所得割
- 医療 5.97%
- 後期高齢者支援金等分 2.16%
- 介護納付金分 2.11%
- 合計 10.24%
国民健康保険料 均等割
- 医療分 27,100円
- 後期高齢者支援金等分 8,800円
- 介護納付金分 16,600円
- 合計 52,500円
国民健康保険料 平等割
- 医療分 26,300円
- 後期高齢者支援金等分 8,600円
- 合計 34,9000円
単純に計算するため「独身者」ということで計算します。夫婦で奥様も専業主婦だったり自営業だった場合は保険料がさらに増えます。扶養者であっても、保険料負担が必要となるのも社会保険との大きな違いです。
専業トレーダー負担増 保険料計算
- 所得割:447万円×10.24%=457,728円
- 他合計:457,728+52,500+34,900円=545,128円
自営業の専業トレーダーの場合、この国民健康保険料負担が税金負担のほかに発生します。
先程20万円くらいの税金の差があったとすれば追加で545,128円負担増ですので、「専業になった場合」と「サラリーマン+FX副業とした場合」の差は、合計で745,128円です。
配偶者や各種控除の有無によってこの差は違ってはきますが、専業トレーダーに対する公的負担増が大きい現実は変わりません。
専業トレーダーは、FX運用の失敗はそのまま生活に結びつきます。独立したての時は特にこのプレッシャーは相当のものになります。運用技術があっても、このプレツシャーで調子を崩すことは少なくありません。
私も慣れるまで、相当の年数がかかりました。
これに対して、サラリーマンはFXの運用にそれほどのプレシャーを感じることは稀です。利益でなくて悔しい思いをしても、それが生活苦に結びつくことは少ないからです。
心理的ストレスが少なくすることはFXで成功する上でも重要です。サラリーマンをやりながらFXを副業的にやっていくことは、生活と運用の双方を安定させるという効果もあります。
専業トレーダー 公的負担からみた独立の目安
ここまで、専業トレーダーの公的負担がいかに重いかについて書いてきました。少なくとも、1000万円くらいまではこの負担増が重くのしかかってきます。
でも、年間利益が更に出せるようになると状況は違ってきます。
- サラリーマンの給与所得は累進課税のため、所得が上がれば税率も上がっていきます。
- FXの税率は、分離課税ですので利益が大きくなっても税率は上がりません。
FXで専業トレーダーになる目安で書いたのですが、その目安は大体1200万円です。
ただ、この辺の数値は家族構成や住んでいる自治体など環境によって大きく違ってきます。
運用利益も、毎年1200万円きっちり出すのはちょっと無理です。年によってはマイナスの年もあるので、その辺も考慮すれば余裕をもって独立できる目安は1500万円くらいになるかもしれません。
FX税金2017 目次
- 第1回FX税金対策開始は2月が最適
- 第2回2017年FX税金基本事項 マイナンバー元年
- 第3回値洗い制度(ロールオーバー形式)と建値維持形式の違い FX税金重要ポイント
- 第4回FX確定申告2017 書類記入手順と税金を減らすポイントのまとめ
- 第5回FX スワップポイント税金 2017
- 第6回FX税金をゼロにする方法と留意点 2017年版
- 第7回FX損失繰越2017年 やらずば後悔する理由
- 第8回専業トレーダーが税金・公的負担で覚悟しておくべき現実
- 第9回FX公的負担からみたサラリーマン⇒FXトレーダー独立目安
- 第10回専業トレーダーになって良かった 独立して良かった事
- 第11回FX損益合算 投資運用を勝利に導くための税金戦略
- 第12回ふるさと納税2017 FX利益利用時の注意点
- 第13回iDeCo(イデコ)2017 FX節税オススメ手段
- 第14回NISAとジュニアNISA 積立資金2倍計画実行中
- 最終回NISAとiDeCo(イデコ)で資産2倍の思惑
- 読者の声専業主婦の株式投資 特定口座「源泉あり」「源泉なし」どっちにすべき?