値洗い制度(ロールオーバー形式)と建値維持形式 FX税金では超要注意
使っている口座が、値洗い制度(ロールオーバー形式)と建値維持形式かで毎年の税金額が大きく違ってきます。これを知らずに取引をしていた方が、予想もしない税金の支払いを迫られて困ってしまうということも実際に起こっています。私のところにも、過去に数件相談がありました。
でも、理解しておけば問題のない制度でもあります。違いや考え方についてまとめました。
値洗い制度(ロールオーバー形式)のFX口座
先日、私が最近口座開設したデューカスコピージャパンが「値洗い制度(ロールオーバー形式)」であるという記事を書かせて頂きました。
今までも値洗い制度(ロールオーバー形式)の口座はあったのですが、高スワップポイントの口座ではなかったせいか、あまり深く認識はされてきませんでした。
でも、デューカスコピージャパンは南アフリカランド円やトルコリラ円では業界最高水準のスワップポイントであり、欧州時間のスプレッドに至っては他社を寄せ付けない最狭スプレッドを提供しています。
これだけの好条件を放っておくのは勿体ないですよね。仕組みを理解して活用すべき部分は活用すべきというのが、私の考えです。
そこで、今回は日本のFX業者の主流である「建値維持形式」とどう違うのかについて記事を書かせて頂くことにしました。
結論から書くと「毎年確定申告をしている方には影響の少ない制度」と言えます。
それぞれの制度がどういう仕組みなのかを見てみましょう。
値洗い制度(ロールオーバー形式)と建値維持形式とは
現在、日本国内のFX業者のほとんどは「建値維持形式」を採用しています。それぞれ以下の特徴があります。
注意:ここの説明ではスワップポイントについては割愛させていただきます。スワップポイントの取扱いは、建値維持形式でも2種類に分かれるため説明が複雑になるのを避けるためです。
現在日本国内の主要FX業者は、全てこの建値維持形式です。
未決済ポジションは、決済するまで建値維持するというのが建値維持形式です。このため、南アフリカランド円8.2円で買いポジションを作ったら、決済まで8.2円のままでいくことになります。
スワップ投資でポジションを長期保有している場合などで、ポジション保有中に含み損益がでても、確定申告をする必要はなく税金はかかりません。
値洗い制度(ロールオーバー形式)は、一般的にはロールオーバー形式と呼ぶ方が良いようなのでここからの呼び名は「ロールオーバー形式」に統一します。
毎日営業時間終了後に含み損益を清算します。未決済ポジションは、清算値で一度清算されたあとに清算値で新規ポジションが建つかたちになります。
なので、未決済ポジションであっても建値は毎日のように前日の清算値に変更となります。
この影響で、スワップ投資でポジションを長期保有している場合などで、売買をせずに放っておいても損益が発生することになります。
例えば、10日前に8.2円でポジションを作っても昨日の清算値が8.8円であれば本日のポジション建値は8.8円になっています。差額の0.6円+スワップポイントは、既に利益として口座残高に反映されています。
書いてみると大した違いではないのですが、大きな違いが出るのが「税金発生の仕方」です。
ロールオーバー形式と建値維持方式 税金発生の違い
- 建値維持方式では、ポジションを数年保有したりすると決済のない年は損益がなく税金も発生しません。
- これに対して、ロールオーバー形式ではポジションを決済せずとも毎日損益が発生します。
そのため、一年を通じて収支0円ということはまずあり得ないからです。
このため、損失のときも利益のときも確定申告をしておく必要があります。具体的な数字を当てはめると理解し易いかもしれません。
例えば、ポジションを保有したままで2年目に100万円利益で決済したFX口座があったとします。このポジションでは、前年末段階では100万円の含み損益が発生していました。
- 1年目:100万円含み損
- 2年目:100万円利益
この場合、建値維持形式では2年目の決済時の100万円利益を確定申告して20,315%の20万3150円の税金を払うことになります。
ロールオーバー形式の税金計算は違ってきます。先ほどの例でいくと各年の収支は以下のようになります。
- 1年目:100万円の損失
- 2年目:200万円の利益
スワップ投資で2年間ポジションを保有したままにしていても上記のように毎年損益が発生します。2年目の利益が200万円に増えていますね。これは、毎日の値洗いにより、1年目に100万円の損失を出しているためです。
混乱し易いので、この部分を説明させて頂きますね。
例えば、南アフリカランド円であれば、8円で100万通貨保有していたのが1年目に7円まで下がっていたような状況です。建値維持形式では、含み損100万円のまま放っておけます。でも、ロールオーバー形式では100万円の含み損が現実の損失として計上されます。そして買い値も7円に下がります。
2年目に南アフリカランド円が7円から9円まで上昇したとします。建値維持形式ではもともと8円の買値なので決済利益は9-8円×100万通貨で100万円です。でも、ロールオーバー形式のでは買い値は7円ですので決済利益は9−7×100万通貨で200万円になります。
ロールオーバー形式のこの事例で、1年目に100万円の損失繰越をしていれば2年目200万円の利益がでた年の税金は)200−100)×20.315%=20万3150円となります。
建値維持形式でもロールオーバー形式でも同じ税金です。
なので、毎年確定申告をしておけば問題はありません。
でも、上記で1年目100万円の損失時に損失繰越の確定申告をしておかないと2年目の利益は200万円です。200万円に、20.315%の税金がかかってきます。
- 200万円×20.315%=40万6300円
税金が倍になってしまいますね。
「未決済ポジションだから損益が発生していない」と認識して1年目の確定申告をしないでいるケースが実際にあります。私のところにメールで相談されてきた方もいます。
ロールオーバー形式のFX口座が珍しいということもあり、他口座と同じに考えがちですが、この税金部分だけは注意しておかねばなりません。
有益な部分を活用
「確定申告を必要としない無税の範囲」でFXをやるという方はロールオーバー形式採用FX口座の使用は控えた方がよいです。それと、秋以降のスワップポイントサヤ取りポジションで使うのも止めたほうが良いです。
この辺を考慮して、私のスワップポイント比較ページでは、デューカスコピージャパンは常に参考口座として扱う方針に変更しました。デューカスコピージャパンは、現在南アフリカランド円でスワップポイント最高値の口座です。
この表では、最高値のときに黄色のマーカーを引いているのですがデューカスコピージャパンは最高値であるにもかかわらず黄色のマーカーなしです。
そして、スワップポイントサヤ取りの最適組合せにも名前はありません。
これらのページは、メルマガ読者以外にもみて頂いている方が多いので後々税金面で困らないようにしていただくためにこうさせて頂きました。
ただ、損失でも利益でもFXは確定申告した方が有利なことが多いので毎年の恒例行事となっている方も多数いると思います。
そういう方には、それほど気にするほどの制度ではありません。
デューカスコピージャパンの高スワップポイントを活かして、利益増に繋げていけばよいだけです。未決済ポジションの毎日の損益など今までとは違う部分に最初は戸惑うかもしれませんが、有益な部分は利用価大です。
私は、しっかりと使わせていただくつもりです。
FX税金2017 目次
- 第1回FX税金対策開始は2月が最適
- 第2回2017年FX税金基本事項 マイナンバー元年
- 第3回値洗い制度(ロールオーバー形式)と建値維持形式の違い FX税金重要ポイント
- 第4回FX確定申告2017 書類記入手順と税金を減らすポイントのまとめ
- 第5回FX スワップポイント税金 2017
- 第6回FX税金をゼロにする方法と留意点 2017年版
- 第7回FX損失繰越2017年 やらずば後悔する理由
- 第8回専業トレーダーが税金・公的負担で覚悟しておくべき現実
- 第9回FX公的負担からみたサラリーマン⇒FXトレーダー独立目安
- 第10回専業トレーダーになって良かった 独立して良かった事
- 第11回FX損益合算 投資運用を勝利に導くための税金戦略
- 第12回ふるさと納税2017 FX利益利用時の注意点
- 第13回iDeCo(イデコ)2017 FX節税オススメ手段
- 第14回NISAとジュニアNISA 積立資金2倍計画実行中
- 最終回NISAとiDeCo(イデコ)で資産2倍の思惑
- 読者の声専業主婦の株式投資 特定口座「源泉あり」「源泉なし」どっちにすべき?