ポーランドズロチ特集
ポーランドズロチ円のサヤ取りをやっているのですが、「なぜポーランドズロチを売買するのか?」とか「ポーランドズロチは危なくないのですか?」という質問をいただきます。今回は、先進国ではないのですが、安定度の高いポーランドズロチについてまとめています。
ポーランドズロチについてのまとめ
ポーランドの通貨は「ポーランドズロチ」で、現在くりっく365などで取扱いがあります。私も、数ヶ月前からサヤ取りでポーランドズロチを売買始めました。先週2回目の決済が終わったところです。
参考記事:ユーロ円サヤ取り決済 +6,589円
1回目の売買では+2万円ほどでした。まだ通貨の値動きに慣れていないので欲張らずに利益になったら決済しています。このサヤ取り組合せに興味をもたれている方は結構いるのですがポーランドがよくわからないということで投資対象通貨から外してしまっているケースも多いように感じます。。
これには、ここのところ同じ新興国のブラジルレアルや南アフリカランドが派手に下げているのも影響しているのかもしれません。
ちなみに、ポーランドズロチ円は1ヶ月前よりも上昇しています。ポーランドズロチは将来的にはユーロに合流する可能性もあるのですが、ポーランド国内の意見は分かれており、実現するかどうかはまだ流動的です。もしも、合流しないようであれば将来的にはスワップ投資のような長期保有しても良い通貨に成長する可能性があると私はみています。
運用法にもよりますが、FXで安定運用できそうな通貨の一つとしてご記憶に刻んでおくといずれ役立つかもしれません。
では、始めましょう。まずは、ポーランドという国の概観をご覧下さい。>
ポーランドとは
まず、混同されがちな南アフリカとブラジルとのFX上共通点についてです。3つの国はそれぞれ「新興国」であり「高金利通貨」という特徴を持ちます。
- 南アフリカ 5.75%
- ブラジル 11.75%
- ポーランド 2.0%
参考:豪 2.5%
2014年12月現在
ポーランドは10月までは豪と同じ2.5%だったのですが、引下げにより現在は2.0%となっています。スワップ投資対象としては金利の高い南アフリカランドやブラジルレアルのほうに目がいくのですが、これら高金利2国は値動きとしては下落気味に推移しています。
高いから「儲かる通貨」という訳でないのは、ご承知のとおりです。特にブラジルはここ数ヶ月で2回の金利引き上げをしていますが、通貨下落に歯止めがかからない状況が続いています。ブラジルレアルについての私の見解は以下記事でまとめています。
参考記事:ブラジルレアル(USD/BRL) スワップ投資とサヤ取りの考察
ポーランドのような金利引き下げは国内が安定していないとできません。ポーランドも豪並みのスワップポイントが発生するため高金利通貨グループに入るのですが、安定度は他の新興国通貨よりも高目と私は見ています。
ポーランドの主要国内状況も拾ってみました。
ポーランド 参考数値など
ポーランドの主要貿易品目は、外務省データによると以下のようになっています。
- 主要輸出品:機械機器類,輸送機械,食料品等
- 主要輸入品:機械機器類,鉱物性燃料,ベース金属製品
燃料や原料を輸入してそれを加工して輸出する工業国タイプです。貿易相手国としても、ドイツ・英国・チェコ・フランスとユーロ圏諸国が並びます。
約13,394ドル(2013年:IMF)
参考:
- タイ王国 5,647ドル
- メキシコ 10,629ドル
鉱物資源は豊富、石油はあまり出ないものの天然ガス・石炭・非鉄金属などを算出する。最近の大きなニュースとしては、シェールガスでポーランドの天然ガス消費量300年分の巨大埋蔵量が確認されています。
2013年の教育レベルは経済協力開発機構(OECD)加盟国中、フィンランドに次いで2位となっています。大学進学率は70%(日本50.8%)です。
通常、教育水準の高い国上位には教育にお金をかけられる先進国・金持ち国が並ぶのですが、ポーランドは先進国ほどの所得水準でないにもかかわらず高い水準を維持しています。
留学にも熱心です。英語圏の国、特にイギリスとアメリカに留学する学生が多く、自然科学、マクロ経済学、金融学に強い傾向があります。IT教育にも熱心な国で、2014年に開催された第一回コーディング世界大会ではポーランドのチームが優勝しています。ポーランドは高い教育水準を維持してていて人的資源も豊富なのです。
ここまでは、数年前に韓国によく似ています。息子の教育費に多額のお金をかけるため子供は一人以上は産まず夫婦共働きで一生懸命働くため少子高齢化が進むという構図です。
でも、ポーランドはちょいと違います。
ポーランドは、若者が非常に多い国としても有名で、少子化の指標として使われる15歳以下人口は約20%(日本は13.1%)なのです。子供が多くしかも優秀で人数も増加中というとても望ましい環境にあります。
少子高齢化に苦しむ日本にとっても、ポーランドの研究をすべきではないかと感じる部分です。
ポーランド人は、勤勉で几帳面にきっちりとした仕事をすると定評があります。起業家精神も旺盛で産業が発展しやすい土台があります。
プロイセン(昔のドイツ)・ロシアという領土的野心旺盛な強力な2大国に挟まれたという不運もあるのですが、ポーランドは中世から第二次世界大戦終了まで他国から侵略され干渉され続けたという不幸な歴史を持ちます。国そのものが無くなったことも何度もあり、その度に復活してきたのです。
ポーランド人の勤勉さは昔から有名なようで、他国から侵略され続けた一番の原因が「ポーランドの優秀な労働力を狙われた」からだという説もあります。
ポーランド人の資産運用は貯金が基本です。元本保証・確定利回りなど安全確実なものが好まれるところなどは、日本人によく似ています。
世界平和度ランキング 27位
参考:日本5位・台湾28位・香港24位・イタリア36位・韓国49位・中国103位
海外旅行の基準で行けば、スリや置き引きはあるけど命に別状があるケースは少ないというところです。
私のポーランド 総合評価
皆さんはこれらの状況をみてどのように感じるでしょう。私は、「昭和30〜40年代の高度成長期の日本に似ている」気がします。
実際、ポーランドは経済力にも自信を深めているようです。先日のベルカ・ポーランド中銀総裁の「我が国の通貨は過小評価」という発言にもその自信が伺えます。
この発言は工業国としては異例です。同じ工業国である日本で「緩い円安」が望ましいのと同様に、工業国で輸出主導のポーランドは「緩いズロチ安」が望ましいというのが通常の考え方だからです。しかし、通貨安は長期的には国を弱くすることになります。国家力維持という長期的視野においては、無理のない範囲で通貨高に誘導したほうが良いのです。
ベルカ・ポーランド中銀総裁の発言は、輸出が少々のズロチ高でもしぼまないという自国産業への自信の現れであり、長期的視野で自国を発展させようという気持ちの表れと感じます。
ただ、何も問題がないわけではありません。経済はユーロ圏に依存しているためそのリスクもありますし、隣国にウクライナもあるので地政学的リスクもあります。この辺をどうとるかでポーランドに対する評価は大きく変わってくるかもしれません。
総合的にみて、ポーランドは将来性も安定度高い有力国の一つと私は感じています。
とはいえ、単純なスワップ投資として長期保有する気にはまだなれません。まずは、サヤ取り売買を通じてこの国への理解を深めながら、通貨ペアの特徴を抑えていくつもりでいます。
次回は、ポーランドズロチのサヤ取りの概要をご紹介します。
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