フラッシュクラッシュとスワップポイントサヤ取り
2021年現在のスワップポイントサヤ取りでの資金配分について紹介させていただきます。
私のスワップポイントサヤ取りでの資金配分は、指値・逆指値は使わず、強勢ロスカットされないように配慮して運用を続けています。
やってみるとわかるのですが、スワップポイントサヤ取りで表向きの利益率を上げるのは簡単です。
両建てに使う運用資金を減らせばよいからです。
でも、私はスワップポイントサヤ取りでそういう運用はしません。
スワッツプポイントサヤ取りは、毎日の利益額は僅かなものです。
その代わり強勢ロスカットなどを防げれば、着実に利益を貯めていけます。
でも、相場の急変によって大きな損失を被るようなことがあれば、その利益は一気に吹き飛んでしまいます。
数年の努力が一気に無になってしまうのです。
私のサイト読者には、そのような辛い目に合って欲しくありません。
この運用を始めてから10年以上になりますが、数年に一度は短期間の急変動が起きます。
その中には、ここで書いたフラッシュクラッシュのように「入金する時間さえないくらい短時間」で数百pips規模で上げ下げが起きた事もあります。
そういう時期は、スプレッドも急拡大するため、スワップポイントサヤ取りの両建てポジションが強勢ロスカットされれてしまうような事態に陥るリスクがあります。
今までのところ、私はこの運用で強制ロスカットされたことはありません。
でも、これからはわかりません。保障はできないものの、「安全基準の目安」として参考にして頂ければと思います。
ここに書いたことは、私自身に課しているルールです。
フラッシュクラッシュの恐ろしさ
スワップポイントサヤ取りは、FX口座間のスワップポイント差を利益に変えていく運用法です。
日々の利益額は少ないものの、同通貨ペアの両建てという性質上、両建てポジションを維持していければリスク少なく利益が積み上がる仕組みになっています。
2019年1月3日のフラッシュクラッシュと名付けられた大きな変動がありました。
朝の短時間に円絡み通貨が500pips規模で相場が大きく下落した現象です。
スプレッドも、トルコリラ円で50銭など通常では考えられないほど拡がっています。
この変動に口座入金証拠金が耐えられない場合は、買いポジションの片方のポジションが強制ロスカットされてしまいます。
両建てなので、売りポジションには同等以上の利益が乗っているはずなのですが、流動性が少なくない状況で約定拒否のような現象も起こり、決済ができないまま相場が戻ってくるという状況でした。
幸運にも、私はこの変動には巻き込まれませんでした。
2018年ごろより値動きの異常さは実際に為替変動数値にも出ていました(過去記事:米ドル円年足チャート 40年間の変動値幅記録更新)。
その対策も兼ねて、年末に豪ドル円両建てポジションを決済して余裕資金を増やしておいたのが功を奏したという部分もあります。
ただ、これはたまたまです。年始にこれだけの変動が起きることを想定したものではありません。
今後これ以上の変動が起こるかどうかはわかりません。
滅多に起こらないと思われるものの、運用者としてはこれ以上の現象も起きうると考えて対処していくべきだろうと思っています。
私なりに、「今後の運用方針」について随分悩みました。
「急変動を前提にして逆指値を入れておく運用にする」というのも選択肢です。今回の急変動では、逆指値も約定しなかったのですが、いつもはある程度機能するかもしれないからです。
ただ、数年に1回でも今回のような逆指値が入らない現象が起きれば、その1回で数年分の利益を吹き飛ばしかねないところがあります。
そのリスクを抱えたままでは「この運用法で利益を貯めていく形」にはなかなかなりません。
数週間考えて、2019年以降のスワップポイントサヤ取り運用方針を決めた次第です。
資金配分 2019年からの4つの心得
強制ロスカットされない安全運用を目指していく。
いろいろと考えた結果、ここに落ち着きました。
どのような変動でも、両建てポジションを維持できるような資金管理を徹底していくことを目指します。
この運用法は、運用せずにFX口座に置いたままでは増えない資金をちょっとでも増やしたいという発想で10年ほど前に始めました。
運用を始めた当時は、リーマンショックの頃で為替変動が相当粗かった時期です。なので、強制ロスカットされないために相当な安全策を施してやっていました。本当に、「ちょっとでも増やせればよい」という気持ちでやっていました。
あの頃に考え方を戻します。原点に戻ることで安全性を追求していきます。
当面、資金配分・資金管理で留意していく点は4点あります。
その1:利益率は考えない
まず、利益率は考えずにいきます。
スワップポイントサヤ取りで、日々のスワップポイント差利益を計算して利益率を計算すると、どうしても「もっと利益を出したい」という気持ちになります。
この運用法で利益率を上げる方法は2つしかありません。1つは「スワップポイント差が大きく開いた通貨ペアをみつけること」、もう1つは「ポジション辺りの運用資金を減らして高レバレッジで運用すること」です。
「スワップポイント差が大きく開いた通貨ペアをみつけること」は、限界があります。それでも利益率を上げようとすれば、レバレッジを引き上げて余裕資金を減らす選択肢しかなくなります。
余裕資金を減らしてしまえば利益率はあがります。でも、急変動で強制ロスカットを受けやすくなるというリスクが高まります。そこで利益を上げていくという発想もあるだろうと思いますが、私はその発想はとりません。
私は、この運用でリスクを取るつもりはないからです。
低リスクのままで寝かせたままのFX証拠金をちょっとでも増やせれば、それで十分だからです。
本格的な利益は、他の運用法で得ていきます。
その2:全体の余裕資金目安
全体の余裕資金をこれまで以上に厚くします。
両建てポジションを作ったときにどれだけ変動に備えて入れておくのが余裕資金です。
当面、米ドル円・豪ドル円などメジャー通貨での余裕資金は1500〜2000pipsを目安に維持していきます。
今回のフラッシュクラッシュでは、700pipsくらいの余力があっても危うかった通貨ペアがありました。同規模の変動でポジションを維持していくのであれば、1000pipsは最低ラインのような気がします。
1500という基準は、フラッシュクラッシュ以上の値動きを考慮しています。
その3:プラススワップ側の余裕資金を厚くする。
両建てポジションのうち、プラススワップポイント側の余裕資金は特に厚くするようにしていきます。
例えば、豪ドル円両建てであれば「豪ドル円買いポジション側の余裕資金を売りポジションよりも増やす」という意味です。
南アフリカランド円急落・トルコリラ円急落・スイスショックなど数々の事例をみても、逆指値が入らないくらいの急変動をするのは、ほぼすべてのケースで「プラススワップポイント側」です。
プラススワップポイント側にポジションが固まりやすいので、この傾向は今後も続くはずです。
この傾向を踏まえて、南アフリカランド円・トルコリラ円などの両建てではその状況に応じて別の基準で余裕資金を厚くしていきます。
状況によってですが、南アフリカランド円買いポジションであれば2〜3円程度・トルコリラ円買いポジションでは5〜7円程度みておきます。大きなニュースが無ければ、売りポジションで入金したままにしておくのはその半分程度で良いかなと思っています。
その4:人気が偏った時の対応
人気が偏ったときにも、急変動は起こります。
一部通貨ペアが大人気となっているときなどは、ポジションが偏っている可能性が高いので、その辺も留意していきます。
安全策すぎると笑われてしまうかもしれません。でも、私はここの基準を最低基準としていくつもりです。状況によっては、基準をさらに厳しくすることも検討します。
なぜこうするのか。
この運用法は何が何でも強制ロスカットを避けるべきだと考えています。
誰でも、ストレスを出来るだけ軽減して利益を出していけるのがこの運用法の一番の長所です。その良さを維持できるように、もっとも手堅い基準を実行していくつもりです。
これで完璧な訳ではありません。実際に運用状況や基準は、定期的に記事にまとめていきます。少しでも参考になれば幸いです。