【準備編】スワップポイントサヤ取りの始め方2023年
スワップポイイントを低リスクにやっていくための準備です。
仕掛ける前にすべき3つの準備についてまとめています。
3つの準備
前回、スワップポイントサヤ取りの概要についてご紹介しました。
参考記事:スワップポイントサヤ取りについての概要【2022年版】
今回から「始め方」に入ります。
まずは「準備」です。
両建てポジションを仕掛ける前に3つのことを決めます。
- 通貨ペア選び
- 運用口座選び
- 資金配分
それぞれ注意すべきポイントを踏まえながら、解説させていただきます。
その1:通貨ペア選び
運用対象となるのは「スワップポイント差の開いた通貨ペア」を狙います。
人によって基準はあるのですが、私は20円以上を仕掛けの目安にしています。
10円台の通貨ペアを仕掛けることもあるのですが、20円以上に拡大するまで待つことが多いです。
スプレッドコスト回収日数も計算する
ここで留意すべきポイントが「スプレッドコスト回収日数」です。
参考記事:スプレッドコスト回収日数について
2口座分のスプレッドを利益で埋めていくのに必要な日数です。
- 通貨ペア:米ドル円
- A口座 1銭
- B口座 0.3銭
- スワップポイント差30円
米ドル円の1万通貨でスプレッド1.3銭はスワップポイントに換算すれば130円に相当します。
このケースでは、1日30円のスワップポイント差利益で埋めるのであれば、130円÷30円=4.33日となり、スプレッドコスト回収日数は約5日必要です。
米ドル円などのようにスプレッドの狭い通貨ペアは、数日から2週間程度で済みます。。
日数がかかるのが、南アフリカランド円やメキシコペソ円などの新興国高金利通貨です。
表向きは、「スワップポイント差が大きく開いていることが多い」ため、スワップポイントサヤ取りでも人気があります。
ただ、スプレッドも広目です。このため、スプレッドコスト回収日数は1〜2か月かかることも普通にあります。
新規ポジションを入れる通貨ペアを選ぶときは、この辺を意識して選んでいます。
その2:FX口座選び
スワップポイントサヤ取りでは、「買いポジション」と「売りポジション」で別々のFX業者を使います。
買いポジションでスワップポイントが受取れる通貨ペアでは、それぞれ以下のような口座を選びます。
買いポジションでスワップポイントを大きく受け取れるFX業者を使う。
売りポジションでスワップポイント支払いの少ないFX業者を使う。
共通事項として、スプレッドにも考慮します。スワップポイントが同じ水準であれば、スプレッドが狭い口座を使う方が有利になるからです。
単純ですよね。
日々更新スワップポイントサヤ取り最適組合せで見つける
この辺は、私が毎日更新する「スワップポイントサヤ取り 最適組合せ」を見ていただくと良い組み合わせをみつけていただけると思います。
参考記事:スワップポイントサヤ取り 最適組合せ
どの口座の組み合わせでどれくらいのスワップポイント差が開いているのか、すぐに確認できます。
20円以上スワップポイント差が開いている通貨ペアに関しては、個別ページも更新しています。
各口座のスプレッドなどは、この個別ページでご確認いただけます。
税金面にも留意
無税の範囲内でスワップポイントサヤ取りをやっていこうという方もいるかもしれません。この場合、「口座ごとのスワップポイント発生タイプ」も考慮が必要です。
例えば、こういうケースです。
- 買い:くりっく365 70円受け取り
- 売り:GMOクリック証券 50円支払い
この両建てポジションで、決済が来年となるような場合です。
くりっく365は、先程のページでみると「決済時口座反映タイプ」ですので、ポジションを決済するまではスワップポイント部分の損益は発生しません。
この組み合わせでは、具体的にこうなります。。
- 今年 利益ゼロ円 税金ゼロ円
- 来年 決済により損益発生
これに対して、GMOクリック証券は「発生時口座反映タイプ」です。
ポジションを決済しなくても、スワップポイント発生分はその年の損益として扱われます。
- 今年 マイナススワップポイント分だけ損失発生
- 来年 決済により損益発生
無税の範囲を維持するポイントは2つあります。
この場合、今年の損失分を確定申告で「損失繰越」の手続きをしておく必要があります。そうでないと、翌年の利益が大き目になるので無税の範囲を超えてしまうことがあります。
職業によっても違うのですが、サラリーマンの雑所得20万円以内の場合、課税年度の利益が20万円を超えれば「確定申告不要枠」ではなくなります。
専業主婦なども、今年損失繰越+翌年度確定申告をしないと課税対象となる可能性もあります。
いろんなパターンがあるので、一概には言えないところです。
一番無難なのは、無税の範囲で納めたいのであれば、「損失繰越で差し引く前の利益が無税の範囲内」に収まるようにすると良いです。
細かい部分ですが、税金対策が絡んでくる場合は、この辺は重要なポイントになります。
尚、他にもFX取引があり確定申告をやられている方は、特にきにする必要はありません。
税金の部分は複雑になるので、税金カテゴリーでの該当部分をご参照ください。
参考記事:FX税金 最新情報
こんな感じで、通貨ペアを決めて、使うFX口座を決めたら次は資金配分を決めます。
その3:資金配分(相場急変動を十分に意識)
両建て運用で重要となる資金配分、この基準はとても重要です。
資金配分 スワップポイントサヤ取りの要
スワップポイントサヤ取りは、上げ下げを予想する必要はありません。
両建てポジションを維持していけば、スワップポイント差に変動がない限り、利益が積み上がっていきます。
だからこそ、資金管理が大切になります。
各通貨ペアの現在の基準はこのページでまとめています。
ここで一番意識しているのは、フラッシュクラッシュえす。。
参考記事:2019年フラッシュクラッシュからの教訓
相当の余裕を持たせてやっています。
ここの資金管理の考え方は人それぞれではあります。
私自身は、「絶対に強制ロスカットされない余裕資金」を確保していくことを基本方針としてやっています。
いままでのところ、強制ロスカットとなったことはありません。
正直に書きますが、たまに別の要件で資金の出し入れをするので、いつも完全に守れているわけではないです。
それでも、意識して余裕をもたせるようにしています。
こういう資金配分とした理由は4つです。
- フラッシュクラッシュを超える値動きを想定
- プラススワップポイント側の資金を厚く配分する
- 高金利・リピート系自動売買などで人気の通貨に要注意
- 利益率は気にしない
この部分、重視しすぎるくらいが調度よいです。
その1:フラッシュクラッシュを超える値動きを想定
昨年2018年までの数年は、狭い値幅での変動が続いていました。それが今年に入り流れが大きく変わったと感じています。
AIの影響なのか、世界情勢の不安定化のせいなのかわかりませんが、年初のフラッシュクラッシュなどの現象は今後も起こりそうです。
数十分の間に500pipi以上の上げ下げがスプレッド拡大したままおきたら、追加入金は間に合いません。
そんな中で、この流れに巻き込まれて片方のポジションが強制ロスカットにでもなって、その後に相場が行ってこいで戻ってしまったら大変なことになります。
運が良ければ「利益を載せて決済」できるかもしれませんが、おそらく確率は相当低くなります。
こういう時は、「約定拒否」もよく起きます。
私も、単純な売りポジションをフラッシュクラッシュのときに利益確定しているのですが、約定拒否を2回されて、やっと決済できました。
その時点で、当初の注文を出した値からは1円動いていたのです。
両建て維持が必須のスワップポイントサヤ取りで、この状況を乗りきる一番の方法は、「余裕資金を厚くすること」だというのが私の実体験にもとづく考えです。
その2:プラススワップポイント側の資金を厚く配分する
余裕資金を厚くするといっても、両建てポジションの2口座両方で厚くする必要はないと思っています。
フラッシュクラッシュを含めたこれまでの急変動・暴落暴騰で両建てポジション維持が危なくなるパターンには共通することが一つあります。
「危うくなるのはプラススワップポイント側のポジション」
・・・だからです。
- スイスショック
- 南アフリカランド暴落
- トルコリラ暴落
- 豪ドル円急変動
などなど、ここ10年の急変動は、悲惨な目にあっているのは全てプラススワップポイント側のポジションです。
例えば、トルコリラ円であれば、余裕資金を厚くしておくべきは「トルコリラ円買いポジション側」です。
基本ルール通りに余裕を維持していて、トルコリラ円売りポジションが強制ロスカットされそうになったという話は今まで聞いたことがありません。
これは、どうしてもプラススワップポイント側にポジションが偏りがちになるためだと考えられます。
相場急変動でこれらのポジションが強制ロスカットになることで、急変動を加速していくことが、大きなフラッシュクラッシュが起きる一因でもあります。
それに巻き込まれないためにも、プラススワップポイント側のポジションの余裕資金を厚くするようにしています。
その3:高金利・リピート系自動売買などで人気の通貨に要注意
ここのところの急変動は、「人気の高い通貨」で起きています。数年前に長期保有前提のスワップ投資で人気のある南アフリカランド円やトルコリラ円などでおきました。
2021年初に起きたフラツシュクラッシュは豪ドル円などで強勢ロスカットが続出しています。
この「豪ドル円で起きた」ということが、私は最初はかなり意外でした。
だって、豪ドル円はスワップ投資人気通貨としては主役の座をすでに降りていたからです。
なんで人気のない通貨で急変動が起きたのか?
・・・と、思っていたら・・・別のところで人気だったんです。
後から知ったことですが・・・
フラッシュクラッシュが起きる直前、トラリピ・ループイフダンなどのリピート系運用で「豪ドル円」は高い人気があったようです。
豪ドル円は、ここ数年ユルイ値動きが続いていました。ユルイ値動きが望ましいリピート系自動売買では、格好の投資対象となっていたようです。
しかも、利益率を上げるためにかなりの高レバレッジで売買していた方も多かったため、急変動を加速させることになったという気がします。
今後も、保有している両建てポジションが「スワップ投資」「リピート系自動売買」で人気が出ているようであれば、急変動が起きる可能性を意識しておくべきだろうと思っています。
その4:利益率は気にしない
スワップポイントサヤ取りでは、利益率は意識しない方がよいです。
利益率を意識しだすと、自然に「利益率を高めていこう」と考えるようになります。
そうなると、必ず進んでしまう方向があります。
簡単な話で、利益率を高める一番良い方法は「1万通貨あたりの運用資金を減らす事」だからです。
でも、余裕資金を減らせば急変動で強制ロスカットされるリスクは高まります。
逆指値を入れれば大丈夫という発想もありますが、フラッシュクラッシュのようなスプレッドが大きく拡大した状況でうまく機能するかどうかは疑問です。
実際、逆指値を入れておいて機能しなかったというメールをいただいたことも何度かあります。
通常の裁量トレードとは違い、両建て運用では逆指値を使っていく方法はリスクを高める一面があるということは意識しておくべきです。
いずれにしても、利益率を意識すると資金配分はどうしても少な目になるので、この際意識しないでやった方が良いというのが私の意見です。
FX口座に入れておいても1円も増えない資金を少しでも増やせればよい。
私は、そういう気持ちをもってやるようにしています。
意識するなといっても難しいんですけどね。
意識したくなる気持ちはわかります。
私もたまに意識してしまう時もあるからです。
そういう時は、「この運用法で大きく稼ごうとする必要はない。ほかの運用法できっちり稼げばいい。」
自分にそう言い聞かせてやっています。
2023年版 スワップポイントサヤ取り目次
- 第1回サヤ取り 3つの種類と特長・・2023年版
- 第2回スワップポイントサヤ取り 基礎知識・長所と短所の復習
- 第3回【準備編】スワップポイントサヤ取りの始め方
- 第4回【仕掛け編】売買の流れと失敗しないための5つのポイント
- 第5回【日々の管理】失敗しないスワップサヤ取りに必要な事
- 第6回【決済編】サヤ取りで検討すべき3つのポイント
- 第7回全体の流れと5つの注意点
- 第8回2023年 スワップポイントサヤ取りの好機到来か?
現在の各通貨のスワップポイント差と考え方などは、以下にてまとめています。