利益よりも税金が多くなるFX事例 スワップポイントサヤ取りFX2014 第1回
両建てで為替変動リスクを気にせずにスワップポイント差を受取る運用法は、税金上留意しておく部分があります。これを知らないでおくと「利益よりも税金の方が多かった」なんて笑えないことが現実に起こります。おそらく多くの両建て運用者がご存知の部分だとは思いますが、初めて聞いたという方も対策は今からでも間にあります。それほど難しくはないので、念のため確認して下さいませ。
スワップポイントサヤ取り 税金上の注意事項
純ドルコスト平均法連載「1億円ためてみよう」の途中ですが、後半に入る前にちょっと気になることがあったのでミニ連載を組ませていただきます。
スワップポイントサヤ取りに関する相談メールが増えています。短期で大儲けとはほど遠い投資法ですが、ほとんど損をすることなく手堅く利益を積み上げていけるため人気がでているのかもしれません。
ただ質問頂いた中で「あれ?このままでは危ないかも」と感じる内容があったため今回の記事として取り上げさせていただきます。
「スワップポイントサヤ取りでの税金対策」についてです。
為替リスクほぼゼロということで手堅い運用が出来るのがこの投資法の長所です。ただ、税金の認識があやふやだと税金を沢山払わないといけなくなる可能性があります。その辺を防止していただくためのミニ連載です。今回より数回に分けて書かせていただきます。
では、本題に入りましょう。
スワップポイントサヤ取りでは、2つのFX口座を利用します。口座によってスワップポイントの税金課税時期が違ってくることがあります。もしも、課税時期の違う口座を組み合わる場合は、それに留意して運用をする必要があります。
これを理解されている方は、この先は読まなくて大丈夫です。もしも、ちょっとでも不安があれば確認しておいてください。この辺を知っているかどうかで税金が数倍違ってくるケースも想定されるからです。
数倍って大袈裟だろ!
もしも、こう思った方はこの先をご確認いただくと少しお役にたてるかもしれません。
2タイプあるスワップポイントの税金
FX口座によってスワップポイントの発生と課税タイミングは大きく違います。具体的には2タイプに分かれます。
- Aタイプ:スワップポイントが発生した年に課税対象となる。
- Bタイプ:ポジションを決済した年に課税対象なる。
スワップポイントサヤ取りで使う口座選定の際には、その口座がAタイプなのかBタイプなのかは予め確認しておく必要があります。スワップポイントサヤ取りは、ポジションを1年近く保有することもあるため、年をまたいで決済するときにはこの口座の違いで税金が増えることがあるのです。
特に今の時期から両建てポジションを作る場合は、決済は来年になる可能性が高いので要注意です。
課税時期がズレる弊害 具体例で計算
「買いポジションと売りポジションでタイプが違う場合」
なぜ、これが税金上マズイのかを実際の口座で計算してみましょう。下記の現在のポジション状況をまずはご覧下さい。
先日記事にまとめたスワップポイントサヤ取りのポジション状況です。ここで発生しているスワップポイントだけを抜き出すと以下のようになります。
- 買い 483,720円
- 売り ー322,400円
- 差額 161,320円
この両建てで使用しているのは、両方ともBタイプの口座です。なので、この組合せでは税金上の心配は要りません。
仮にこれが違っている場合で説明させていただきますね。話を単純にするため、このスワップポイント部分だけで考えます。表にある為替差益部分はここでは無視してください。
ここで両建てポジションを決済すると161,320円の利益が発生します。税金は申告分離で20%ですので税金計算は以下のようになります。
- 税金額:161,320円×20%=32,264円
両建てで使うタイプが同じであれば、決済時期がいつであろうと税金はこの20%の水準で済みます。これが仮に「買いポジションがAタイプ」で「売りポジションがBタイプ」で「決済を来年」にすると税金が全く違う金額になります。
2014年度課税対象の税金額計算
- 買いポジションスワップポイント 483,720円
- 税金:483,720円×20%=96,744円
*決済しなくてもAタイプ口座ではスワップポイント部分に税金がかかるところがポイントです。
2015年度課税対象の税金額計算 ー322,400円マイナスなので損失繰越のみ、翌年以降の利益で相殺。税金0円
このケースの税金合計:96,744円+0円=96,744円
これだけで約3倍違いますよね。
これは最悪のパターンなのですが、課税時期がズレることで税金が大幅に増える可能性があります。ちなみに、逆パターンになっても減ることはありません。そして、ポジション保有期間が長いと「利益を超える税金を払う」なんて事態も発生する可能性があります。
ちょっと怖いですよね。
ただ、現状はあまり深刻になる必要はありません。
両建て常連業者 税金タイプまとめ
参考までに、現在スワップポイントサヤ取りでよく使う口座がAタイプかBタイプかをまとめてみました。スワップポイントサヤ取りでよく使う口座はこれまでよく利用してきた業者を全部拾っても10口座くらいに絞られます。
Aタイプ系口座:スワップポイントが発生した年に課税対象となる。
Bタイプ系口座:ポジションを決済した年に課税対象なる。
この投資法を始めて5年になりますが、ここに書いた以外の口座を使ったことはほとんどありません。大証FXもよく使っていたのですが、もうサービス終了しているのでここからははぶいています。
現在は、以下の口座を中心に使っています。
最近の傾向より
先ほど、「現状はあまり深刻になる必要はない」と書いたのは、最近特徴的なスワップポイントを提示しているのはほとんどBタイプの口座だからです。おそらく、この投資法をやっている方のほとんどがBタイプ口座で両建てをしていると思われます。
例外は、南アフリカランド円でOANDAJAPAN口座です。OANDAJAPANで南アフリカランド円の大きい買いポジションを保有されている方は、今回のケースをご注意いただければと思います。今年発生しているスワップポイントは決済しなくても今年の課税対象として来年3月の確定申告の損益となります。
私は現状Bタイプ口座のみでスワップポイントサヤ取りポジションを保有しています。今は利用していませんが、Aタイプの口座は来年以降使う可能性があります。特に、GMO外貨は定期的にスワップポイントを大きく引き上げる傾向があるのでどこかの時期でメイン口座になるかもしれません。DMMFXさんは、いろいろと特殊な部分があるので次回まとめさせていただきます。
スワップポイントサヤ取り 関連記事2014目次
- 第1回利益よりも税金が多くなるFX事例
- 第2回DMMFX 両建て派3つの注意点
- 第3回海外FXと国内FX両建て 税金問題
- 第4回サヤ取り税金チェック法
- 第5回異業者両建て 証拠金余力の目安