世界的な金余り現象による乱高下に注意
スワップポイントサヤ取りは、2010年より公開運用を始めて12年目にはいります。
その12年の運用から得た教訓などをもとに、最後のまとめとさせていただきます。
11年間の経験を振り返る
スワップポイントサヤ取りのアイデア自体はFXを始めた頃からありました。
これまでもいろいろなサヤ取りをやっていたので、FXでもチャンスがあればやってみたいという気持ちはあったのです。
それから数年後、FX業界の激しい競争のお蔭で、スプレッド縮小とスワップポイント差の出る状況となったので実験的に始めたという流れです。
それが現在も続いています。。
公開口座として運用成績をまとめ始めたのが2010年頃からです。
ここまでの運用成績はこのページの「ここまでの累計成績と年度別成績」でまとめています。
2021年1月28日までの累計利益は5.666,601円です。
毎年少しづつですが、利益を積み上げてきています。
毎日数百円〜数千円のスワップポイント差利益も、貯め続けていけば結構な金額になるものです。
この11年の間に年間利益100万円を超えた年も3回あります。
その一方で年間10万円にならない年もありました。
随分、デコボコな損益ですよね。
この期間を前半と後半に分けてみましょう。
- 2010〜2014年の合計利益:1.385,894円
- 2015〜2021年の合計利益:4,280,707円
- 合計利益:5.666,601円
この間、運用資金規模は変わりません。後半の時期に大きく増やしたりはしていません。
それでも後半に、累計利益のほとんどを出しているんです。
これには理由があります。
運とかではないんです。
前半の5年間の利益が少ないのは、いろいろと実験を繰り返して利益を削っていたからなんです。
つまらない実験をしなければ、前半の5年間の利益はあと数百万円増やせたかもしれません。
これから書くことは、大げさに書けば失敗を重ね数百万円の利益を削りえた教訓ということでもあります。
私だけでなく、誰もがやってしまいがちなことですので、ここで書かせていただきます。
反省:実験をやり過ぎた
「スワップポイントサヤ取りで、もっと利益を増やそう!」
2014年くらいまで、そのことに夢中でした。
おそらく、この運用法を始めると、ほとんどの方がいろんな試行錯誤をするはずです。
私も2010年に簡単に50万円くらいの利益が出たので、それを100万円以上に増やそうと頑張っていました。
両建てポジションを維持するだけで利益になるわけなので、それで数百万円利益出せれば最高ですもんね。
でも、頑張って工夫した4年間くらいは利益が減っていて、諦めで何もしなくなった後半の5年間は念願の年間100万円の利益が出るようになっています。
皮肉なものですよね。
「頑張らない方が成功する」
これもポイントかもしれませんね。
「逆指値」を入れるやり方など、ネット上で出てくるような方法はほぼすべて実験したと思います。
全ての実験は「利益率を伸ばすために余裕資金を減らした運用を可能にする」ために行っています。
どれもうまくはいかなかったのです。
逆指値を入れる方法とともにギリギリの証拠金で両建てポジションを作ったりもしました。
「損失を出す方に逆指値・利益が出る方に指値」
こうすれば、ほぼ同時間に両方のポジションが決済されそうなので、リスクを高めずにできる感じがします。
机上の計算では年間20%以上の利益が狙えるようなシミュレーションだって可能です。
でもですね。
これやると、夜も眠れなくなるんです。
両建てポジションが維持できているか気になってしょうがない。
片方のポジションだけ決済されている最悪の状況が起きていたらどうしようなんて想像が頭から抜けないんです。
実際のところ、「片方のポジションが残る」なんて現象は本当に起きます。
どうやっても、「片方のポジションが残るリスク」はゼロにはできません。
こうなってくると「手間なく利益を出す」なんて無理です。
私のような小心者は、気になってしょうがない。
散々試行錯誤したのに、手間もかかるし、ストレスも貯まる。
だからといって、利益が劇的に増えるものでもありません。
割に合わないんです。
ほかにも「余裕資金を減らす方法」はいくつか実験しました。
これに関する実験のほぼすべてが損失をだして利益を減らしただけで終わったのです。
その損失のせいで、前半5年間の利益は少なくなってしまったのですが、全く無駄というわけでもありませんでした。
読者の皆さんが、同じような失敗をするのを防ぐ効果もあるはずです。
それと、これらの失敗によって、私なりのやり方がほぼ確立して、後半の5年間で利益を増やすことができたからです。
前半の失敗の教訓として、「手堅くやっていくための基本方針」が固められました。
利益を手間なく伸ばしていくために大切なのは、「長期保有」と「余裕資金の確保」です。
長期保有で利益を伸ばす
この運用ではスプレッドコスト回収日数を意識することが大切になります。
多分、最初のうちは短期売買気味になるだろうと思います。
ご想像のとおり、短期売買を続けるとなかなか利益が溜まりません。
一度ポジションを作ったら、スワップポイントが大きく変動しない限りは長期保有を基本とするとよいです。
スプレッドコスト回収日数が終了して利益が出るようになったら、そのまま両建てポジションを維持し続けます。
スワップポイント差があり、余裕資金が確保できる限り保有し続ける方が良いことが多いです。
スワップポイントが少々縮小しても、他に良い組み合わせが無ければ、そのまま保有し続けていきます。
何カ月でも保有し続けていけば、毎日数百円〜数千円の利益は、数万円〜数十万円と膨らんでいきます。
たまに口座管理画面をチェックしながら、その利益増加を楽しんでいます。
余裕資金の確保
余裕資金を確保していくことで短期の急変動でも強制ロスカットされない状況が作れます。
この部分、連載中にも何度も書かせていただきました。
強制ロスカットの恐怖を味わないために絶対におろそかにしてはいけないポイントです。
最近始めた方は「こんなに余裕資金を持たせる必要はない」と感じている方も多いはずです。
ここ数カ月は、大きな変動が少ないのでその気持ちは当然です。
過去2年くらいの値動きをみても、「フラッシュクラッシュ」以外は激しい変動は少ないので、「もっと少なくてよい」と考えるたくもなります。
でもですね。
急変動は突然くるんです。
特に、2019年1月のフラッシュクラッシュは、想定外のものでした。
豪ドル円や米ドル円の先進国通貨が大きく動いたからです。
これまで、このような値動きは南アフリカランド円などの新興国通貨でしか起きないと思っている部分もあったのが覆されたのです。
大きな下げといっても、数日〜数週間かけて大きく下がるのであれば、いかようにでも対応できます。
でも、2019年の「フラッシュクラッシュ」みたいに、短時間で乱高下するようなのは入金さえ間に合わないスピードで動きます。
これで強制ロスカットを逃れるには、余裕資金を厚くしておくしか対応策はないです。
余裕資金を厚くしておくだけで、日々のストレスも相当減らせるます。
「手間なくのんびり利益を増やす」を本当に実現するために、余裕資金は重要な役割を持ちます。
人気のない今はやりやすい
2021年1月現在、スワップポイントサヤ取りはそれほど人気はないようです。
こういう時期はやりやすいです。
スワップポイントサヤ取りは、この運用法の参加者が多くなることでスワップポイント差が縮小気味になる可能性があります。
ポジションも偏りがちです。
人気が出てくると、大き目の数量で同じ通貨ペアで同じ方向性(売り・買いのこと)のポジションを多くの人間が長期保有することになるからです。
この状況が続ければ、FX業者側でも「スワップポイント変動」などの何らかの対策を打たねばならなくなります。
実際、一部の読者より「この運用法を広めすぎるのは止めて欲しい」という意見も頂くこともあります。
現状、そういう心配はしなくて良さそうです。
世界的な金余り現象による乱高下に注意
2021年1月現在、猛威をふるってきた新型コロナウイルスもゴールが見えつつあります。
ワクチンも世界中で出回り始めました。
日本はまだですけどね。
ここらで収束方向に向かうとなれば、次は各国が落ち込んだ経済の建て直しに力を入れ始めることになります。
金利政策も低金利が維持されることで、市場には資金が潤沢に供給されることになるでしょう。
でもね。
その資金を使いきれない可能性もあります。
そういう資金は、株や資源や仮想通貨などへの投資に回ってくるでしょう。
為替相場にも相当の資金が流れ込むはずです。
そうなると、為替変動も大きくなることが予想されます。
急変動が大きくなれば、スワップポイントサヤ取りで両建てポジションを維持するための管理が大切になります。
フラッシュクラッシュのようなことは滅多におきませんが、油断しないようにしなければいけません。
日々の管理はきっちりとやって、ゆったりと資金を増やしていきましょう。
2021年版 スワップポイントサヤ取り目次
- 第1回サヤ取り 3つの種類と特長・・2021年版
- 第2回スワップポイントサヤ取り 基礎知識・長所と短所の復習
- 第3回【準備編】スワップポイントサヤ取りの始め方
- 第4回【仕掛け編】売買の流れと失敗しないための5つのポイント
- 第5回【日々の管理】失敗しないスワップサヤ取りに必要な事
- 第6回【決済編】サヤ取りで検討すべき3つのポイント
- 第7回全体の流れと5つの注意点
- 第8回スワップサヤ取り12年目の懸念・・世界的な金余り現象の影響を注視
現在の各通貨のスワップポイント差と考え方などは、以下にてまとめています。