破滅を招くホモ・エコノミクス 最悪の事態となる前に読んで欲しいこと
ホモ・エコノミクスについて読んでいたときに「これが破滅を招く投資家心理」なのだと感じました。今回は、それについてまとめてみました。
ホモ・エコノミクス 3つの特徴
ホモ・エコノミクスについては、「経済は感情で動く」の中で以下のように説明されています。
ホモ・エコノミクスとは
自己の経済利益を極大化することを唯一の行動基準として行動する人間の類型のこと。以下の3つの特徴でまとめられる
- 超合理的:自らの効用を最大化する行動を選択する。そのためにあらゆる情報を駆使して、利用する能力がある。
- 超自制的:一度決めた行動は将来のおいても変わらない。誘惑に負けることがなく、意志は強固で崩れず貫きとおす。
- 超利己的:行動を決定する際には、自分の利益のみを考える。他人のための行動をとったとしても自己の利益のため、ないしは見返りの期待であり、その意味で道徳・倫理とは無縁の存在である。
一般社会において、ここまで我儘な方は少ないだろうと感じます。例え、内面においてこういう傾向があるとしても外面は全体の和を考慮して遠慮するのが一般的だからです。
でも、相場世界の投資家の行動はこの3つがそのまま当てはまるという方が多数派ではないでしょうか。だって、投資の世界では遠慮は不要であり、利益の極大化を純粋に追い求めるのが普通の姿だからです。
当然ながら、この3つが揃っているからといって何も恥じる必要もありません。
意識しべきは、これらの行動が投資家を破滅に導く遠因となるということです。
人間は、潜在的にとても優秀な情報処理能力を持っています。実は、FXや株式など投資をする際にはその潜在的能力が開放されることがよくあります。投資を始めてから、周りの人が「本当に同一人物か」と感じるほど博学になり計算が速くなったなんて話もよく聞くことです。
情報収集能力も飛躍的に向上し、その処理能力も素晴らしいものがあります。自分でも、その変化をはっきりと感じます。それ故に、FXや株式を始めたばかりの頃は「私は天才かもしれない」とか「このまま大儲けできるかもしれない」という気持ちにもなります。
そして、そこに落とし穴がある訳です。
相場の世界で利益を出すために必要なものは、情報収集能力や分析力ではないからです。
情報収集や分析で勢いづくと自信もついてきます。その自信によって、投資家は自分の判断の正しさを過信しやすくなります。過信は、判断の修正を困難なものにします。
つまり、買いポジションを作ったあとに下落しても、それを「間違い」と認めて損きりできないという事態が起こることになります。
誘惑に負けることなく頑固に意志を貫くというのは良い書き方ですが、これが裏目となったときに何が起きるのかは容易に想像できます。
投資は、自分のためにやるものです。言葉には反感を持つかもしれませんが、「自分の利益優先」は全投資家の基本原則です。
無論、表の世界でこれを真顔では言えません。特に、日本ではFXや株でもうけたお金は汚いお金という一般的な見方があります。私も、表の世界ではFXで利益を出しているなどの話はしませんし、投資の話自体もほとんどしません。
この言葉で注意すべき部分は、「自分の利益優先だから何をやっても良い」という気持ちが強くなりすぎることです。特に、大損気味のときはこの気持ちは自分自身を最後の段階に追い込む決め手になります。
例えば、含み損が想定以上に増大して証拠金1000万円が400万円まで減っていたとしましょう。ここで損きりをしなければ1000万円ほぼ全部を溶かす可能性があるとします。
その時に「損したって自分の責任だから」と考えてしまうと更に損失が増えていくのを許容しやすくなります。
私は、こういう時は家族の顔を思い浮かべることにしています。そう、「FXをやるのは自分自身のためだけではなく家族のためだ」という気持ちを呼び出すのです。こうすることで「今回は潔く負けを認めよう」という気持ちにもなれます。
実際、大損しても証拠金が残せればいずれ復活の芽があります。そのときは「こんなに大損したらもう復活なんてできない」と思ってはいても、その初期の段階で手をうてばなんとかなることが多いものです。私も、過去に2度破産状態に陥りました。1度目は、貯金もなくなり投資もできなくなったほどです。それでも、しっかりと技術を磨くことに気付けたからこそ立ち直ってこれました。
これからも、その時の教訓は忘れずにやっていくつもりです。