FX・投資に向かない職業とは
昔から投資に向かない職業というものがあります。本で読んで覚えているのは「学者・医者・公務員」です。理由は「投資家は自分を変えねばならない。それ故に、人に頭を下げる必要のない職業の方は辞を低くして教えをこうことができないためにうまくいかないことが多い」というものでした。
あと「弁護士・検察官」もあります。これは「流れと戦う職業」というのがその理由です。相場は、流れに合わせていくことが勝利の条件でもあるため、「職業上流れに逆らって戦うことで生計を立てていく方は向かない」ということでした。
例外はあるものの、これらの見方はある程度当たっているようです。無論、公務員・医者で相場の上手な方も当然のことながらいます。そして、職業に関わらずうまくいかないという方にはいくつかの特徴があります。
人間は合理的な判断ができないことに気づけるかどうかが境目
FXで勝つためには「勝つための考え方」が大切になります。そのためには、人間についてもっと深く認識しておく必要があります。その一つはこれです。
人間は、自分で思っているほど合理的な判断はできない。
これは、行動経済学でよく言われることでもあります。
私達の頭は実際、正しい選択に役立つ情報のすべてを分析することなどできないし、確率の法則にしたがった計算をうまくやれるほど賢くもない。そのためにしばしば「思考の近道」に頼ろうとする。つまり、すばやく単純に直感的に判断しようとするのだが、こっちのほうが楽だしやりやすいことはまちがいない。しかし、困ったことにこうした判断がつねに的確だとは言いかねるのだ。
FXの売買判断のために膨大な情報や資料を集めてしまってもほとんど役にはたちません。キツイ言い方かもしれませんが、それを合理的に分析する力が人間にはないからです。
でも、「自分にはできるかもしれない」と誰もが思ってしまいます。実は、20年以上前の私もそう思いました。そしてそれが無理だと気づくのには数年以上かかったのです。
これに気づかずに一生終わる方もいます。これは、もともと頭が良い方に多いようです。今までの人生を知性と努力で自力で乗り越えてきたタイプは、自分に対する自信が半端ではありません。「売りと買いの判断だけのFXや投資なんてちょろい」と思ってしまうのは、当然でもあります。
そして、案外難しいと気づいた後には猛勉強が始まります。でも、合理的に分析する力が人間にはないと気づいても自分もそうなのだと認めるまではなかなかいけません。そうこうするうちに、ほとんどの方が運用資金が底をついたり途中で投資に見切りをつけて撤退するということになります。
私は、「自分はもしかすると優秀かもしれないれど滅茶苦茶優秀だとは思わない」という基本精神がありました。それは、私の人生が適度な挫折の連続だったのが効を奏したのだという気がします。
- 生まれたのは小さな過疎の町でした。その町では私は秀才扱いされていました。
- 高校は私の町より数倍大きい市にありました。高校に入り、周りのレベルの高さにビックリして「僕って本当はバカかも」と最初は感じ、そこから発奮して生きていました。
- 大学に入りました。そこは高校のあった市の10倍以上大きな市でした。国立大学という特徴上、地元の代表選手のような秀才が集まり「やはり、俺ってバカかも」と大いに落ち込みました。
- 就職で東京にでてきました。全国から集まった猛者達の中に入り、「ああ、やっぱり私はまだまだなのだ」と感じる日々を過ごしました。
- 転職した会社は頭の良い方々が沢山いるところでした。この頃には免疫もできていて自分の能力のなさに落ち込むと同時に「また、頑張っていこう」という気持ちでやっていました。
新しい世界に挑戦するたびに、無力感を味わうという人生を歩んできました。このおかげで投資の世界でも自分のやり方が絶対だと感じることはなかなかありませんでした。「いつも合理的な判断力が出きる能力を持っていない」と自負していた私は、「このやり方では長くは続けられない」といつも感じていました。
情報を集めても、チャート分析をしていても、いつも同じルール・同じ環境で合理的な判断をしていくのは自分には無理だからです。かといって「これを読めば成功できる」という近道的な方法に真理があるとは思えないので、それに深くかかわることはありませんでした。
努力なくして道は切り開けない。
でも、どうしてよいかわからない。
今思えば、最初の数年間はずっと投資法探しを続けていたんです。当時の私には、「何を探せばよいのか」がわからなかったのですが、最後に見つけたのは投資法でした。
冒頭の行動経済学の文章の中にも「単純に直感的に判断しようとする」という部分がありますが、これは相場成功にとっては大きなカギとなるところです。。論理的な人々には一笑にふされますが、実は成功した相場師の多くが「単純に直感的に判断しようとする」ことで成功した人々です。
投資を難しく考えずに、より単純にとらえていく。それが投資成功の近道です。今やっているサヤすべり取りに巡り合ったときに「これだ」と感じたのは、行動経済学のこの部分だったのだという気がします。当時の私は、気づきませんでした。でも、やっと本物をみつけたかもしれないという気持ちが高まりすぎたのか涙を流しながらずっと本を読み続けていたのが今も忘れません。
これからも、ずっとサヤすべり取りを続けていきます。