FX信託保全 くりっく365と比較
信託保全の義務化により、非取引所FX口座の証拠金の保護の仕組みはどこも同じになりました。でも、どこでも全く同じ仕組みで保障内容というわけではありません。口座の種類によって違いがあります。
- 店頭FX口座とくりっく365などの取引所系口座による違い
- くりっく365と大証FXによる違い
ここでは、「店頭FX口座とくりっく365の違い」について説明します。
FX業者破綻時 くりっく365との違い
最初に整理しておきます。
FX業者破綻時の処理は、「FX口座の種類」によって違います。例えば、GMO外貨やGMOクリック証券のように「今までの非取引所系口座」と「くりっく365口座」の2種類の口座を提供している業者では、「取引口座の種類によって破綻時の処理が違ってくる」という事です。実際に破綻があった場合にはこんなイメージです。
- くりっく365口座と店頭FX口座の両方を提供しているFX業者が破綻した。
- 店頭FX口座は、各社の信託保全のルールに従い処理される
- くりっく365口座は、金融取(東京金融取引所の略)の管理のもとに処理がされる
仮に、同じFX業者で2種類のFX口座を利用していた場合に破綻した時は、それぞれ別の処理がされます。こういう経験はしたくはありませんが、実際にはこうなるというのだけは把握しておくべきです。
実際にはそれぞれ次のような処理になります。
非取引所系FX口座 破綻時の処理
店頭FX・相対取引などいろんな呼び方がありますが全部同じ意味です。ここでは、取引所取引との違いを説明するために非取引所系口座として説明します。
FX業者が破綻した時の非取引所系口座の扱いは基本的にはこうなります。
- 現在のポジションは決済
- 決済後の証拠金は出金
- 預けている証拠金自体は信託保全で保障されている
- ポジション決済後は出金する。その後は新しい運用先口座を探して口座開設をしてから資金を振り込む。
破綻したFX業者がきっちりと信託保全をしていれば上記のような処理となります。基本的に短期トレード中心で翌日にポジションを持ち越すことがあまり無いような投資家にとっては、そんなに困らないだろうと思われます。逆に、スワップ投資のように長期間ポジションを保有して現在大きな含み損があるような状況の時にはかなり困ってしまうかもしれません。
病院の入院患者に例えるとこういう言い方も出来ます。
入院していた病院が突然倒産してしまった。全員が強制退院させられる。病気が軽い人(短期売買の含み損など無い人)はいいのだが病気が重い人(大きな含み損があって動けない人)は困ってしまうかもしれない。
病人の状況によっては、大変なことになります。これに対してくりっく365の場合はこうなります。
くりっく365口座 破綻時の処理
くりっく365の信託保全は、非取引所系とはちょっと違います。金融取のHPにはこう書いてあります。
「くりっく365」に参加している取扱会社が万一破綻しても投資家の皆様の建玉を決済することができ、また、金融取が認める場合には他の取扱会社へ建玉を移管することもできます。:参考ページ:くりっく365 安心のメカニズム
金融取が認める場合という条件はつきますが、かなりの確率で「ポジションを持ったまま他のくりっく365口座に移動する」という処理になります。
これを先程と同じようにまとめて比較するとこうなります。
- 現在のポジションはそのまま
- 金融取が決めた別のFX業者のくりっく365口座に移動する(勿論出金も自由)
- 預けている証拠金は金融取が保障している
- 投資家は基本的に何もする必要はない
比較で説明すれば、くりっく365口座のときには投資家は基本的に何もすることはありません。過去の例でいくと、取引自体も普通に出来ると思われます。実際に私はくりっく365口座の事業譲渡や廃業を2度経験しています。どちらの場合も、手間はほとんどなく運用にも支障は出ませんでした。
短期トレード中心で翌日にポジションを持ち越すことがあまり無いような投資家にとっても、スワップ投資のように長期間ポジションを保有して現在大きな含み損があるような場合でもあまり困るようなことはほとんどありません。
さきほどの病院の入院患者に同様に例えるとこうなります。
入院していた病院が突然倒産してしまった。しかし、転院先は既に決まっており患者は手間もかけずにそのまま転院して別の病院で治療に専念できる。
くりっく365の手数料無料の岡安商事でも仕組みは全く同じです。くりっく365の手数料無料となってもこの制度に変更はありません。