ストラングル戦略の仕掛け方 FXオプション戦略編
ヘッジ戦略としても有効なストラングル戦略、実際にどんな仕掛け方をするのかをご紹介します。次回のメルマガ参考資料でもあります。
短期のストラングルと長期のストンラングルの違い
ストラングル戦略は、現在値よりも離れた権利行使価格のコールオプション・プットオプションの両方のポジションを作ることで成立します。
両方の買いポジションを作る形が「ストラングルの買い」、逆に売りポジションを作る形が「ストラングルの売り」と呼ばれています・
ストラングル戦略も短期と長期で様相が違ってきますので、実際のFXオプション取引のプレミアム画像をもとに説明させていただきます。
両画像とも、9月10日現在の米ドル円プレミアム画面です。
短期のストラングル戦略
期日9月19日と10日ほど先の短期のストラングル仕掛け方です。薄青色がストラングル買いで仕掛けるポジション、薄赤色がストラングル売りで仕掛けるポジションとなります。
この時点の米ドル円値は、画面上方中央にある111.00円です。
それぞれ以下のようになります。
短期のストラングル買い
- コールオプション買い:権利行使価格112.00円 プレミアム0.157
- プットオプション買い:権利行使価格109.50円 プレミアム0.156
1万通貨でストラングル買いのポジションを作った時には、必要プレミアム代金は(0.157+0.156)×1万通貨=3.130円になります。
短期のストラドル買い(参考記事:ストラドル戦略)では、必要代金は8,060円ほど必要だったのですが、その半分程度で済みます。
この3.130円が損失上限となるので損失となっても傷の浅いポジションでもあります。
その代わり利益は出にくいです。このストラングル買いは大きく動けば利益となるのですが、その分岐点目安は以下のようになります。
- 米ドル円上げ相場:112.00+(0.157+0.156)=112.313円
- 米ドル円下げ相場:109.50−(0.157+0.156)=109.187円
上げ下げともに現在値111円から上げ約1.3円・下げ約1.8円以上動かないと利益にはなりません。相場が激変しそうなときに既存ポジションを守るための保険的な使い方が望ましいポジションという気がします。
短期のストラングル売り
- コールオプション売り:権利行使価格112.00円 プレミアム0.062
- プットオプション売り:権利行使価格109.50円 プレミアム0.068
1万通貨でストラングル売りポジションを作った時に受け取れるプレミアム代金は(0.062+0.068)×1万通貨=1300円になります。
実際にはもっと魅力的な金額が取れるところで仕掛けるだろうと思います。ここでは、「買いとの比較」で説明しているのでそういう視点で理解を進めて頂ければと思います。
先程の短期のストラングル買い同様、この短期のストラングル売りで利益が出る範囲も計算してみます。
- 米ドル円上げ相場:112.00+(0.062+0.068)=112.130円
- 米ドル円下げ相場:109.50−(0.062+0.068)=109.370円
米ドル円値が、期日9月19日に109.370−112.130の範囲内に入っていれば利益になります。利益上限は1300円になります。
現在値が111.00円ですので、少々大きく動いても利益になり易いのがストラングルの売りの特徴です。その代わり、利益額は少ないという特徴もあります。
長期のストンラングル戦略
こちらは、期日11月21日と2か月半ほど先の長期のストラングル仕掛になります。薄青色がストラングル買いで仕掛けるポジション、薄赤色がストラングル売りで仕掛けるポジションとなります。
この時点の米ドル円値は、偶然ですが短期と同じ画面上方中央にある111.00円です。
それぞれ以下のようになります。
長期のストラングル買い
- コールオプション買い:権利行使価格114.00円 プレミアム0.314
- プットオプション買い:権利行使価格106.00円 プレミアム0.413
1万通貨で長期のストラングル買いのポジションを作った時には、必要プレミアム代金は(0.314+0.413)×1万通貨=7,270円になります。
短期の時の3.130円に比べると随分高くなったという感じがしますね。
この7,270円が損失上限となるのは短期のストラングル買いと同じです。
権利行使価格も、短期に比べて大きく開いています。損益分岐点目安は以下のようになります。
- 米ドル円上げ相場:114.00+(0.314+0.413)=114.727円
- 米ドル円下げ相場:106.00−(0.314+0.413)=105,273円
現在値111.00円から期日に約3.727円以上の上げあるいは約5.727円以上の下げがないと利益にならないという仕掛けです。
105.273−114.727円だと値幅は9.454円です。
時間的価値がある期日前段階でプレミアムが上昇したときに途中決済するという手もあります。
それでも、この仕掛けで最終的に利益にもっていくのは、なかなか困難です。米ドル円は一気に10円くらい動く時期がある通貨なので、そういう時期には有効な一手かもしれません。
長期のストラングル売り
- コールオプション売り:権利行使価格114.00円 プレミアム0.223
- プットオプション売り:権利行使価格106.00円 プレミアム0.324
1万通貨でストラングル売りポジションを作った時に受け取れるプレミアム代金は(0.223+0.324)×1万通貨=5470円になります。
短期のストラングル売りの利益1300円に比べると、かなり増えた感じがしますね。
先程の長期のストラングル買い同様、長期のストラングル売りでの損益分岐点を計算してみましょう。
- 米ドル円上げ相場:114.00+(0.223+0.324)=114.547円
- 米ドル円下げ相場:106.00−(0.223+0.324)=105.453円
米ドル円値が、期日11月21日に105.453−114.547円の値幅9.094円の範囲内に入っていれば利益という仕掛けになります。
もしも、この範囲を超えていくようであれば、その分だけ損失が拡大していくという部分がリスクです。
現在値が111.00円ですので、相当大き目に動いても利益が狙えるポジションです。
今回は、約9円の値幅でしたが、もうちょっと大きな値幅で設定することもできます。10円以上で設定しておけば、相当な確率で勝てる仕掛けになります。
ただ、繰り返し書いていますが、米ドル円で時折おこる10円以上の大きな値動きには注意が必要です。
このストラングル売り戦略を使う際には、そういう値動きが起きたときの対応策を決めてから仕掛けていくことを強くおすすめいたします。