投資不適格と通貨切下げ時の対応について
FXが始まってから世界経済が比較的好調だったせいか、通貨切下げはほとんど起きていません。そのせいか、通貨切り下げのリスクについて語られることはほとんどありません。2016年9月現在トルコリラが様々なところで投資不適格という扱いを受け始めているため、念のためのリスク喚起として記事にまとめさせて頂きます。
もし通貨切下げが現実となれば、スワップポイントサヤ取り(異業者両建)のような両建て運用でも影響は免れない(大儲けの可能性もあるのですが・・・)ので注意が必要です。
大儲けとは限らない ブラジルレアルに学ぶトリコリラの未来
通貨切下げのリスクとその対応
通貨切下げとは、本来為替レートを固定している国がレートを動かす時に使われる言葉ですが、変動為替相場としている通貨でもスイス・ショックのように似たような現象が起きることがあります。ここでは、その意味で使用しています。
2016年9月現在、スワップポイントサヤ取り(異業者両建)を見るとトルコリラ円は両建てで魅力的な仕掛けができそうな状況となっています。
でも、トルコリラに対する信用は落ち続けています。具体的に書けば、トルコリラの信用格付けが【投資不適格】に相当するケースがでてきています。この流れが加速していくような事態となると、トルコからの本格的な資金流失が始まる可能性があります。そうなれば、トルコリラ暴落が現実のものとなり、通貨当局は防衛のため最初は金利を引き上げていくのですが、これには限界があります。
限界を超えてしまうと、通貨を安値に誘導するなどの通貨切下げ的な措置を取らざるを得なくなります。
状況が追い詰められたものであればあるほど、やることは過激です。安値誘導せざるを得なくなれば、一気に値が飛ぶこともあり得ます。厳密には通貨切下げとは違うのでしょうが、2015年1月におきたスイス・ショックに近い値動きとなる可能性だってあります。
スワップポイントサヤ取り(異業者両建)で両建てにしておけば、逆に利益になるかどうかは非常に微妙です。なぜならば、こういうケースでは買いポジションは異常レートに近いところで損きり清算されてしまうことが多いからです。
そして、スプレッドも異常なほどに拡大します。
なので、売りポジションには利益が大きく出ていたとしても本当に買いポジションの損失を埋められるほどのものとなるかはわかりません。
相場の値がつかない暴落というのは本当に恐ろしいものです。2015年1月のスイス・ショックを少しでも経験した方であれば、その恐ろしさは十分にご存知でしょう。
スワップポイントサヤ取りは、安定した利益をストレス少なく受け取っていくのに適しています。それ故、通貨切り下げの可能性が出てきている通貨では出来るだけ控えるべきです。少なくとも、スワップポイントサヤ取り初心者の方には、絶対におすすめはしません。
私自身、トルコリラ円のスワップポイントサヤ取りポジションは少し保有しています。しかしながら、今後増やす予定はありません。今後、更なる経済状況の悪化や信用格付けの低下が続くようであればポジションを決済する予定でいます。
ブラジルレアルに学ぶトルコリラ
経済状況が本当に悪化して混乱の域に達するとどうなるかは、1990年代末のブラジルをみるとわかります。ブラジル通貨危機とその見方の中で「(1)通貨不安勃発後の為替・外貨・金利・株価指数の推移」という表をご覧ください。
1月5日に1米ドル=1.2だったレアルは、1月29日には2.1まで暴落しています。通貨切り下げはしていないものの短期でこれだけ動けば、投資家の保有するポジションには相当な影響がでます。
果たして「売りポジションが残って大儲け」となるかどうかは、神のみぞ知る運の世界としかいいようがありません。そういうつもりで両建てポジションを持つのであれば、その資金を飛ばしても構わないという覚悟もしておくべきでしょう。
ただ、スワップポイントサヤ取りでそういうリスクを取るのは本来の趣旨ではありません。安定した通貨で手堅くやっていきましょう。