ガソリン精製とサヤ取りの関係
原油がそれほど動いていないのにガソリンが急騰を開始することがあります。
それは「ガソリンが不足気味」になったような時です。
なぜそんな現象が起きるのか?
それは、「ガソリン精製の仕組み」にも一因があります。
ここでは、サヤ取りとの関係なども含めて記事にしています。
ガソリン精製にかかる日数
ガソリンは何からできているか?
答えは「原油」です。
原油からガソリンを作ることを「精製」と呼びます。
原油からガソリンになるまでの日数は、「原油の移動日数」と「精製日数」の合計です。
- 原油を精製所に移動させる日数 約20日
- ガソリンを精製して出荷するまでの日数 7〜14日
- 合計 27〜34日⇒約1カ月
ガソリンは原油から精製される。
原油に精製という手間をかけるので、ガソリンの値は「原油+精製代」となります。
先物取引でのガソリン値は、理論的には原油よりも高い状態が続きます。
原油よりも高い状態が続くのですが、原油とガソリンの価格差はそれなりに変動します。
その価格差変動を収益源としていくやり方が、「原油ーガソリンサヤ取り」ということになります。
ちなみに、「サヤ」とは「価格差」のことです。
ガソリンー原油 サヤ取りと精製日数のサヤ取りとの関係
ガソリン精製にかかる日数は、商品先物の変動に影響を与えることがあります。
原油ーガソリンのサヤ取りをするときなどです。
- 東京原油4月限 41,870円
- 東京ガソリン5月限 54,580円
- サヤ 54,580円ー41,870円=12,710円
2021年3月25日終値時点の原油ーガソリンのサヤは12,710円です。
このサヤ値は、日々変動します。
私のようなサヤ取り屋は、このサヤ値の変動を利益に変えるべく商品先物市場で売買をしています。
サヤ値が大きく動くとき
国の大型経済対策などで、経済が急激に動き出したときなどには、ガソリンの需要が急速に高まることがあります。
ガソリンの需要が急速に高まっても、すぐには対応できないことがあります。
精製するのに日数がかかるためです。
そういう時には、ガソリンの先物価格は上昇し易くなります。
原油に先行して上げていくような形です。
ガソリンが上昇して原油も上昇していく。
こういうときに、慌ててガソリンを買ってしまうと、その後辛い思いをすることもあります。
ガソリン値が上昇すれば、製油所も増産を開始するからです。
製油所にとっては、ガソリン値が上昇すれば利益を上乗せできるからです。
30日後には、その増産したガソリンが出回りますので、他に大きな要因が無ければガソリン値は次第に落ち着いてきます。
原油ーガソリンのサヤ取りでも、ガソリン不足期にはサヤが拡大することになります。
でも、拡大し続けることはありません。
数ヶ月もすれば、精製されたガソリンが出回ってサヤが縮小する時期に入ってくるのが通常のパターンです。
原油ーガソリンのサヤ取りは、そんな変動をみながら売買判断をしていきます。